白目が突然赤くなる

白目が突然赤くなる 結膜の下で出血、加齢など原因

朝目覚めたら、けがをしたわけでもないのに白目が赤くなっていた――。
突然の症状に驚く人は多いが、そのほとんどが「結膜下出血」と呼ばれる症状だ。
痛みはなく視力の低下にも影響はないため、専門家は「見た目の派手さほど不安視する必要はない」と話す。
どんな人がなりやすいのか。

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目の表面のうち、白目は、強膜という強い膜の上に半透明の結膜が覆う形で成り立っている。
強膜と結膜の間には多数の細い血管が走っていて、これが何らかの原因で破れると結膜の下に出血が広がり、結膜下出血になる。
血管が拡張する充血とは違い、出血すると血管は見えず、全体が赤く染まるのが特徴だ。

出血の原因ははっきりしない場合が多い。
加齢に加え、動脈硬化高脂血症、糖尿病を患っている人は血管自体がもろくなっているため、ちょっと目をこすったりするだけで出血する可能性がある。

加齢で白目の結膜がたるむことによって生じる「結膜弛緩(しかん)症」の人も、結膜下出血を起こしやすくなっている。
60代以降に症状が現れやすいという。

結膜には元々、上下左右などの眼球運動に耐えられるよう適度な緩みがあるが、眼球運動や瞬きを繰り返すことで、その緩みが過剰になり結膜弛緩症となる。
結膜がたるむと、涙があふれやすくなったり目がゴロゴロしたりすると同時に、結膜の動きに、毛細血管が引っ張られて結膜下出血を起こす確率が高くなるという。

出血自体は、10日から2週間程度で自然に吸収される。
結膜弛緩症も結膜の緩みを伸ばす手術で治すことが可能。

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このほか、血液の流れを良くする薬を飲んでいる人も注意が必要だ。
抗血液凝固薬を服用している人は、何かをきっかけに大出血して血腫になることがある。
血腫ができると、眼球が圧迫されたり、目が閉じられなくなったりすることもあるので、出血した場合はすぐに医療機関を受診した方がよい。

若い人でも、飲みすぎた後や無理な運動をした後に結膜下出血を起こすケースがある。
激しいせきをしたり、重い物を持ち上げたりして、身体に負担をかけたちょっとした拍子に出血する人もいるという。

過度なストレスや寝不足、働きすぎなど複合的な要因が考えられる場合もある。
結膜下出血自体には問題はないケースがほとんどだが、日ごろの生活習慣がもたらしたサインだと受け止めて、生活全般を見直してる必要がある。(ライター・高山敦子)

■相談ナビ
東京歯科大学市川総合病院眼科のサイトの患者向けのページは、結膜下出血について詳しい。
http://www.tdc-eye.com/disease/index.html

参天製薬のサイトでも「一般生活者の皆様」の「目の健康」コーナーで結膜下出血の原因などを掲載している。
http://www.santen.co.jp

出典 朝日新聞 apital 2012.6.14(一部改変)
版権 朝日新聞社


結膜下出血 まとめ

結膜下出血とは、結膜下の小さい血管が破れ出血したものです。
充血とは違い,赤い線が増えるのではなく,赤く染まったように見えます。

結膜下出血の症状
1、出血の程度
結膜に存在する大小の血管が破れて、結膜の下に出血が広がります。
小さな点状のものから、斑状、時に眼球結膜全体をおおう広範なものもあります。また、血腫(血ぶくれ)をつくることもあります。

2、自覚症状
通常の出血ではほとんど痛みやかゆみ、目やになどの症状はともないません。
普通は眼科受診の必要はありません。
また、目が見えにくくなったり、視野が狭くなったりすることもありません。
こういった症状をともなう場合は、眼科医の診察を受る必要があります。

3、症状の経過
ふつう1~2週間で自然に吸収されてきれいな白目にもどりますが、なかには2~3ケ月かかるものもあります。
時間はかかりますが、出血は吸収されますので心配はいりません。

結膜下出血の原因と治療
眼局所の要因、全身性疾患、原因不明のものの3つにわけられます。
出血自体は、軽度であれば10日前後で自然吸収されます。
ただし、眼局所の要因や全身性疾患の場合は、原因疾患の治療が必要です。

●眼局所の要因
◇眼外傷、手術によりおこります(要 眼科受診)
穿孔性眼外傷は感染の予防などのため直ちに穿孔部を閉じる必要があります。
なかなか消えない結膜下出血は穿孔性眼外傷が隠れている場合もあります。

◇急性結膜炎にともなっておこります(要 眼科受診)
急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎などにおこります。
この場合は、痛みや目やに、 涙が増えるなどの自覚症状があります。

●全身性疾患(要 内科受診)
動脈硬化、高血圧、糖尿病、出血性素因(貧血、白血病、紫斑病など)、 腎炎にともなっておこります。
繰り返し結膜下出血がおこる人は上記の疾患の疑いがあります。
このような疾患が原因の場合は眼底出血がおこり、失明することもあります。

◇急性熱性疾患にともなっておこります
マラリア、猩紅熱、ジフテリアコレラ発疹チフス、インフルエンザ、麻疹などでも結膜下出血がみられます。(原因疾患の治療を最優先)

●原因不明のもの
くしゃみ・せき、過飲酒、月経、水中メガネのしめすぎなども誘因となります。


<私的コメント>
年に数人は「白目の出血」についての相談を受けます。
多くの方はびっくりして眼科受診をして眼底検査や視力検査などの「フルコースの」検査を受けられます。
まずは眼底出血(内頚動脈領域)と結膜下出血(外頚動脈領域)とは全く別のものであることを認識する必要があります。
結膜下出血は、「見た目」がグロテスクで人目が気になるものです。
一度出血を起こしたら最低1週間は血液の吸収を待つしかありません。
要するに眼科でも早く治す手だてはないのです。
サングラスや眼帯をするなどの方法で「人目を避ける」方法でもよいのです。
ちょっと前の野田首相の眼帯もそれだったのかも知れません。

今ではちゃっかり出ている若手有名歌舞伎役者の一件。
「目の充血」の報道は明らかに「外傷性結膜下出血」の間違いでした。
「充血」と「出血」は違うのです。