へそのゴマ

気になるへそのゴマ、取ってもいいの? ~ オイルと綿棒でやさしく

子どものころに、へそのゴマはおなかが痛くなるから取ってはいけない、と言われた人も多いはず。
本当はどうなのだろうか。
放置しておいてもいいのだろうか。
考え出すと気になって、風呂場で視線はついつい、へその穴へと向かってしまう。
 
そもそも、へそのゴマとは何なのか。
これは、へその皮膚から落ちてくる角質に、皮脂などの油分が一緒になり、あかとなってかたまったものだ。
汚れもつくので黒っぽくなり、ゴマのように見える。
 
見た目に美しくない。
だから、ついつい取りたくなる。
ただ、ちょっと待った。
へそは腹膜に接していて、腹膜のすぐ下には腸がある。
あまりいじくると腸を刺激してしまう。
そうするとおなかが痛くなってしまうこともあるという。

へそのゴマは必ず取らなくてはいけないというものではない。
無理に取ろうとして、腹膜を刺激してしまうことのほうが心配だ。
細菌が繁殖することで臭いの原因にもなるが、普段は入浴の際にせっけんなどの泡でやさしく手洗いしてあげれば十分。
刺激の強いナイロンタオルなどは避けたほうが無難だ。
 
ただ、十分に洗い落とせず、長年放置されたままだと、あかがかたまって石のようになってしまうこともある。
「臍石(さいせき)」と呼ばれる。
へそを洗ってはいけないとの教えを守って、黒いかたまりがへそからのぞいたことに驚いて、皮膚科を受診する人もいるそうだ。
 
医療の学会誌での報告もある。

30歳男性が、へそ周辺の痛みに加え、腫れや赤みを訴えて受診した。
黄色っぽいうみも出ていて、炎症の確認ができた。
入院してへその下を少し切り開き、連日洗浄を繰り返したところ、4日目に人さし指の爪ぐらいの大きさの臍石が出てきた。
その後、炎症は急速に改善したという。
 
臍石によってへその穴がふさがり、細菌感染を悪化させた可能性がある。
へそのすぐ下は腹膜なので、へその炎症は腹膜炎に進む恐れもある。
腹膜炎になると腹痛や発熱などが起きうる。
 
ただし、こんなケースは非常に珍しい。
珍しいからこそ学会誌に報告された。
臍石による何らかの症状の報告を国内外の論文で調べたところ、1983~2003年に10症例だった。
 
とはいえ、時折はへその掃除もしたい。
指の爪を立ててガリガリ取るのは禁物。
へその穴にオリーブ油をたらし、少しおいてから綿棒などを使うとうまくとれやすい。
神経質になる必要はなく、1~数カ月に一度ぐらいでいい。

 
イメージ 1


参考・引用
朝日新聞・朝刊 2014.4.19