ピロリ菌

ピロリ菌 服薬で除菌、胃がんリスク減

胃の粘膜の中にすみつく細菌、ヘリコバクター・ピロリ
国内では中高年者を中心に約3500万人が感染しているとみられている。
慢性胃炎を起こし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんなどの病気の原因とされる。

胃が痛いとか重いとかの症状はよくあること。
その原因がピロリ菌かどうかはわからない。
感染していても自覚症状のない人も多い。

薬をのんでピロリ菌を除菌しても、痛みなど症状が治るとは限らない。
ただ、ピロリ菌に感染した「鳥肌胃炎」(胃の粘膜が鳥肌のようにブツブツ盛り上がった状態になっているのが特徴)の場合は、胃の痛みの症状が除菌すれば半分くらいの人で治るという。
20~30代の若い女性に起きやすい。

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ピロリ菌に感染しているのかを調べるにはきちんとした検査が必要だ。
内視鏡検査で胃炎と診断され、さらに検査でピロリ菌感染が見つかった場合、除菌治療の対象になる。
公的医療保険を使った除菌治療は、以前は胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの患者に限られていたが、昨年2月からはこのような胃炎(萎縮性胃炎)も治療できるようになった。

除菌に使う薬は3種類。
抗菌薬2種類と胃酸の分泌を抑える薬1種類の組み合わせだ。
1日2回、7日間続けて飲む。
副作用には、下痢や軟便などがある。

 除菌をすると、内視鏡で見た胃炎は改善して粘膜が健康な状態になっていく。
村上さんは「症状をきっかけにピロリ菌を調べようということには意味があります。除菌によって胃炎が治る意義は大きいです」と指摘する。

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ピロリ除菌が広まれば、将来の胃がん死亡を減らせる。
早期胃がんを治療した患者を対象にピロリ除菌をすれば、新たに胃がんが発生するリスクを3分の1に減らせる、という報告もある。
胃がんで亡くなる人は国内で年約5万人。
除菌で胃がんの発生を減らすことができれば胃がんでの死亡が減るという。

ただ、除菌が成功した人でも胃がんを100%防げるわけではない。
除菌後も定期的に検査を受ける必要はある。

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出典 朝日新聞・朝刊 2013.5.12( 一部改変 )
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