気になるイボ

気になるイボ 種類によって異なる予防法と対処法 ウイルス性には保湿

顔や首まわりなどの皮膚が隆起したり、突起状になったりするイボ。
加齢とともに誰にでも現れるものだが、胸元を開ける機会が増えるこれから、見栄えが悪いと気にする人は少なくない。
放っておいても問題ないケースが多いが、中には悪性のものもあり注意が必要だ。

ある皮膚科では来院する患者の約1割はイボがらみという。
若い人は男女を問わず、見た目を気にして除去を希望する人が多く、年配の人は皮膚がんを心配していることが多い

制御不能で隆起
イボは、一般に皮膚が盛り上がってできた腫瘍をいう。
皮膚はいわば細胞が集まったシートのようなもので、本来は隣り合う細胞同士、制御し合い、平たんな状態を保っている。
だが、制御が効かず、勝手に細胞が成長し、隆起したり、少し飛び出したりした状態がイボというわけだ。
 
イボは大別すると2種類。
ウイルス性と、そうでない(非ウイルス性)もので、ウイルス性のイボは子どもに多い。
足の裏にできた傷口などからウイルスが皮膚内部に侵入してできる。
皮膚をひっかきがちなアトピー性皮膚炎の子どもにも多い。
医学的には「ウイルス性ゆう贅(ぜい)」と呼び、皮膚が正常な状態ならまず感染しない。
 
大人に多いのは非ウイルス性のもの。
スキンタッグ(軟性線維腫)や、脂漏性角化症(老人性ゆう贅)と呼ぶものが主だ。
いずれも紫外線による皮膚の劣化などが原因だ。
スキンタッグは別名「首イボ」や「中年イボ」ともいう。
首まわりやまぶた、わきの下などにでき、皮膚から米粒状に飛び出た状態になる。
大きさは1~3ミリ程度が中心で皮膚と同系色のものが多い。
中年以降に目立つが、30代前後でできる人もいる。
 
良性で感染の恐れはないが、首まわりにできると、衣服でこすれ、炎症を起こすこともある。
だが、それ以上に見栄えを気にする人が多いという。
 
皮膚の表面が盛り上がって、表面がざらざらした状態になるのが「脂漏性角化症」。
一般に「老人性イボ」とも呼び、直径は数ミリ程度から数センチ程度、色は黒っぽいものが多い。
紫外線を多く浴びる顔や頭部、体など皮脂腺が発達したところにできやすい。
皮膚が黒ずんだシミは平たんだが、それが盛り上がったのが老人性イボで、良性のものが多い。

スキンタッグはイボの茎が細ければ、はさみで簡単に切除できる。
ただ自分で切るのは避け、皮膚科医にお願いした方がよい。
老人性イボは液体窒素による冷凍凝固療法やレーザーで焼いてとるのが一般的。
できた部位や大きさに応じ、切除の仕方は変わる。
液体窒素やレーザーを使う場合、1~2週間でイボは消えることが多いが、またできることもある。
費用は数千円前後せ済む。
 
しかし老人性イボに見えても、まれに悪性のものがあるので注意したい。

悪性には要注意
悪性のがんの一つ、悪性黒色腫の判定基準として次の5項目がある。

(1)左右対称でない
(2)境界が不鮮明
(3)色むらがある
(4)直径が大きい
(5)隆起している・・・。
 
これらに加え、半年や1年でイボが急に大きくなったり、増えたりした場合、また出血したり、皮がむけ、ただれた状態になったりしたら、早めに皮膚科を訪ねたほうがよい。
 
非ウイルス性のイボは紫外線による皮膚の劣化が原因なので、予防には紫外線対策が一番。
日焼け止めクリームを塗れば、発がん予防にもなる。
一方、ウイルス性イボの予防には、皮膚の保湿を心がける。スキンクリームなどを塗り、皮膚がかさつかないようにしておくことが大切だ。

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角層が厚くなる「タコ」 「ウオノメ」は芯がある
イボとよく混同されるものにタコやウオノメ、ホクロなどがある。
タコは皮膚の表面の角層と呼ばれる部分が均質に厚く盛り上がり、
固くなった状態。指先にできるペンダコなどが代表例で、タコはできても痛くない。
 
ウオノメは皮膚の内部に盛り上がり、芯があり、表面は出っ張らない。
芯が魚の目のように見えるため、その名がついた。
タコもウオノメも何らかの圧力がかかることでできる。
足にできるウオノメは痛いが、市販薬で治療は可能だ。
タコやウオノメはできる部位が限定的という点で全身にできるイボとは違う。
 
ホクロとはどう違うのか。
ホクロは皮膚の表皮細胞の間に交じっている色素細胞が一部で集団を作った状態を指す。
数の多少は個人差や遺伝もあるという。
ホクロも直径7ミリを超えるような大きさになると、がん(悪性黒色腫)の可能性もあるので、皮膚科を受診したほうがよい。

参考・引用
日経プラスワン 2013.4.20