炭水化物は本当に悪者なのか?

炭水化物って、本当に悪者なの?

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20140312/1055903/?rt=nocnt
体の運動機能をうまく働かせたいときは、どうでしょう?

これには効率の良いエネルギー=炭水化物を摂取する必要があります。

低炭水化物ダイエットで起きる体内燃料カス問題
食事から摂取した炭水化物は消化され、ブドウ糖にまで分解されます。
ブドウ糖は、体のほとんどの細胞にとって、最も効率の良いメインのエネルギー源であり、不要な副産物=燃焼カスも出ません。
 
ところが、エネルギー源としてタンパク質を使った場合にはアンモニアが、脂肪を使用した場合にはケトン体という副産物=燃焼カスが出ます。
私たちの体は、これらの燃焼カスを処理するシステムを持ってはいます。
このうち細胞内で生じた毒性の強いアンモニアは、グルタミンやアラニン(主に筋肉)に変換されて血中に入り、肝臓に運ばれ、肝臓で比較的無害な尿素に変換されます。
まさしく燃焼カスなわけです。
一方ケトン体も主に肝臓で作られますが、絶食時などブドウ糖が枯渇した時には重要なエネルギー源となります。
過剰な摂取が問題で、ケトアシドーシス(ケトン体が過剰に蓄積し、体内が酸性に傾く状態)などの恐れも出てくるわけです。
 
つまり取り過ぎ傾向の炭水化物を減らす、という意味の低炭水化物ダイエットは大いに結構なのですが、糖質をゼロに近いくらいに減らして、脂肪とタンパク質から必要なカロリー摂取するという行き過ぎた低炭水化物ダイエットを続ければ、健康に悪影響があります。
脂肪とタンパク質摂取でできた燃料カスが、体内で処理できなくなり健康に害をおよぼしますし、「炭水化物さえ避けていればたくさん食べても太らない」という誤った考えまで刷り込まれる恐れもありますから。

なぜインスリンは「肥満ホルモン」と呼ばれるのか
では炭水化物を摂取して、効率の良いエネルギー源、ブドウ糖にするには、どうしたらいいのでしょう?

食事にともない血液中の糖の濃度=血糖値が上がると、インスリンがすい臓から分泌されて、血液から余分なブドウ糖を除こうとします(血糖値を下げようとする)。
この際インスリンが作用するとブドウ糖はグリコーゲンに変わり、肝臓や筋肉で蓄えられます。
こうして血液中からブドウ糖が除かれ、血糖値が下がるのです。
 
グリコーゲンは、必要なときにすぐ分解されてエネルギーになる物質です。
よって運動をすると、グリコーゲンが分解されて糖になり、エネルギー源として使われるようになるわけです。
 
だから、運動前に炭水化物(糖質)を十分に摂って、筋肉の燃料であるグリコーゲンを増やしておくことは重要で、例えば筋肉トレーニングをするにも筋肉中のグリコーゲンが少ないと、筋肉の成長が期待できなくなります。
また運動直後に炭水化物(糖質)を摂れば、速やかな筋肉のグリコーゲン回復につながります。
 
ただし、運動せずに炭水化物を食べ過ぎると、肝臓や筋肉に蓄えられるグリコーゲンには限度があるので(グリコーゲンの貯蔵庫が満タンになる)、インスリンは脂肪細胞に働きかけます。
そして最後に余ったブドウ糖は脂肪に変化して、脂肪細胞に体脂肪として溜め込まれるのです。
そのためインスリンは「肥満ホルモン」と呼ばれているのです。
 
要するに、炭水化物=ブドウ糖を筋力アップに利用できるか、利用できずに脂肪にしてしまうかは、私たちのライフスタイル次第なのです。
炭水化物を摂取する=すぐに脂肪になるわけではなくて、それを使うか使わないかが問題ということ。

カロリーばかり気にしてもダメ
ところで、理想の体重を維持するにあたって、もし、「エネルギーのバランスが、(摂取カロリー)-(消費カロリー)=0 という単純な計算に従えばいい」というのなら、話は簡単なはずです。
ところが、この古典的なエネルギーバランス方程式は、成立しません。
 
ダイエットでよくある間違いは、ほかのすべての要因を考慮せずに、方程式の両側(摂取カロリーと消費カロリー)だけで計算し、摂取と消費の差が3500kcal増減すれば、常に体重が約0.5kg増減すると仮定することです。
 
ある研究によれば、例えば75kgの男性が40年間毎日100kcal余分に摂取した場合、エネルギーバランス方程式に従えば、その総エネルギー量は150万kcalに等しくなり、この期間に190kgの体重増加が推定されます。
ところが、現実にはそうはなりません。
なぜなら実際は、多くの要因がエネルギーバランス方程式に影響を与え、最終的に体重を決定するからです。

例えば、激しい運動は食欲調節ホルモンを鈍らせ、エネルギー摂取量が減ることがあります。
また、日常的に非常に活発なアスリートと、体をほとんど動かさない人では、同じ安静状態でもエネルギー消費量が違います。

カロリーだけ計算してもダメなのです。
大切なのは、健康的なライフスタイルということになります。

食事か運動か、ライフスタイルは何から改善すればいい?
運動と同時に食事を改善した場合と、運動を改善する前後に食事を変えた場合に、どのような変化が起こるか調査した研究があります。
答えは、「食事と運動の両方の改善」が最も有効でした。
 
でも、もしどちらかを選ぶ必要があれば、まず運動から始めてください。
食事から改善したグループは、身体活動の改善は認められませんでした。
食事の改善が先行すると、かえって身体活動の改善が困難になるようです。
対照的に、運動から改善したグループは、食事の改善も認められました。
運動の改善が野菜や果物の摂取を大幅に改善し、飽和脂肪酸の摂取もわずかながら改善しました。
 
私たちにとって食べることは、毎日のスケジュールにありますから、食生活を変えると言っても、それほど余分な時間を工面する必要はありません。
ところが、運動を始めることは、忙しいスケジュールの中で、その時間を見つけなければなりません。
ですから、この研究の結果を生活に組み込むのは、はじめは大変かもしれません。
でも、マイペースでできることから、ぜひ始めてみましょう。

例えば、激しい運動は食欲調節ホルモンを鈍らせ、エネルギー摂取量が減ることがあります。
また、日常的に非常に活発なアスリートと、体をほとんど動かさない人では、同じ安静状態でもエネルギー消費量が違います。
よく、“燃焼しやすい体作り”などという言葉を目にすると思いますが、それは間違いではないのです。

ですから、カロリーだけ計算してもダメなのです。
大切なのは、健康的なライフスタイルです。


エネルギー摂取に影響する要因
食べた量
食べた物の栄養素成分
食物繊維の摂取量
食べ物の種類
身体活動に関連した食事のタイミング
今の体重
食欲調節ホルモン
など

エネルギー消費に影響する要因'
日常生活の活動量
身体組成
遺伝的背景
など