男性だって更年期

不眠、不安・・・男性だって更年期

ストレス解消 自分を元気に ホルモン治療、運動も有効
中高年女性に特有の病気と考えられてきた「更年期障害」だが、最近は男性でも同様の症状が注目されるようになってきた。
更年期は、男女共に年を取るに従って起きる体の変化だ。
男性ホルモンは生活改善などで増やすこともできるという。
生活の質に大いに関わる「男性更年期」の正体と予防策は・・・。

Aさん(62歳、男性)は「思えば2、3年前から気持ちが落ち込み物事に集中できないことがあり、夜中によく起きるようになっていた」と話す。
妻に「私の更年期症状に似ている」と言われて専門医を受診した。

血液検査で男性ホルモンのテストステロン値が基準値を下回っていることが分かり、加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)、「男性更年期障害」と診断された。
不足するホルモンを注射で補う治療を受けてから3か月ほどで元気を取り戻したという。

減少に個人差
男性更年期障害の四大症状は「気持ちが晴れない」「夜眠れない」「性欲減退」「汗をかきやすい」ことだという。
精神面や身体面で不調を訴えるのは女性と同じだが、女性が閉経前後10年間の「期間限定」なのに対し、男性の場合は「40~80歳代で起きると個人差が大きいのが特徴。
女性ホルモンは閉経前から急に減るが、男性ホルモンの減少には個人差があるからだ。

治療は減った男性ホルモンを補う注射を2~4週ごとに通院で打つ。
1年ほど続けて様子をみる。
注射治療は保険が適用されることが多いが、中には自費診療の施設もある。
通うのが難しい人には保険適用外の塗り薬もある。
 
ホルモン治療の副作用は少ないとされている。
ただ、赤血球が異常に増えないか、睡眠時無呼吸症候群が悪化しないか、前立腺肥大症や前立腺がんなどのリスクも考えて定期的に検査する。

テストステロンの減少には、加齢だけでなく、ライフスタイルの変化も大きくかかわることが最近分かってきた。
テストステロンは社会適応に関わるホルモンとされる。
自分が「社会に貢献している」とか「認められている」などと感じられるように毎日楽しく過ごせば、テストステロン値は下がりにくい。
 
テストステロン値が高ければ、意欲、冒険心、ストレスを受け流せる鈍感力が高まり、前向きに仕事に挑めるという。
半面「仕事がうまくいかなくてつらいといったストレスや、引退後に趣味もなく外出が減るなど、社会から隔絶された生活ではホルモンを作る力が弱くなる。
 
テストステロンが減少すると、更年期症状の悪化だけでなく、糖尿病や動脈硬化など他の病気にもつながりやすい。

再び増やせる
ただ幸いなことに、女性が更年期で減少した女性ホルモンを自分で増やせないのと違い、男性の場合、テストステロンを生活の中で多少なりとも増やせる。
ストレス解消や達成感を得られる趣味、社会貢献ができるボランティア活動などはホルモンを増やすことにつながる。

また、食事や睡眠、運動といった基本的な生活スタイルを見直すことも大切だ。
適度な運動はテストステロンを増やす。
特に起床後に30分以上のウォーキングや軽いジョギングをすれば、テストステロンの増加で前向きに仕事ができる。

ただし中高年にとって、朝のハードな運動は体の故障にもつながる。
軽いストレッチで体をほぐしてから行えば、運動の効果も上がりやずい。
階段やちょっとした段差に足先をのせてかかとを浮かせてそのまま1~2分すれば、固まっていたアキレス腱やふくらはぎ、足裏が伸びる。
続いて腰を折って上半身を少しずつ前に倒せば、太ももの裏側やお尻の筋肉、腰や背筋も伸び、ケガの予防につながる。
 
腰や肩コリなどの体のコリは、欝との関係も深い。
体を動かすことは、テストステロンを増やすだけでなく、欝症状の軽減にもつながる。

更年期障害は夫婦同時に訪れるケースも少なくない。
夫婦そろって運動や趣味に取り組み、共通の会話を増やして前向きな生活を心がければ、男女共に症状緩和につながる。


急な強い運動は逆効果
最近のランニングブームは、男性ホルモンのテストステロンを増やすためには良い傾向に思える。
しかし、やり方によっては逆効果なので注意が必要だ。
 
回復に時間がかかるようなハードな運動を行うと、体内のブレーキ機能が働き、かえってテストステロン値が低くなっ'てしまうという。
普段運動をしないのに、急に長距離を走りだすのは危険だという。
 
はじめは2、3キロメートルから始め、1カ月ごとに距離を伸ばしていくのが理想。
ウォーキングも同じ。
まずは30分程度から少しずつ運動量を増やしていくのが、男性ホルモンを増やす上手な方法だ。


男性ホルモンをあげるには・・・
● 毎日何か「楽しい」と感じられることをする
● 趣味などでストレス解消や達成感を得る
● ボランティアなどで社会貢献を意識する
● 引退後も人との関わりを持ち続ける
● 食事や睡眠をきちんととる
● 毎朝、30分以上体を動かす

参考・引用
日本経済新聞  2015.10.17


<関連サイト>
若年性更年期
https://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/43253572.html


更年期になったら「高血圧」に注意
https://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/43160935.html