糖尿病と遺伝

日本人の糖尿病の9割以上を占める2型糖尿病は生活習慣病の代表格。
遺伝の影響はどのくらいあるのだろう。

生活習慣改善 リスク減報告も

糖尿病患者と予備軍は、2012年の推計で2,050万人。
■15年前より700万人増えた。
これだけ短期間の急増は、遺伝の影響とは考えにくい。
やはり、「生活習慣が犯人か」と思いがちだが、そう単純でもないらしい。

■人類が飢餓にさらされていた大昔、栄養をため込むよう人に備わった倹約遺伝子が、食生活が豊かになった今も働き、糖尿病などが増えたという仮説がある。
こうした遺伝子を探す大規模研究が2007年ごろ始まった。
約70個の遺伝子がみつかり、糖尿病になりやすい遺伝子タイプをもつと血糖値を下げるインスリンの分泌や効きが悪くなると考えられている。

■しかし、研究者は遺伝と遺伝以外の要因がどうかかわるのか、残念ながらわかっていない、という。

■遺伝子1個の効果は弱く、最も強い場合でも、1.3倍なりやすくなる程度だ。
一つをみて判断するのはナンセンス。
70個集めても遺伝の影響の1割しか説明できていない。

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■一方で、家族が糖尿病なら、遺伝の可能性はあるという。

■双子の一方が糖尿病の場合、もう一方が発症するリスクを調べた欧州の研究では、遺伝の影響が3~4割を占めると推定されている。

■親や兄妹に糖尿病の人がいれば、発症するリスクは、いない人より2~2.5倍高いとの厚労省研究班の報告もある。
もっとも、家族は食事や生活習慣が似ているので、遺伝だけとは言い切れない。

■夫婦を調べたスェーデンの報告では、一方が糖尿病の場合に配偶者も発症する確率は、そうでない場合より3割以上高かった。
つまり、これは生活習慣も大きいことを示している。

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■では、遺伝子は変えられなくても、生活習慣を改善すれば効果があるのだろうか。
米国の約3,000人を対象とした調査で、糖尿病になりやすい遺伝子タイプを持つ人が食事や運動に注意すると、発症率は持たない人と同様になり、遺伝子のリスクが帳消しになった。

■体重を2キロ減らすと、ざっと遺伝子1個分のリスクを減らす計算になる。


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出典  朝日新聞・朝刊 2014.2.10(一部改変)
版権  朝日新聞社


関連サイト
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