難治がん新薬、高額の壁

難治がん新薬、高額の壁 薬価抑制の前例も キムリア承認へ

保険適用される見込みとなった、キムリア。
1度の治療で済み、よく効くが、米国では4千万~5千万円と高価だ。
白血病治療では、1カ月後に効果があった場合のみ製薬会社に費用が支払われる。
日本にはこうした成功報酬のような仕組みはない。 
今春以降にわかる国内価格は、米国のものを参考にするとされ、高額が予測される。
高くても「高額療養費制度」があり、患者の自己負担には上限がある。
一方で医療保険財政の圧迫につながる。
医療費抑制ため、政府は薬価制度改革に取り組んできた。
  
当初1人あたり年約3500万円と高額で、肺がんにも使えるようになり販売額が急増したがん治療薬オプジーボは、緊急値下げなどでこれまでに半額以下になった。
 
厚生労働省は今年度、対象者や使用量が増えた場合などには、通常2年に1度の薬価改定を年4回にし値下げできるルールを導入した。
(2019年)20日には来年度から始める新薬の費用対効果を評価して価格を下げる新制度の具体的な内容も決定した。
 
今回、キムリアの対象となる血液がん患者は国内に年250人ほどとされる。
だが適用拡大により、対象者が1万人を超す可能性もある。
厚労省幹部は「仮に対象患者が増えても、薬価値下げが出来る制度は整っている。対応はできるはずだ」と話す。
 
20日はほかに遺伝子治療で、アンジェス(本社・大阪)の血管新生を促すたんぱく質の遺伝子を使う「コラテジェン」の製造販売も条件付きで了承された。
森下竜一・大阪大学寄付講座教授らが研究開発したもので、手足の血管が詰まって血流が乏しくなり潰瘍ができた、難治の「慢性動脈閉塞症」の患者が対象。
 
遺伝子治療は、病気の改善に役立つ遺伝子を細胞やウイルスなどに加えて体内に入れるもの。
欧米では2012年以降、承認が相次ぐ。
重い遺伝病のほか、がんや血友病など様々な病気の治験が進んでいる。

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2019.2.21