糖類との付き合い方

甘いものの誘惑は禁物。
甘いもの、例えばお菓子や缶コーヒー、清涼飲料水などは、体内への吸収が早いので血糖値を急激に上昇させます。
こういったものを口にすると気分は一時的に良くなり、元気になったような気がします。
甘いものを食べている時に苦虫を潰しているのは余程の方だけです。
さてこの状態は長続きはしません。
直ぐに血糖値は低下してしまいます。
極端な場合には逆に急激な気分の落ち込み、イライラ、頭痛、うつ状態が起こります。
その不快さを抑えるために、体は再び甘い物を欲するようになります。
これが甘い誘惑の罠です。



糖類との付き合い、甘くない 摂取量の目安半分に

WHOが指針案 1日25グラム、缶ジュース1本分
甘い物に 関する指針案を世界保健機関(WHO)がこのほど発表した。
1日の糖類摂取を総カロリー量の5%未満に抑えるよう勧める内容となっている。
平均的な大人なら、甘い清涼飲料水約1本でこの値に達してしまうこともある。
この機会に、過剰にならない糖類摂取の基本を覚えておきたい。

■砂糖などの糖類を1日の総摂取カロリー量の5%未満にするというのは、平均的な大人だと砂糖で約25グラム、ティースプーン6杯分。
一般的な甘い清涼飲料水には全量の約10%に相当する糖類が含まれている。
250ミリリットルなら約25グラムで、それだけで基準に達してしまう。

飲料・菓子類が対象
WHOは以前から「10%まで」を推奨してきたが、今回はこれを残しながら半分に減らす案を示した。
世界的に増えている肥満や虫歯などの予防効果が高まることがわかったとして数値を厳しくした。
日本人の砂糖摂取量についてはっきりした数字はないが、各種の統計などから1日に70グラム程度を摂取しているとみられる。

■WHOがいう糖類とは、主に単糖類といわれるブドウ糖や果糖、2糖類のショ糖(砂糖)で、これらを多く含む飲料や菓子類などが対象となる。
コメなどの炭水化物や野菜類のでんぷんなどからの摂取分などは考えなくてよい。
WHOは炭水化物の摂取量を制限する食事などにも触れていない。

■新指針案を守るのは厳しいと見る向きが多いが、糖類を多く取る人は結果的にたくさん食べていることが多く、総カロリー量を押し上げやすい。
飲料を食事代わりにしてしまうと栄養も偏りやすいので注意すべきだという意味ととらえるのがよい。

■糖類は脳をはじめとする臓器のエネルギー源として欠かせない。
リラックス効果をもたらすことも知られている。
イライラしたときに甘い物を口にすると落ち着いたという経験は多くの人が持っているだろう。

■取り過ぎた場合にはどんな影響が出るのか。
まず虫歯や歯周病のリスクが高まる。
国際的にも糖類の摂取量が増えると虫歯が多くなることが判明している。
大人も子供も菓子や甘い飲料の摂取量に注意したい。
だらだらと飲み食いするのはよくない。

■糖類の過剰摂取で狭心症などの心臓や血管の病気に加え、内臓脂肪型の肥満も増えやすいことが大規模な疫学調査などで明らかになっている。
最近の研究では摂取カロリーの総量が多いという理由だけでなく、砂糖などを一度に大量に取ることが原因の一つとの見方も出ている。

果物食べ過ぎ注意
■食事で炭水化物を取る場合は、腸でブドウ糖まで分解されて吸収される。
これに対し、砂糖などが多い飲料や菓子などを過剰に取ると、消化の手間が省かれ短時間で吸収されやすいため、血糖値が急激に上がる。
上がった血糖値は急激に下がる。
こうした変化は肝臓や膵臓などにダメージを及ぼす可能性が高い。

■ただ砂糖の摂取量と健康への影響について日本人の研究が少なく、はっきりしていない点も多い。
厚生労働省が健康を保つ食事量の目安として示した食事摂取の基準でも、総エネルギーのうち炭水化物を50~65%などとしているが、砂糖などには詳しく触れていない。

■肥満ではない健康な人は糖類を1日60~70グラム程度は摂取しても問題ないのではないかと考える専門家もいる。
普通の食品に含まれるものや調理に使う調味料などは過度に摂取を控える必要はない。

■ただし、果物は少し注意する。ビタミンなどが取れる半面、最近は糖度が上がっている。
定量の果糖などを直接摂取することになる。
飲料や菓子と同じく、食べ過ぎに気をつけたい。

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出典  日経新聞・朝刊 2014.5.11 一部改変
版権  日経新聞

参考サイト
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html

「糖尿病ネットワーク」
http://www.dm-net.co.jp/oyatsu-meijin/