顔や首のポツポツ

どう対処、顔や首のポツポツ 自己処置は危険

主な原因は皮膚の免疫力の低下。
できる場所などによって発生のメカニズムは違う。
とはいえ治療をするために、注射針やメスで切って中のものを出すか、炭酸ガスレーザーで蒸散させるか、電気メスで削り取る点では共通している。

■10年ほど前から、炭酸ガスレーザーはポツポツのスムーズな除去に役立っている。
大半が水分でできている皮膚組織を、強力な熱を与えて局所的に破壊し蒸散させる仕組み。
時間は1カ所につき5~10秒程度。
痛みについては個人差があるが、局所麻酔をするのでほとんど痛くない。
照射した当日から洗顔もできる。
治療費については、切除などは保険診療が可能だが、炭酸ガスレーザーは自由診療になる。

■多くの種類があるポツポツだが、突起は大きく2つのタイプに分かれる。
(1)角質に覆われた皮膚表面の下にある表皮や、その下にある真皮が腫瘍により盛り上がってできているもの
(2)表皮に袋ができてそこに内容物が入って突起しているもの


脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)
(1)に属する。
一番多く見られるの
首周りによくできる。
老けて見えるのが嫌で取る人が多い。
炭酸ガスレーザーで蒸散させるほか、液体窒素で凍らせて皮膚表面を平らにする方法もある。

汗管腫(かんかんしゅ)
顔面やまぶた周辺に多発する(1)のタイプ。
扁平にまったりと隆起した発疹で皮膚の色と同じか、やや褐色。
これは真皮内の深いところを炭酸ガスレーザーや電気メスで削らないと取れない。
1回で取れる場合もあるが、数カ月置いて2~3回照射が必要な箇所もある。

眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)
も(1)だが、中年以降の人に比較的多くみられる。
とくに血中のコレステロールが高いことが原因で起こる。
取り除くには、電気メスを使うか、あるいは炭酸ガスレーザーで蒸散させる。
短期間に多発する場合は,胃がんなどの内臓悪性腫瘍合併を疑い、精査した方がいい。

稗粒腫(ひりゅうしゅ)
は(2)のタイプ。
白色の小さな粒のように見えるので、白ニキビと勘違いしやすいが自然につぶれることはない。
やけどで皮膚移植などをしたところにも稗粒腫が出てくる。
この場合は、注射針の先端でつぶして内容物を取り出す。


危険なのは自宅にあるハサミや針で自己処理をしたり、サリチル酸など角質除去の強い薬を目の周りに使用したりすること。
こういったことをすると、傷が残ることがある。

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よくあるポツポツの原因と治療法 (まとめ)
■稗粒腫
まぶたの皮膚表面付近に直径1~2ミリ位の袋状の白色の粒
《原因》
汗や摩擦をきっかけに毛穴の入口に、角質がたまって生じる
《治療法》
注射針の先端を使用して丘疹の直上から小さく切開し、内容物を圧出する

■汗管腫
小型で扁平に隆起した肌色~褐色の直径1~2ミリ位の丘疹
《原因》
汗を出す汗腺が、真皮内で増殖してできる
《治療法》
炭酸ガスレーザーで病変部を熱で蒸散させる

■脂漏性角化症
半米粒の大きさから大豆まで。皮膚の色もあれば黒褐色まで種々
《原因》
皮膚の老化による
皮膚機能の低下でできる
《治療法》
液体窒素で凍らせて皮膚表面を平らにするか、盛りあがった部位を炭酸ガスレーザーで蒸散させる

■眼瞼黄色腫
上まぶたにできる黄白色の平たい腫瘍からやや盛り上がっている
《原因》
多くの場合、コレステロール中性脂肪が増加することで起こる
《治療法》
血中脂質、コレステロール量を調べ、正常であれば切除し縫合。
または炭酸ガスレーザーで蒸散させる


<番外編> 人へうつるイボに注意
ポツポツと同様、見た目の悩みとなるのがイボ。
ただ、イボはヒト・パピローマ・ウイルスというウイルスに感染して腫瘍性に増殖するれっきとした感染症
表面が白くにごり、ざらざらしている。
人から人へ、あるいは自分の体の中で次々とうつる。

ヘルペスのウイルスと一緒に感染すると、子宮頸がんになりやすい。
家族にヘルペス感染者がいたら検査するとよい。

治療は基本的に液体窒素で患部を凍らせる。
大抵は2~3回の治療で取れるが、足底にあるイボは角質が分厚く、液体窒素では治しにくい。
炭酸ガスレーザーの照射が勧められる。


出典 日経新聞・朝刊 2014.5.10( 一部改変 )
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