日常生活にもスポーツ並みの健康効果

1日10分多く歩こう

厚労省の調査では、1997年~2009年の間に、1日の歩数(15歳以上)は男が8202から7243に、女が7282から6431へ、ざっと1千歩減った。
世界保健機関(WHO)も全世界の死亡の危険因子として高血圧、喫煙、高血糖に次いで身体活動不足を4番目に挙げ、なにもしない時間が多い「不活動」が問題化している。

いまより1日10分多く体を動かそう――。
厚労省が昨年まとめた「健康づくりのための身体活動基準2013」は身体活動を「運動+生活活動」と定義し、スポーツだけでなく、日々のちょっとした動きも健康に役立つと位置づける。ちょっと体を動かすことを増やす「プラス10」を推奨。そうすれば、がんや認知症を減らせるという。

いままで運動が重視されてきたが、日常の活動にも運動とほぼ同等の健康効果があると認められてきた。

では、どうすれば生活活動を増やせるのか。
まず起床から就寝までに、どこで体を動かせるか1日を振り返るとよい。

通勤時に早歩きをしたり、掃除や洗濯でキビキビと動いたり。
そんな小さな動きが「ちりも積もれば山」。
1日10分でも、1週間で合計1時間でもいいし、途中でやめても三日坊主を繰り返すつもりで構わない。

自分の身体活動レベルを知るときには活動量計が役に立つ。
歩数計の機能に加え、家事などの生活活動で1日に体を動かして消費したカロリーが示される。活動量が基準や目標に対して十分なのか下なのか客観的に教えてくれる、いわば自分の現在地を示すナビ。
最近は結果をパソコンやスマホに送って確認できる。

活動量を増やすうえで、計測値や目標を意識することも効果的。

注意点もある。
体を動かす時間は一気に増やさず、体調が悪いときには無理をしない。
痛みが出たら、医師や運動の専門家に相談を。夏場などは炎天下を避け、熱中症に気をつけよう。
身体活動基準2013」の詳細は厚生労働省のウェブサイトに掲載されている。
プラス10分は全世代共通の目標で、運動も30分以上を週2日以上する習慣を持つよう求めている。
このほか、65歳以上は強度を問わず運動と生活活動を40分、18~64歳は「歩行またはそれと同等以上の身体活動」を60分するよう推奨している。

出典
朝日新聞・朝刊 2015.8.23