食品中のアルミ、大丈夫?

食品中のアルミ、大丈夫? 厚労省、添加物の使用基準つくり規制へ


食品添加物として菓子やパンなどに含まれるアルミニウムを、厚生労働省が使用基準を定めて規制することになった。何が問題になっているのか、食事で気をつけるポイントは?

子どもの菓子食べ過ぎ、注意
――どんな点が問題に?
■食事のとり方によっては、国際基準を上回る量のアルミを口にする子どもがいる可能性があることが、厚労省の調査でわかった。
 
厚労省は2011~12年度に食品に含まれるアルミの量を調べ、年齢層ごとに摂取量を推計した。
1~6歳の子どもは、平均で1週間に体重1キロあたり0・863ミリグラム。一生とり続けても健康に悪影響がないと推定される週あたりの暫定許容量(体重1キロあたり2ミリグラム)の半分以下だった。一方、多くとっている子の上から5%は、許容量を上回る結果になった。

安全性を高める措置
――健康にどんな影響が?
 動物実験では、アルミを大量にとり続けた場合、腎臓や膀胱(ぼうこう)への影響や握力の低下があるという結果が出ている。ただ国際基準は十分余裕を持って設定されているから、許容量を超えて食べていても、すぐに健康に悪影響が出るわけではない。今回、使用基準を定めるのは、より安全性を高めるための措置と言える。
 アルツハイマー病との関連を指摘する説もあるが、食品安全委員会は「何らかの関係がある可能性は否定できないが、今のところ、アルミの摂取が原因で発症するとは言えない」としている。
 ――どんな物に含まれるの
 アルミは土、水、空気の中に存在し、生鮮食品にも含まれる。アルミを含む添加物には食用タール色素のアルミニウムレーキなどがある。今回の調査では砂糖類・菓子類、穀類の加工食品からとる割合が高く、厚労省は添加物のベーキングパウダー(膨張剤)に含まれるミョウバンが大きく関係していると見ている。
 ベーキングパウダーは、焼き菓子やパンの生地を膨らませるためのもの。ドーナツ、スポンジケーキ、ホットケーキ、クッキー、中華まん、蒸しパン、メロンパンなどに使う。こうした食べ物は子どもが好きで、大人にひけをとらないほどよく食べる。ほぼ同じ量を食べた場合、体重1キロあたりの摂取量は、体重が少ないほど多くなる。
 ■バランス良い食事を
 ――気をつけるポイントは
■国際基準を超えるのは、平均よりかなり多い量の菓子類を食べている子どもの場合だろう。
大切なのはバランスのとれた食生活だ。
それができているなら、厚労省は「特別にしなければならないことは何もない」という。
 
■加工食品にベーキングパウダーが使われているかは、原材料表示欄を見ればわかる。
「膨張剤」と表示されることも。
ただベーキングパウダーには、アルミを含むものと含まないものがあり、どちらなのかは、表示ではわからない。

――今後、どう規制するの
厚労省は菓子・パン類に含まれるアルミを規制対象と考えていて、使用状況を調べてから基準を検討する。
また、アルミの量を減らしたベーキングパウダーを使うよう菓子・パンメーカーなどに自主的な取り組みを呼びかけている。
 
■日本パン工業会によると、独自に減らしたメーカーも多いそうだ。
日本プレミックス協会によると、複数の大手メーカーが、ホットケーキミックスに使うベーキングパウダーをアルミを含まないタイプにしているという。


出典 朝日新聞・朝刊 2013.7.7
版権 朝日新聞社


<私的コメント>
アルミニウムは、天然にも土壌、水、空気中のちりなどに広範に存在します。
土壌などから吸収されたアルミニウムが野菜、穀類、魚介類などに微量含まれるほか、膨脹剤、色止め剤、品質安定剤などの食品添加物にアルミニウムが含まれています。
一時期、アルツハイマー病とアルミニウムの関係があるといった情報もありましたが、現在は、この因果関係を証明する根拠はないとされています。

参考
アルミ鍋を使っていると認知症になる?
http://www.pref.kyoto.jp/shohise/15400106.html

ビールのアルミ缶はアルツハイマー病の原因になるの?
http://okwave.jp/qa/q768702.html