万能でない野菜・果物

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三浦 裕之 「白い器とざくろのある静物」  油彩画 キャンバス 10号
http://page15.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/t67419135

一部のがん予防に野菜・果物の摂取が重要と言われています。
それは10年から20年ほど前に盛んに行われた研究の結果によるものです。
ところが最近、より大規模な欧米の研究で、野菜や果物とがんとの関係は、
あってもごくわずかという結果が相次いで出されています。
きょうは、このことに関する新聞記事からの紹介です。

がん予防、疑問符も

野菜と果物は、十年ほど前までがん予防の万能薬のように考えられてきた。
しかし最近、この傾向が後退気味だ。

野菜の予防効果について1997年の世界がん研究基金報告書では、口腔
(こうくう)・咽頭(いんとう)・食道・肺・胃・大腸のがんが「確実」、
喉頭膵臓(すいぞう)・乳房・膀胱(ぼうこう)のがんが「おそらく確実」
の判定だった。
しかし2007年の同基金報告書では「確実」の判定はなくなり、口腔・咽頭
喉頭・食道・胃のがんが「おそらく確実」と判定されるにとどまった。

果物の予防効果については1997年時は、口腔・咽頭・食道・肺・胃のがん
が「確実」、喉頭膵臓・乳房・膀胱のがんが「おそらく確実」の判定だった。
しかし2007年には、野菜同様「確実」の判定はなくなり、口腔・咽頭喉頭
食道・肺・胃のがんが「おそらく確実」と判定されるにとどまった。
特に変わったのは乳がん
1997年は野菜も果物も「おそらく確実の判定だったが、2007年には
どちらの判定も取り消されてしまった。
こうした変化の背景には、調査方法の進歩がある。

以前は、がん患者に過去の食生活を思い出してもらう研究が多かった。
最近は、健康な集団の食生活を事前に調べ、その後のがん発症を追跡
調査で確認する研究が増えた。
新しい研究で、野菜と果物の効用が再確認されるのではなく、むしろ否定されたり
限定されたりする傾向が生じているわけだ。

むろん今でも、野菜と果物がいくつものがんの予防に有用なことに変わりはない。
世界がん研究基金も、野菜と果物を合わせて1日400グラム以上食べることを
勧めている。
がん以外の糖尿病・心臓病・脳卒中等の予防にも、野菜と果物は有用だ。

とはいえ、がん予防の手段として、野菜と果物を万能視するような傾向が弱まって
いるのも確か。
一つ二つの要因だけに注意すれば万全とはいかないようだ。
食事・運動・肥満・喫煙など、幅広く目配りすることが大切だろう。
東北大学公共政策大学院教授  坪野吉孝)

日経新聞・朝刊 H20.3.16 「健康情報読み解く」より
版権 日経新聞

<関連サイト>
野菜は旬のものを
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2008/02/20
果物に脳卒中予防効果
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2007/10/25
がん予防「野菜の効果」は限定的 英の研究基金が報告書2007年11月24日
http://www.asahi.com/health/news/TKY200711240056.html
(今回の新聞記事のもととなった記事です)
がん予防のためには、野菜を食べるだけでは安心できない――。
世界がん研究基金(本部・ロンドン)が公表した報告書で、こんな評価が出た。
10年前にまとめた最初の報告書では、野菜の摂取は肺など5種のがんについて
「確実にリスクを下げる」と5段階で最も高く評価されたが、今回は急落。胃など
について、「恐らく確実にリスクを下げる」とされるにとどまった。
代わって浮上したのは「適正体重の維持」だった。
97年の初版は各国のがん対策に反映されており、今回の報告書も影響を与え
そうだ。

報告書は、生活習慣とがんに関する研究のうち、この10年間に発表された
3000件を加えた計7000件を解析。
野菜、肉、アルコールの摂取や運動などが、がんにかかる危険性と関係する程度を、
5段階で評価した。

10年で最も大きく変わったのが野菜への評価。初版で野菜が「リスクを確実に
下げる」とされたがんは、口腔(こうくう)、食道、肺、胃、大腸。「恐らく確実に
下げる」が喉頭(こうとう)、膵臓(すいぞう)、乳房、膀胱(ぼうこう)。
多くのがんの予防につながるとされた。

それが今回、「確実に下げる」はゼロ。「恐らく確実」も口腔・咽頭(いんとう)・
喉頭、食道、胃の各がんにとどまった。

果実も似た傾向。前回は8種のがんにかかる危険性を「確実」「恐らく確実」に
下げるとされた。今回は、胃など4種のがんの危険性を下げるのが「恐らく確実」
だった。

その一方で危険因子として浮かび上がったのが「肥満」(日本では体格指数=
BMI25以上)で、食道、膵臓、大腸、乳房(閉経後)、子宮体部、腎臓の各がん
で「リスクを確実に上げる」とされた。

ただ、一般的には野菜を多く食べ、運動することで「肥満」を防げるとされる。

●坪野吉孝・東北大教授(疫学)の話 過去に例がない大規模な研究分析で、
信頼性は高い。
ただ、肉類の摂取量などは欧米と異なるため、日本人向けに独自検証が必要なものも
あるだろう。


あなたの健康百科 食事でがん予防を
http://www.medical-tribune.co.jp/kenkou/200401021.html
逆に、がん発生のリスクが高い飲食物として、まず挙げられるのがアルコール飲料
たばこ。次いで、塩分の取り過ぎ、肉類、動物性脂肪などだ。

スプラウト野菜はがん予防になる!?
デザイナーズフーズって知っていますか?
http://allabout.co.jp/health/womenshealth/closeup/CU20060823A/index2.htm
ブロッコリースプラウトに関しては、1997年アメリカの医学者がブロッコリーの新芽
にガンを強力に防ぐ作用があるという発表を行ってブームになったことでも有名です。

ブロッコリーの中のスルフォラファンという辛味成分が肝臓の解毒作用を高め、食事中
の発ガン物質を壊すことでガン抑制作用があるといわれています。
加えて抗酸化作用もあり、その効果によるガン抑制作用も期待できるとのことでした。

野菜・果物摂取と大腸がんとの関係について
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/25/veg_fru_colon.html

<自遊時間>
チベットの暴動の件で、ダライ・ラマ がクローズアップされています。
私の記憶の中にあるダライ・ラマの風貌は昔と変わりません。
年齢はいくつだろうと不思議に思い、つい調べてしまいました。
テンジン・ギャツォ、1935年 生。
73歳のようです。結構若かったんですね。

ダライ・ラマ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%9E
先代のダライ・ラマが没した後、僧たちによって、次のダライ・ラマが生まれる地方
やいくつかの特徴が予言される。
その場所に行き子供を探し、誕生時の特徴や幼少時のくせなどを元に、その予言に合致する
子供を候補者として選ぶ。
その上でその候補者が本当の化身かどうかを前世の記憶を試して調査する。
例えば、先代ゆかりの品物とそうでない品物を同時に見せて、ダライ・ラマの持ち物に愛着
を示しそれを手に取った時、またその持ち物で先代が行っていた事と同様のくせを行ったり
したとき、その子供はダライ・ラマの生まれ変わりと認定される。

■新聞を読んでいてスポーツ欄の西武ライオンズボカチカ選手の名前が気になりました。
ボカチカ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%82%AB%E3%83%81%E3%82%AB
入団会見で名前に引っかけて「ボカチカ打って、新聞の見出しにも使われて、人気のある選手
になって欲しい」と球団社長からコメントされた。
(誰でも考えるオヤジギャグだったんですね。アブナイアブナイ)

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井蛙内科開業医/診療録 
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