認知症予防、誰でもなる可能性
認知症を治す方法が確立しないなか、予防への関心が集まる。ただし確実な手段はなく、予防へのこだわり過ぎは患者への偏見にもつながりやすい。
「いつか誰でも認知症にかかる」のを前提に、リスクとなる要因を避けることで先送りをめざそうと考えたほうがよさそうだ。
難聴の人にとって補聴器は頼れる存在だが、つけただけでうまく聞こえるとは限らない。
聞こえない状態に脳が慣れ、補聴器を通じた音をうるさく感じやすいのだという。
聞こえない状態に脳が慣れ、補聴器を通じた音をうるさく感じやすいのだという。
いろいろな音の中から必要な音を聞き分けて情報として理解し、日常生活でスムーズに対話できるようにするのがリハビリの目的だ。
認知症のリスク要因として難聴が大きく注目されたきっかけは、英医学誌が昨年発表した報告書だ。
これまでの研究をもとに「(高齢者を含む)中年期以降の難聴は、認知症の要因の9%を占める」とされた。
難聴の人はそうでない人に比べ、認知症のリスクが1.9倍あるという。
これまでの研究をもとに「(高齢者を含む)中年期以降の難聴は、認知症の要因の9%を占める」とされた。
難聴の人はそうでない人に比べ、認知症のリスクが1.9倍あるという。
難聴がリスクを高める理由はまだはっきりとはしていない。
聴覚からの刺激が減って神経の活動が落ちるといった直接的な作用や、聞こえないことで社会から孤立しがちになるなどの間接的な影響が考えられている。
ある調査によると、日本には65歳以上の難聴の人が約1500万人いると推定される。
聴覚からの刺激が減って神経の活動が落ちるといった直接的な作用や、聞こえないことで社会から孤立しがちになるなどの間接的な影響が考えられている。
ある調査によると、日本には65歳以上の難聴の人が約1500万人いると推定される。
単に補聴器をつけるだけでなく、訓練してきちんと聞き取れるようになって初めて、認知機能へのいい影響が望める。
補聴器を使いこなせれば対話の機会が増え、やはり認知症のリスク要因とされる孤立や「うつ」を避けやすくなる。
補聴器を使いこなせれば対話の機会が増え、やはり認知症のリスク要因とされる孤立や「うつ」を避けやすくなる。
難聴のせいで職場や家庭でコミュニケーションに支障があるなら、早めに耳鼻咽喉科を受診したい。
いまの技術では難聴そのものを治すのは難しい。
だから難聴にならないよう注意することにも意味はありそうだ。
騒音に長くさらされることは難聴を招く最大の要因。
工事現場など音の大きい環境で働く人には職場による配慮が第一。
ただ、個人レベルでも防護策を考えてほしい。
ヘッドホンなどで大音量の音楽を聴いたりするのは1日1時間以内
ほどにとどめたほうがいい。
いまの技術では難聴そのものを治すのは難しい。
だから難聴にならないよう注意することにも意味はありそうだ。
騒音に長くさらされることは難聴を招く最大の要因。
工事現場など音の大きい環境で働く人には職場による配慮が第一。
ただ、個人レベルでも防護策を考えてほしい。
ヘッドホンなどで大音量の音楽を聴いたりするのは1日1時間以内
ほどにとどめたほうがいい。
発症の先送りめざす
いま認知症の治療に使われる薬は、症状の進行を抑えるだけで効かないことも多い。
予防への期待は高まるが、「これをすれば確実に防げる」といった方法はない。
有力とされている「よく運動する」も、科学的な効果の検証が十分とまではいえない。
英医学誌の報告書だと、認知症につながる要因のうち65%は対策ができない遺伝的要素などが占める。
対策可能な要因には「若いころの教育不足」(8%)など、高齢になってからではどうにもならないものもある。
厚労省研究班の調査によると、認知症にかかる人の割合は65~69歳では約3%だが、85~89歳では41%、95歳以上では80%に達する。
このように、長生きをすれば認知症になる割合は増えるが、これをを避けるのは実際には現時点では難しい。
予防への思いが強すぎると「認知症になったら終わり」といった偏見に陥りやすい。
でも、認知機能が下がっても幸福感を抱く高齢者は少なくない。
自分もいつかは認知症になることを踏まえたうえで、その先送りをめざすのが予防だととらえるたほうがよい。
「自分もなる」のが前提であれば、偏見につながるおそれも減る。
運動をし、喫煙や生活習慣病を避けることは、がんや脳卒中、心身の活力が落ちるフレイルなどを防ぐことにもつながり、生活の質を上げる。
認知症を防げなかったとしても取り組む意味はある。
いま認知症の治療に使われる薬は、症状の進行を抑えるだけで効かないことも多い。
予防への期待は高まるが、「これをすれば確実に防げる」といった方法はない。
有力とされている「よく運動する」も、科学的な効果の検証が十分とまではいえない。
英医学誌の報告書だと、認知症につながる要因のうち65%は対策ができない遺伝的要素などが占める。
対策可能な要因には「若いころの教育不足」(8%)など、高齢になってからではどうにもならないものもある。
厚労省研究班の調査によると、認知症にかかる人の割合は65~69歳では約3%だが、85~89歳では41%、95歳以上では80%に達する。
このように、長生きをすれば認知症になる割合は増えるが、これをを避けるのは実際には現時点では難しい。
予防への思いが強すぎると「認知症になったら終わり」といった偏見に陥りやすい。
でも、認知機能が下がっても幸福感を抱く高齢者は少なくない。
自分もいつかは認知症になることを踏まえたうえで、その先送りをめざすのが予防だととらえるたほうがよい。
「自分もなる」のが前提であれば、偏見につながるおそれも減る。
運動をし、喫煙や生活習慣病を避けることは、がんや脳卒中、心身の活力が落ちるフレイルなどを防ぐことにもつながり、生活の質を上げる。
認知症を防げなかったとしても取り組む意味はある。