手術はどの病院でしましょうか?

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ブラジリエ CHANTAL AUX GRAJEULS
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患者さんが、がんを含めて手術の必要な病気にかかった時、意外と
紹介先の病院に頓着しない方が多いのに驚きます。
一般的には、近いところがいいと言われることが多いのです。
家族のことを慮(おもんばか)ってのことでしょうか?
近くに当方で自信を持ってお薦め出来る場合には問題ありません。
少し遠くなってもいいんなら、いい病院が他にありますよ、
とお話しすることがあります。
最終的にはゴリ押しせずに患者さんの希望が優先されること
になります。
さて、いい病院といっても病院が手術するわけではありません。
あくまでも医師という人間が手術するわけです。
そういったスタッフも転勤、退職などで時々刻々ダイナミック
に評価が変わる可能性を秘めています。
それらの情報をリアルタイムに把握しておくのも、病院へ紹介する
開業医の腕の見せ所です。
昨今は「いい病院 全国ランキング」ばやりです。
データのマジックを見抜く眼力も必要ですが、最新の情報を知って
おくことが肝要というわけです。

さて、こんな記事が載っていましたが、ここでも冷静な目が必要です。

がん生存率、専門病院ごとに初公表  
   患者の要望に応え  2007年10月05日
国公立のがん専門病院などでつくる「全国がん(成人病)センター
協議会」(全がん協、30病院)は、一部の加盟施設の胃がん
肺がん、乳がん、大腸がんの「5年生存率」を公表した。
がん治療の中核施設でつくる全がん協が、施設名を明らかにして生存率
を公表するのは初めて。
施設ごとの治療成績の開示を求める患者の要望に応えるとともに、
各施設に「差」の要因分析を促し、全国で同じ水準の治療を受けられる
ようにする目的がある。
    公表されたがん5年生存率(略)
30施設の診療内容を、厚生労働省研究班が解析。
99年中に初めて入院治療を受けたがん患者について、その5年後
の生存率を算定した。
データの精度を高くするため、各部位別に100人以上治療した
▽治療した全患者のうち9割以上を、5年後まで追跡できた
▽6割以上でがん進行度を判定できた
――などの基準を満たした施設について生存率を算定。
このうち、公表に同意した施設の名前を明らかにした。
年齢、性別による影響は計算で除いた。
この結果、生存率を算定できた施設数は、胃がん18、肺がん15、
乳がん11、大腸がん12。
それぞれ、5~3施設が公表に応じなかった。
胃がんでは、最も高かった国立がんセンター中央病院(84.1%)
と、最低の匿名施設(45.5%)には38.6ポイントの差があった。
偏りを避けるために外科症例のみ解析した施設を除くと、次に最高と
最低の差が大きかったのは肺がんの30.8ポイント。大腸がん
23.8ポイント、乳がん20.6ポイントだった。
ただ、胃がんで中央病院では、がんが最も早期の「1期」の患者が
70%を占め、最も進行した「4期」との比が12.3。
逆に最低だった匿名病院は、その比が1.2で、重症患者の割合が高い。
研究班は「数字をそのまま医療の質が高いととらえず、治療について
医師と話す際の資料にしてほしい」という。
全国286の「がん診療連携拠点病院」でも昨春から、国が示した統一
手順で患者を追跡する仕組みが始まっている。
14年ごろには、全がん協と同様の基準で5年生存率を算定できる
という。
公表データは、全がん協のホームページの「全がん協加盟施設の生存率
協同調査」から、見ることができる。
http://www.asahi.com/health/news/TKY200710040332.html
<コメント>
あれっ。天下の癌研有明病院が入ってない。
あっ、そうか「国公立のがん専門病院などでつくる」ということで
入ってないのか。
そういやー癌研有明病院って国公立じゃないもんなあ。
そうすると私立大学病院は当然入ってないことになる。
もちろん全がん協加盟施設に加盟してない国公立大学病院や他の公立
病院は全く入っていません。
たかだか30施設のデータです。
厚生労働省研究班が解析」って内容には何故って思ったが結局国立
と県立を比較したかっただけ。
協会に入っていて匿名の病院があるのもおかしいけど、全くの国費
の無駄遣いということがわかる。
実際はこの30施設以外に実績のある病院は山ほどあるのに、
人心を惑わすことも甚だしい、というのが率直な感想。

全がん協加盟施設の生存率協同調査について
http://www.gunma-cc.jp/sarukihan/seizonritu/
全がん協加盟施設(30)
http://www.zengankyo.ncc.go.jp/whatis.html#03


最後にもう一つ
拠点病院、高い生存率 がん治療 3府県で調査  2007年10月02日 
がん治療で中核的な役割を果たす現在の「がん診療連携拠点病院」で
治療を受けた患者の5年後の生存率が、自治体全体での生存率に比べて
大幅に上回っていることが分かった。
    途中略
厚生労働省は、全国どこでも質の高いがん医療を受けられるように
拠点病院の整備を進めており、全国で286病院が指定されている。
津熊部長は「病院ごとの得意分野もある。今後のがん医療では、
病院同士が患者を紹介したり、連携したりして役割分担することが
重要だ」と話した。
http://www.asahi.com/health/news/TKY200710020295.html


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