トランス脂肪酸 日本は規制しないの?

トランス脂肪酸 日本は規制しないの?

Q
アメリカでトランス脂肪酸の使用が3年後に原則禁止されるそうです。なぜ日本では規制されないのでしょうか。

A
厚労省「規制は考えていない」
トランス脂肪酸は油脂の成分の一つで、自然由来の脂肪に含まれていますが、加工時にも生まれます。
含有量の多い食品はマーガリンやショートニング、それを使った菓子などです。
工業的に作られたトランス脂肪酸は、とりすぎると心筋梗塞などの可能性が高まるとされ、アレルギー性疾患との関連も報告されています。

世界保健機関(WHO)は摂取を1日の総エネルギーの1%未満に抑えるよう勧めています。
米食品医薬品局は、トランス脂肪酸が発生する処理をした油脂(部分水素添加油脂)の使用を3年後に原則禁止すると発表しました。
 
・日本では食品安全委員会が2012年に「日本人の通常の食生活では健康への影響は小さい」とする評価書をまとめました。
厚生労働省は「規制は考えていない」と説明しています。
今年4月施行の食品表示法では、含有量の表示は任意表示にとどめられました。
食品業界は自主的に低減の取り組みを進めています。
 
・食品安全委の計算では、日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は1日あたり0・67グラムで、摂取エネルギーの0・3%でした。
摂取量の多い方から5%の位置にある人でも0・7%で、WHOの基準を下回っています。
 
・これに対し、米国の20~59歳の平均摂取量は1日5・6グラムで、総エネルギーの2・2%というデータもあります。
食生活が違うためで、クッキーやパンなどからの摂取が多いそうです。
食品安全委によると、平均的な日本人の摂取量では、疾患リスクとの関連は明らかではないそうです。
 
・しかし、日本でも一部に1%超の人がいるという報告もあり、食品安全委は「脂質に偏った食事をしている人は留意する必要がある」と言及しました。
 
・なお、加工時にトランス脂肪酸を減らすと、代わりに飽和脂肪酸という別の種類の脂肪酸が増えます。
飽和脂肪酸も、とりすぎると糖尿病や心筋梗塞などへの影響が懸念され、20~30代の女性ではとりすぎの傾向が指摘されています。
食品安全委は「トランス脂肪酸だけでなく、脂質の総量に気を配ってほしい」と呼びかけています。

出典
朝日新聞・朝刊 2015.6.23



<参考サイト>
山崎製パン | トランス脂肪酸等に関する情報開示について
http://www.yamazakipan.co.jp/company/trans_fat/

◯◯製パンはトランス脂肪酸漬け コンビニ独自ブランドパンでは◯◯と◯◯に要注意
http://www.mynewsjapan.com/reports/1944

人体に深刻な危険をもたらすトランス脂肪酸が野放し 菓子、パン、ファストフードは厳禁
http://biz-journal.jp/2015/05/post_9977.html

万病の元!?トランス脂肪酸を含む食べ物・怖い話
http://matome.naver.jp/odai/2135882889384912001