便潜血検査

便潜血検査」で早期発見

大腸がんが増えている。
2014年まで長らく、日本人に一番多いがんは胃がんだった。
しかし、冷蔵庫の普及などでピロリ菌の感染率が低下した結果、胃がんは減
少に転じた。
15年以降は、大腸がんが最も多くなった。
 
大腸がんは運動不足や肥満、肉の食べ過ぎなどで増える「欧米型」のがんの代表だ。
しかし、米国では大腸がんの罹患率も死亡率も下がり続けており、高齢化などの影響を除いた年齢調整死亡率はピーク時の半分程度だ。
 
米国における17年の大腸がんによる死亡数(予測値)は5万260人だ。一方、我が国の16年の予測値は5万I600人で、人口が米国の4割以下のわが国の方が大腸がんによる死亡数が多いという信じられない事態だ。
大腸がんは子宮頸がんと並んで検診による早期発見が最も有効なタイプで、早期のうちに手術すれば100%近く治る。
最近では内祝鏡による切除も可能となり、入院期間も数日ですむ。
 
大腸がん検診は、便の中に含まれる微量の血液を調べる「便潜血検査」という簡単なものだ。
費用もほとんどかからない。
専用の器具で便の表面をこすって採取し、冷蔵庫に保管する。
温度が高いと、便に含まれる細菌が血液を分解してしまうからだ。
冷蔵庫に入れるのは抵抗がある方は、冷やした保冷剤と一緒に保管しよう。
 
早期発見には毎年検査を受けることが重要だ。
検査では通常、2日にわたって便を取る。
がんがあっても、1回の採便で見つかる確率は45%程度と高くないのは
が、2回調べれば70%が見つかる。
大腸がんは進行が遅く、3年くらいは無症状だ。
2年検査を受ければ91%、3年受ければ97%のがんを見つけることができる。
 
実際には、その後の精密検査(内祝鏡検査)での見落としもるので、これほど高い率にはならないが、毎年検査を受けていれば、大腸がんの8割を早期に発見できるとされている。
 
しかし、残念ながら、白本人の便潜血検査の受診率は米国の半分程度にとどまっている。
これが日米の「大腸がん格差」の主因といえる。
 
参考・引用
日経新聞・夕刊 H29.2.16