最期の選択

最期の選択、分かち合う 患者の医療相談、試み広がる

超高齢社会を迎え、人生の最終段階で患者が望む医療を受けられるよう支援する取り組みが医療機関や地域で広がっている。
厚生労働省も「最期の医療」の相談に対応できる医療チームの養成に乗り出している。
ただ課題は山積しており、現場では模索が続く。

厚労省の14、15年度の「最終段階の医療」のモデル事業に選ばれた計15の医療機関では研修を受けた医師や看護師ら医療・ケアチームが相談業務を実践。
同省は16年度も研修を実施し、200以上の医療機関でのチーム養成をめざす。
 
背景には、相談の態勢が十分とはいえない現状がある。
13年の国の調査によると、最期の医療について患者の意思を尊重する合意形成のプロセスをまとめた国の指針を知らない医師や看護師は3~4割だった。
病院や診療所で亡くなる人が8割近くいるのに、研修をしている病院は3割に満たない。
 
モデル病院の一つの春日井市民病院では、研修を受けた医師や看護師ら相談員が、患者や家族の思いに寄り添う。
「死」という言葉を使う難しさを感じつつも以前よりも思いをしっかりと受け止められるようになってきたと感じるという。
 
ただ、患者や家族の思いは様々で、正しい答えがあるわけではない。
日常業務をこなしながらの相談は負担も小さくない。
同病院で昨年9月~今年1月、相談を受けた患者は44人。1人の患者で7回計4時間を要したケースもある。
相談員でもある会津さんは「相談員を増やすだけでなく、『前もっての相談は重要』という理解が患者・家族や医療者の間で広がっていくことが必要」と訴える。

話す“きっかけ”作成
「最期の医療」の難しさの一つは、患者や家族の間でも、思いが共有されにくいことだ。
NPO法人・HOPEプロジェクトが昨年11月に実施した調査によると、40~64歳で亡くなったがん患者の遺族200人のうち、生前に患者本人と「これからのこと」や「死」について話し合いをしなかったのは約6割。
理由は、「言い出しにくかった」が最も多かった。

 
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参考
朝日新聞・朝刊 2106.3.8


<関連サイト>
緩和ケアにおける臨床倫理ー身近なルールを考える
http://square.umin.ac.jp/masashi/kanwakea.html

人生の最終段階の医療
https://kotobank.jp/word/人生の最終段階の医療-1724888
・国は15年、指針の名称や用語について「終末期医療」から「人生の最終段階における医療」に変更した。

事前指示書
https://kotobank.jp/word/事前指示書-671601
・自分で意志を決定・表明できない状態になったときに自分に対して行われる医療行為について、あらかじめ要望を明記しておく文書。

ホスピスでの緩和ケア選択!延命治療と終末期の幸福を考える
http://health-to-you.jp/cancer/gannkokutigonosenntaku3100/


ホスピスって何?その費用から、施設やケアの内容までを徹底公開
https://upin.jp/2765

地域の中での悲嘆援助~ホスピスの現場から
http://www.seitosi.org/library/view/28



 
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                 紫陽花と白樺「長野県・富士見高原 花の里」   2016.8.12撮影