東京都民への曝露量と発がんリスクの推定

都民の飲食物からの被曝「発がんリスク押し上げず」

東大が1年間の放射線量算出
東京大の研究チームは12日、東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質を含む飲食物によって、東京都民が約1年間に被曝した放射線量を算出したと発表した。
もともと食品に自然に含まれている放射性カリウムによる被曝量の数分の1から10分の1程度で、発がんリスクを押し上げたとはいえないとしている。
今後、福島県など各地での数値算出や、リスクの事前推計に取り組む。

沖大幹教授と村上道夫特任講師らは厚生労働省都健康安全研究センターが公表した食品や水道水の中の放射性ヨウ素セシウムの濃度を、地域別や日にちごとなどに分類。
年齢別の飲食物の摂取量などを考慮し、食品の出荷制限と都が行った乳児向けのペットボトル飲料水配布も加味して、都民の平均被曝量を見積もった。

昨年3月21日から今年3月20日までの1年間に全身で飲食物を介して浴びる放射線量を、ヨウ素セシウムを合わせて成人で18マイクロ(マイクロは100万分の1)シーベルトと推定した。
幼児で42マイクロシーベルト、乳児で48マイクロシーベルト

食品に自然に含まれるカリウムによる放射線量は130~217マイクロシーベルトで、推定された線量はその数分の1から10分の1程度となる。

食品の出荷制限と飲料水配布による被曝線量の低減効果は成人で29%、幼児で34%、乳児で44%とみている。



都民の内部被曝、年間限度下回る 東大、食品摂取で推計

東京電力福島第一原発事故の影響で、東京都民が受けた水道水や食品による内部被曝(ひばく)線量は、全身への影響で乳児48マイクロシーベルト、成人18マイクロシーベルトとの推計結果を東京大がまとめた。乳児でも一般市民の年間被曝限度(1ミリシーベルト)の20分の1、もともと体内にある放射性物質による被曝の数分の1だった。
ただし、事故直後の被曝は詳細なデータがなく考慮されていないという。

甲状腺の被曝線量を全身の線量に換算すると25分の1になる。

自然界にある放射性カリウムによる推計内部被曝線量の年約130~220マイクロシーベルトより少なかった。

村上さんは「放射性ヨウ素による被曝は、原発事故があった昨年3月18日から20日の影響が無視できないが、データが少なく、信頼度の高い推計ができなかった」という。(大岩ゆり)

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出典 朝日新聞・朝刊 2012.3.12
版権 朝日新聞社

飲食物由来の放射性ヨウ素およびセシウムによる東京都民への曝露量と発がんリスクの推定

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20120312/
私的コメント
この論文要旨は結論としての「安全かどうか」についてははっきとは言及されていません。
また「東京都による乳児へのボトル飲料水配布といった対策による曝露量の削減効果」を一番検討したかったものと推察されます。
その理由は、村上道夫先生が東京大学 総括プロジェクト機構 「水の知」(サントリー)総括寄付講座の特別講師だからです。
こういった研究の解釈をするには、いわゆる御用学者の発表かどうかを考える必要があります。
われわれは、ちょうど1年を迎える原発事故の教訓(TVや新聞報道に次々と現れては消えて行った学者達)を生かさなければなりません。
結果の解釈が非常に難解(ただ分かりにくいようにしているだけ)な研究ですが、結局は「東京都民も被曝」「東京でも甲状腺がんリスク」ということなのです。

心筋梗塞の再入院率
http://blog.m3.com/reed/20120313/1
の「自遊時間」も参考にして下さい。