恐怖の脳ホネ心臓ボロボロ病

「悪魔の物質」によって、ホネから心臓まで全身がボロボロになって死んでいく・・・そんな恐ろしい病気の国内患者数はなんと推定600万人!
この悪魔の物質とは、ウイルスでもなければ、毒でもありません。
なんと、ある生活習慣によって「体内」で大量生産され、血液に乗って全身に広がり、硬い骨を破壊します。
さらに筋肉を弱体化させ、糖尿病を呼び起こし、脳梗塞心筋梗塞までも発症させるというのです。
しかも、患者が急増しているにも関わらず、その「95%は気づいていない」とか!
あなたは大丈夫?
早期発見のために、私たちができる対策とは?
「悪魔の物質」の真実を徹底究明!
喫煙等が原因となる「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」。
呼吸器が炎症を起こして、肺がんのリスクが高まることは当然ですが、まさか・・・こんな形で「糖尿病」や「脳梗塞」、「骨粗しょう症」等を悪化させるとは・・・という目からウロコのメカニズム。

95%が気づかない!全身ボロボロ病
度重なる心筋梗塞、一日に3度も襲われる脳梗塞寸前の発作。
糖尿病に骨粗しょう症・・・。

ご本人たちも、とても一つの病気と関係があるとは思えなかったそうです。
一体どんな病気なのか?
専門家に話を聞いたところ、
「体のある一か所で作られて、全身にばらまかれている」とのこと。

元凶となっている体の一部を探したところなんと答えは「肺」。
空気を交換するための袋と思っていませんでした?
一体何がおきているんでしょうか?

肺にカメラが潜入!悪魔の正体とは?
肺の内部で「悪魔の物質」が一体何をしているのか?
ある患者さんの気管支の奥に水を入れ、」回収された水を顕微鏡で調べてみると・・・。
なにやらあやしいウヨウヨした物体が大量に!
これってウイルス?細菌?
これが悪魔の物質の正体!?
と思ったら・・・先生によると、これは、「(肺に)敵がいる証拠」とのこと。
つまり、先ほどのウヨウヨは体を守るために戦ってくれている白血球(マクロファージ)だったんです。

マクロファージは体内の異物などを食べてくれます。
しかし、自分だけでは処理しきれなくなると、仲間を呼びます。
その時に放出するものが・・・悪魔の物質だったんです。

「悪魔の物質」の正体がついに明らかに!
マクロファージが仲間を呼ぶときに放出された「悪魔の物質」・・・しかし、その仮面を取ると・・・
今までガッテンに何度も登場してきた「阻害くん」が登場します。

阻害くんは、糖尿病を悪化させる物質です。
血液中の糖分を調整するのが「インスリン
そのインスリンの働きを阻害するのが「阻害くん」です。

しかし、なんで阻害くんが、糖尿病以外にこんなたくさんの症状を引き起こしているのか?
実は、阻害くんがしていたのは、インスリンの邪魔だけじゃなかったんです。

まず、「骨」では、「破骨細胞」という骨を壊す細胞を増やします。

すると、骨を新たに作る「骨芽細胞」とのバランスが崩れて、「骨粗しょう症」になります。

さらに筋肉や血管では、細胞を傷つけたり、自殺を促す事も分かってきました。
さらに傷の周りでは血栓を作りやすくしていることも分かってきています。

この悪魔としか思えないような働きをするのが、
阻害くん、正式名「TNF-α」と呼ばれる物質です。
では何が、マクロファージを活性化させて、TNF-αを増やしているかというと・・・
なんと、喫煙!

COPDは肺だけじゃなく、全身ボロボロ病だった
喫煙などによって肺に異物が入り込み、活性化したマクロファージから「TNF-α(悪魔の物質)」が全身に広がる・・・
その病気とは「COPD慢性閉塞性肺疾患)」です。

以前は、「肺気腫」と「慢性気管支炎」と呼ばれていたものを合わせた呼び名です。
この病気になると、空気の通り道が狭くなるばかりか、炎症によって肺の組織が壊れ、スカスカになってしまいます。

喫煙歴が長い場合、禁煙しても炎症が止まらず、肺が壊れ続けることもありますが、痛みなどの症状がないので、患者も医師も見逃してしまうのです。

このCOPDを見つけるのに大切なのが、「スパイロメーター」と呼ばれるは肺機能検査機です。

肺の機能から、肺年齢を計算して出すことができます。

現在推定600万人ほどの患者がいるはずが、20万人程度しか治療を行っていません。
最近、かぜが治りにくい、息切れがする、と感じる40才以上の喫煙経験者は、正しい治療によって悪化することを防ぐことができるので、早めの検診をおすすめします。

また、COPDは喫煙以外にも、受動喫煙、粉じん、大気汚染でも発症、悪化する可能性があります。

さらに国立循環器病研究センターで行われた患者調査では、心臓や血管などの循環器疾患で入院し検査を受けた患者の30%にCOPDの疑いがあったという結果もでています。
他の疾患かと思っていたら、COPDも患っているケースがありますので、その点も注意が必要です。

簡単楽チン・驚異の呼吸法!
一度壊れた肺は二度と元には戻りません。
ところが、残った肺の機能をアップさせれば、呼吸を楽にすることができるそうなんです。
秋田市に住むこちらの男性は、末期のCOPDで、外出もままならなくなっていました。
ところが、呼吸機能をアップさせる簡単トレーニングを続けたところ、数か月後にはなんと山登りができるまでに回復!

そのコツは口をすぼめて息を吐きながら行う、簡単トレーニング。

息を「吸う」ほうが大切のように思いますが・・・
その理由は、こちらの肺のX線写真を見るとわかります。

正常な肺はしぼんで息を吐き出していますが、
COPDの肺は壊れているので、息が十分に吐けません。
これでは、新しい空気が吸えませんよね。
だから、まず息を「吐く」ことが大事なんです。

口をすぼめて息を吐くと、ほおがふくらみますよね。
こうすると、COPDで狭くなった気道も同じようにふくらんで息を吐き出しやすくなるんです。

今回のお役立ち情報
COPD(シーオーピーディー)ってどんな病気
慢性閉塞性肺疾患
喫煙などを原因として肺に慢性的な炎症がおきる病気です。
以前は「慢性気管支炎」、「肺気腫」などとも呼ばれていました。
息苦しさに加えて、炎症した肺から「TNF-α(ティーエヌエフアルファ)」という物質が全身にまき散らされて、骨粗しょう症や糖尿病、心筋梗塞脳梗塞など、様々な症状を悪化させると考えられています。
症状を止めるには、「禁煙」、「受動喫煙や、粉じん、空気汚染などを避ける」、ことに加えて、40才以上の喫煙経験者、同年代の人よりも息切れしやすい方は早めに医師の診断を。

呼吸法のこつは?
※高齢者や持病のある方は、医師と相談の上行って下さい。
※すべて口をすぼめて息を吐きながら行いましょう。
(1)呼吸筋ストレッチ
COPDは呼吸筋肉が弱って、息が十分にはけなくなっている。
そこで呼吸筋をストレッチして動くようにすることが大事。
・右手を頭の後ろに当てて、左手は腰に
・ヒジを真上に持ち上げる
・口をすぼめて息を吐きながら、左右交互に行う

息の強さは、30cm離した手の平に感じるくらい。

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(2)足の筋力トレーニン
COPDは息苦しさで運動不足になり、最悪寝たきりになってしまう。歩ける筋肉を維持することが大事。
・足をのばした状態で組む
・下の足で両足を持ち上げる
・上の足は下の足を押さえつける
・口をすぼめて息を吐きながら、左右交互に行う

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(3)座ったまま有酸素運動
運動不足にならないためには有酸素運動が大事。
しかし、ヒザが悪かったり、雪の中や炎天下歩くのは大変。
そこで座ったままでも運動を続けよう。
・2歩で吸って、4歩で吐くリズムで歩く。
・3つの運動合わせて15~20分程度を目安に。
・一日おきくらいのペースから。

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※もちろんそれぞれの運動を立って行ってもOKです。
※無理に長時間行わずに、少しずつ増やしていきましょう。
        (監修:市立秋田総合病院 高橋仁美さん)




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