おねしょ

「おねしょ」は治療できます

幼い頃、少なからぬ人が経験した「おねしょ」。
成長につれ自然に治ると放置しがちですが、近年、積極的な治療が有効なことが分かってきました。
専門医らは、悩む親子たちに早めの受診を呼びかけています。

おねしょはれっきとした病気。
本人のせいでもしつけの問題でもなく、治せる。

まず、夕食後の水分制限などの「行動療法」で生活習慣を見直し、服薬などの治療をする。

目安は5歳以上
日本夜尿症学会は、おねしょの研究が進んで安全な初期治療の流れが確立されたとして、この夏に診療ガイドラインを12年ぶりに改定した。
 
もともと2歳ごろまではだれでも排尿のメカニズムが未熟でおねしょをする。
成長につれ減るが、小学低学年でも10人に1人いる。
ガイドラインでは、5歳以上で月1回以上のおねしょが3カ月以上続いているケースを「夜尿症」と定義し、治療の検討を勧めている。
 
大きくなってもおねしょが続く原因は大きく二つ。
①夜間に出るおしっこの量を減らすホルモンが十分でない
②膀胱の容量がまだ小さい
ことが考えられており、
①の場合はホルモンの役割を補う薬の服用などの薬物療法
②ならアラーム療法
を勧める。
パンツにセンサーを付け、おねしょを感知するとアラームが鳴り、徐々におしっこを我慢できるようになる訓練だ。
 
また、これらに先立ち、
「夕食は寝る2時間前に済ませ、その後はコップ1杯程度の水分に抑える」
「寝る前に必ずトイレに行く」
といった生活習慣の改善が最も大切だ。
これだけで2~3割が治り、治療と併せると、3年後には約8割の子どもが治るとのデータもあるという。
 
小中学生の推定患者は78万人に対し、治療を受けているのは約4万人。
親に迷惑をかけているとの思いや学校行事のプレッシャーで深く悩む子どもも多い。
もちろん『自然に治る』というのも真実だが、早く治せるのに治さないことで子どもたちの自尊心が大きく傷つけられている。
おねしょは恥ずかしいことではなく、病気として治す時代だ。

参考
朝日新聞 ・朝刊 2016.10.8


関連サイト
夜尿症診療のガイドライン(日本夜尿症学会)
http://www.jsen.jp/guideline/