CO中毒と脳障害

CO中毒と脳障害 後遺症で社会生活に支障

COは無色・無臭なので気づかないうちに短時間で死亡する危険があり、回復したように見えても、脳の損傷で社会生活がうまく送れずに苦しむ人がいる。

火災による死因でやけどと並んで多いのが、CO中毒。
総務省消防庁によると、2015年の火災による死者1563人のうちCO中毒・窒息は501人(32.I%)で、やけどの487人(31・2%)を上回った。
 
16年に消防隊が出動したCO中毒事故は全国で21件。
火災や死亡事故、自殺未遂などは含んでいない。

▽北海道でまきストーブの煙突の継ぎ目から排気が室内に流れ込み4人中毒(1月)
岩手県のワカサギつりのテント内でガソリン燃料の暖房器具により3人中毒(2月)、などあった。
 
厚生労働省人口動態調査によると、16年には1983人がCO中毒で死亡した。
9割を自死(自殺)が占めている。
1995年からの死者数の推移を見ると、2000年代前半に急増、10年代に入って減少して、ほぼ元の数字に戻っている。
警察庁厚労省の自殺者の年次推移も同じ傾向で、自死が事故死の10倍程度という内訳も変わっていない。
 
住宅でのCO中毒事故の防止のポイントは、火気設備や暖房器具に関して「使用方法を守る」「定期的な点検と清掃」「十分な換気」だ。
東京消防庁によると、12~16年に救急搬送された46件のうち26件は、12月と1月に発生しており、31件は七輪など炭が原因で、9件はガスが原因だった。
 
COは無色・無臭で、酸素を運ぶ血液中のヘモグロビンとの結びつきやすさは酸素の200倍以上と言われている。
このため酸素不足に陥る。
症状は、頭痛、吐き気、めまい、動悸、失神、けいれんなどだ。
大気中のCO濃度が400ppm(0.04%)以上の中に数時間いると循環・呼吸系に影響が出始め、5000ppm(0.5%)では5分で死亡することもある。
      
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命は取り留めても、後遺症が現れることがある。
昏睡状態からを取り戻した後、「同じことを何度も聞く」「順番を守れない」「ぼんやりしている」「我慢できない」 「パニックになる」などの症状が出る。
  
高次脳機能障害」と呼ばれる症状で、CO中毒以外でも、交通事故などによる頭部外傷、脳梗塞や脳内出血などの病気によって、脳が損傷を受けることで起きることがある。
他人からは一見して分からず、本人も自覚していないことがあるが、社会生活に大きな支障を来すので、まわりの人たちの理解が必要だ。


一酸化炭素(CO)中毒
⚫︎ 初期 ・・・ 頭痛、吐き気、めまい、失神、けいれん、死亡など
⚫︎ 後遺症 ・・・ 腰性的な頭痛、学習記憶障害など

主な原因
⚫︎ 屋内での火鉢や木炭コンロなどの使用
⚫︎ 換気の悪い場所でのガス湯沸かし器、石油ストーブなどの使用
⚫︎ 自動車のマフラーが雪に埋もれた状態などでエンジンをかける
練炭や排ガスによる自殺

高次脳機能障害症状
⚫︎ さっき話したことを覚えていられない
⚫︎ ボーッとし、仕事や勉強に集中できない
⚫︎ 急に怒ったり泣いたりする
⚫︎ すぐに疲れ、言葉が出にくくなる
⚫︎ 物によくぶつかる

参考・引用
朝日新聞・朝刊 2017.12.16