アルツハイマー、血液で早期発見

アルツハイマー、血液で早期発見  シスメックスエーザイ 原因物質の分析装置開発

血液検査装置大手のシスメックスエーザイは、血液からアルツハイマー病を診断する技術を共同開発する。
病気の原因とされる物質を調べる手法で、専用分析装置の開発にメドを付けた。
2年後にも大学などに研究用として販売する。同病は早期段階の診断が難しい。
高齢化で患者増が見込まれるなか、新技術が実用化すれば患者の早期発見や新薬の開発に寄与する可能性がある。

認知症患者のうち6割近くがアルツハイマー病が原因とされる。
根本的な治療薬はまだ開発されておらずエーザイも含め製薬会社が新薬の開発を進めているが、いずれも発症初期に投与しないと効果が限られる見通し。
 
アルツハイマー病患者の脳内にはアミロイドベータと呼ばれるたんぱく質が蓄積しており、病気の原因の一つとされる。
シスメックスエーザイたんぱく質の構造を精緻に見る、超高解像度の蛍光顕微鏡を開発。
血液検査に必要な一連の装置をこのほど開発した。
 
今後、エーザイが研究用に保管している患者の血液などを分析して、たんぱく質の量や形と病気の進行度との相関関係を調べ、実用性を検証する。
2年後をメドに研究用として大学病院や研究機関に販売し、医療現場での実効性を確かめてもらう。
装置の価格は未定。エーザイは同装置で発見した早期段階の患者を対象に、新薬の臨床試験を始めることも検討する。
 
従来、認知症患者の発見は医師が対面で診断する方法が一般的だが、発症初期の患者を見つけることは難しい。
原因物質は陽電子放射断層撮影装置(PET)を使ったり脳脊髄液を採取したりして調べる方法がある。
ただ費用が高額で、患者の体への負担も大きい。
 
新技術が実用化できれば、従来は発見が難しかった初期の患者を見つけられる可能性が高まる。
製薬会社が新薬の臨床試験をする際に、効果が見込める患者を集めやすくなり、開発スピードが高まる可能性もある。
 
国際アルツハイマー病協会の調べでは世界では2015年で4680万人の患者がおり、50年には3倍の1億3200万人まで増える可能性があるという。
日本発の診断技術を確立できれば、世界の認知症治療や研究のあり方を変える可能性がありそうだ。

 
イメージ 1


 
イメージ 2


参考・引用
日経新聞・朝刊 2017.7.28