冷え症対策

冷え症対策… 体温まる食事、服装を

立春を過ぎたとはいえ、厳しい寒さが続く。
冷え症の人には特につらい時期だ。
自分の症状の傾向を知り、日常生活を見直して、少しでも楽に過ごせるよう工夫しよう。
それでもつらい場合は漢方薬を活用した治療もある。(高梨ゆき子)

漢方薬で改善も
30年来の冷え症という主婦、Hさん(46)は毎年11月下旬になると、冷えから手足の先にしもやけができ始める。
夏でも靴下なしで過ごせないほど足が冷え、手は氷のよう。これといった病気の診断は受けていないが、「例年3月末くらいまで冷えとしもやけが続くので憂鬱」と訴える。

冷え症とは、普通の人は寒いと感じない環境でも体が冷え、苦痛がある状態のこと。
筋肉量が少ない女性に多いが、男性にも見られる。
40歳ごろから足の冷えに悩んできた男性(61)は「真夏以外は両足の膝から下が冷たくなってつらい。医者に行っても相手にされず、悩んできた」と打ち明ける。

冷え症は西洋医学ではっきりした定義がなく、医療機関を受診しても決め手になる治療法があるわけではないので、当事者の悩みはなおさら深いようだ。

まず大切なのは日常生活の管理。
冷えの原因がないか、十分チェックする必要がある。

肌を出し過ぎない服装を心がけたり、飲み物は温かいものを選んだり、ウオーキングなど適度に体を動かすのを習慣づけたりするなど、日常的な気配りの積み重ねが基本になる。

例えばHさんは、首を冷やさないようタートルネックのニットを着て、リストバンドとレッグウオーマーも愛用。
使い捨てカイロは背中側2か所とおなか側に貼る。
氷入りの飲み物は避け、ショウガ、ニンニク、ネギといった体を温める食材を積極的にとるなどしている。

漢方薬を使うのも選択肢だ。

冷え症には、
〈1〉手足など体の末端が冷える
〈2〉おなかが冷える
〈3〉顔はほてるが体は冷える
――といったパターンがある。
末端が冷える人は血液の流れ、おなかの冷えは、消化機能の弱さが原因と考えられる。
顔はほてるが体は冷えるのは、ホルモンバランスが崩れがちな更年期の女性によく見られる。

薬は冷えのパターンによって違う。
〈1〉の場合、当帰四逆加呉茱萸生姜湯。温め効果のある9種の生薬を含む。
〈2〉は真武湯。毒を抜いたトリカブトなどの効果で、下痢や食欲不振にもよいとされる。
〈3〉の加味逍遥散は、自律神経の機能を調整する働きがある。

日常生活の見直しや漢方薬で症状が改善する人は少なくない。
ただし、まれに別の病気が原因のことがあるので気をつける必要がある。

冷えの症状が出る病気は、貧血のほか、甲状腺機能が低下してホルモン分泌が抑制される橋本病、心臓疾患、動脈の詰まりなどがある。
気になる症状がある人は、医師の診察を受け、必要があれば検査してもらおう。

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出典 読売新聞 2012.2.11
版権 読売新聞社