プールで注意したい子どもの感染症

プールで注意したい子どもの感染症 タオルの貸し借りダメ

夏はとびひなどになりやすく、保護者や教職員らから子どもをプールに入れていいかといった相談が多い。
     
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子どもと保護者、保育園・幼稚園・学校の教職員向けにと、日本臨床皮膚科医会と日本小児皮膚科学会が2年前に出した「皮膚の学校感染症とプールに関する統一見解」に2015年5月、日本皮膚科学会が加わった。
伝染性膿痂疹(のうかしん)(とびひ)、伝染性軟属腫(みずいぼ)、あたまじらみ、疥癬(かいせん)についてプールの可否や注意点を整理している。
 
特に注意したいのが、とびひ
虫刺されの痕などをひっかいた傷が細菌に感染して発症する。
プールは、水泳も含め「治るまで禁止」だ。
 
皮膚科学会では、統一見解の解説を学会誌に載せた。
とびひの原因菌を15~30秒で殺す塩素濃度は、黄色ブドウ菌は水1リットルあたり0・1ミリグラム、溶血性連鎖球菌は0・25ミリグラム。学校保健ではプールの塩素濃度は、水1リットルに0・4ミリグラム以上なので、プールの水でうつる心配はない。
 
ただ、水でふやけてかさぶたや水ぶくれが潰れて本人の症状が悪化したり、接触して傷から出た体液がほかの子に付いてうつしたりする可能性があるため「治るまで禁止」だ。
 
みずいぼやあたまじらみ、疥癬はプールに入っても構わない。
しかし、タオルやビート板の共用や水泳帽などを介してうつる可能性があり、貸し借りはしない。
みずいぼはプールの後はシャワーで肌をきれいに洗おう。
皮膚科学会の解説も「水泳後の手洗い、シャワー浴は感染を低下させる可能性がある」としている。
 
お風呂は、きょうだいがいれば、とびひになっていない子を先に。
あたまじらみは、いじめの対象にならないような配慮が必要となる。
     
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目の感染症にも気をつけたい。
学校保健安全法によれば、咽頭結膜熱(プール熱)は症状が消えてから2日過ぎるまで、流行性結膜炎(はやり目)は医師が感染の恐れがないと認めるまで「出席停止」で登校禁止だ。
 
プール熱は結膜炎の症状のほか、のどの痛みや発熱が中心でプールや周辺の環境を介して感染しやすい。
感染力ははやり目の方が強く、目の充血や目やに、涙がよく出る。
1~2週間で自然に治るが充血や目やにが続くようなら眼科に受診しよう。
 
他人にうつさないことも大切だ。
涙を介して感染するので目をこすらず、涙や目やにはティッシュで拭いてごみ箱へ。
大人も感染するので、タオルは家族内でも共有せず、患者は、お風呂も最後に入るようにしよう。
 
日本臨床皮膚科医会のHP
http://www.jocd.org
(統一見解が掲載されている)

日本皮膚科学会の「皮膚科Q&A」
とびひやみずいぼや疥癬について詳しい。

ウイルス性結膜炎
日本眼科学会の「目の病気」