大腸がんの手術後の食事

大腸がんの手術後の食事

何を食べても基本的には大丈夫。
「大腸癌研究会」の治療ガイドラインも、術後の生活について、「原則として食事に制限は
ない」と明示している。
手術の傷を早く治し、体力を回復させるため、しっかりした食事は欠かせない。
その際に大切なのは、よくかんで、ゆっくり食べることだ。
急にたくさん食べると、まだ動きの悪い腸に負担がかかる。
 
この「何を食べても大丈夫」という前提の上で、いくつか注意点がある。
もっとも気をつけたいのが腸閉塞を予防することだ。
術後はまだ腸の動きが悪いため、食べ物が詰まってしまう恐れがある。
激しい腹痛や吐き気をともなう。

腸閉塞を防ぐため、不溶性の食物繊維を取り過ぎないようにしたい。
食物繊維はごぼうやタケノコなどの根葉、しいたけなどのキノコ類、野菜や果物の皮などに多く含まれる。
消化吸収されずに腸まで届いて負担になる。
 
逆に、摂りたいのがたんぱく質だ。
肉、魚、卵、大豆製品を偏らずに摂りたい。
牛や豚の赤身肉は傷の回復を助ける鉄や亜鉛が豊富だ。
鶏のレバーや魚の切り身も、おすすめだ。
  
「野菜は控えめ、肉は積極的に」は、通常の健康的な食事法と正反対の印象がある。
これは腸閉塞の予防が大事なためだ。
術後1~3ヵ月は注意を続けたい。
 
1回の食事量が多くなるのも腸にとって負担だ。
1日の食事を5~6回に分け、食事量が少ない分を間食で補うのもよい。
最近は、手術後の絶食期間を短くして、食事を早く取ることで回復力を強める「ERAS」(術後回復力強化プログラム)が広がり、がん研有明病院でも取り組んでいる。


参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2019.2.22



<関連サイト>
ERASプロトコル:実践に役立つ基礎と臨床の最新知見
https://www.nutri.co.jp/nutrition/keywords/ch8-2/




入院期間を短縮しQOLを向上させる、ERAS(イーラス)
https://www.akiramenai-gan.com/medical_contents/column/60503/