インフル薬ゾフルーザの耐性ウイルス、患者から検出
国立感染症研究所は、新しいインフルエンザの治療薬「ゾフルーザ」を使った患者から、治療薬に耐性をもつ変異ウイルスが検出されたと、(2019年1月)24日発表した。
塩野義製薬が開発、昨年発売したゾフルーザは、5日間連続でのみ続けたり、吸入が必要だったりする従来の薬と比べ、1回錠剤をのめば済むため、ネットなどで「画期的な治療薬」として話題になった。
一方、臨床試験の段階から、従来のインフルエンザ治療薬より耐性ウイルスが生まれやすいと指摘されていた。
耐性ウイルスが広がると薬の効果が薄れるため、専門家は「薬の特徴を踏まえた上で適切な処方を」と呼びかけている。
耐性変異ウイルスが見つかったのは昨年(2018年)12月。
横浜市の小学校2校でインフルエンザの集団発生があり、A型にかかってゾフルーザをのんだ2人の小児から検出された。
変異を持たないウイルスに比べて、ゾフルーザに対する感受性が約80~120倍低かった。
2人の耐性変異ウイルスは遺伝子配列が異なり、ヒトからヒトへの感染ではなく、それぞれの体内で増殖したとみられるという。
ゾフルーザは臨床試験でも、耐性変異ウイルスの検出率が12歳未満で23.3%、12歳以上で9.7%と高かった。
タミフルなど従来の治療薬の検出率は0~2%程度だ。
「1回のむだけと便利だが、医師は耐性変異ウイルスのリスクも忘れず、注意深く処方するべきだ」と専門家は語る。
参考・引用一部改変
朝日新聞 2019.1.25