減塩の効果

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塩分の取り過ぎは、高血圧などから起こる脳梗塞脳出血クモ膜下出血心筋梗塞
腎障害などの様々な病気の原因とされいます。
また、している「ガンにならないための12ヶ条」(国立がんセンター発行)でも塩分
の取り過ぎについてとりあげられるなど、「ガン」の原因としても有名です。
このように人間にとって必要不可欠なものにかかわらず、摂りすぎることによって害
(毒)にもなるのです。
さて人間の1日の塩の必要量は「1.5g」といわれ、摂取上限は、WHO(世界保健機関)に
よると「6.0g」になっています。
最近、高血圧学会でも日本人の推奨摂取量は、この6グラムに大幅に引き下げられま
した。
きょうはちょっと古い新聞記事ですが「塩分」の話を紹介したいと思います。

血圧下げ 胃がんも予防

毎日、どれほどの塩分をとっているだろう。
1週間の食事を記録し、聖マリアンナ医大病院の川
島由起子栄養部長に概算してもらった。
 
1日あたり13.7グラム。
晩にギョーザをたらふく食べた曰は20グラムを超えていた。
日本人の平均摂取量は11.2グラム(2003年)。
「外食で、しょっぱいと思わない人は塩分の取りすぎ。
いつも濃いと味覚の感受性が鈍くなる」と川島さん。
   
   ■□■

厚生労働省が取り組む「健康日本21」は、2010年
までに1日あたりの食塩摂取量を、10グラム未満に抑えることを目標とする。
ただし、これは健康な人の話。
日本高血圧学会の指針では、高血圧患者なら6グラム未満だ。

藤田敏郎・東京大教授(内科学)によると、ブラジル奥地に暮らすヤノマモ族は
1グラム以下で、年をとっても血圧は上がらないらしい。
旧石器時代の摂取量は1.5グラムだったと推計されるという。

塩は食品を長持ちさせる。
生活圏の拡大、文明化で塩分を過剰にとるようになった。
水分で薄めようと血液が増えて血圧が上がる。
「私たちは塩をため込むホルモンを持つが、10グラムもとるとは想定して
いなかった」

海外の報告では、高血圧患者が1日の食塩摂取量を1グラム減らせば、収縮期血圧
(上の血圧)が1.2Hg下がる。

ただ、減塩で血圧がよく下がる人は4割。
ほとんど変わらない人もいる。
高齢者や肥満者、女性、家族に高血圧の人が
いる人、糖尿病などがある人は下がりやすいとい
う。

    ■□■

減塩は、日本人に多い胃がんの予防にもつながる。厚労省研究班が、日本人男女
約4万人を、10年にわたって調べた。
男性で食塩摂取量が最も多い集団は、最も少ない集団より、胃がんのリスクが2倍
以上になった。
胃の中で塩分濃度が高まると、粘膜が傷ついて胃炎となり、発がん物質の影響を
受けやすいらしい。
減塩して損はない。
でも味気ない食事はいやだ。
川島さんに、手軽な減塩のコツを聞いた。

▽みそ汁やラーメンの汁・をいくらか残す
▽さしみなどにべったりしょうゆをつけない
▽香辛料や酢、香味野菜などを使う
▽減塩食品を使う
などだ。
「味が薄いものもほかのおかずと組み合わせれば食べやすい。外食はまず何もつけ
ないで食べ、どうしても欲しいなら調味料を一筋だけつける。少しの工夫で結構減ら
せます。無理せず、できることから」

藤田さんも「高血圧になってからでなく、若いころからの減塩が重要。1人では
続かないので、家族ぐるみもいい。高齢者は急激な減塩で脱水症状になることもあり、
徐々に少なく」と勧める。

米国では原則として缶詰、瓶詰などの包装食品は主要栄養成分の表示が義務づけられて
いるが、日本では「任意」だ。
栄養成分としてナトリウム表示しているものは、塩分に換算するには2.54倍する必要
がある。

食品にどれだけ塩分が含まれているかを知りたい人は、「新毎日の食事のカロリー
ガイドブック」「新外食・テイクアウトのカロリーガイドブック」(いずれも女子栄養
大学出版部、税込み1680円)などが参考になる。
同じテリヤキバーガーもチェーンによって2倍近く違い、面白い。


出典 朝日新聞・朝刊 2006.2.12
版権 朝日新聞社

ご存知の通り、ごはんは塩分は一切含まれていません。
一方パン、パスタ、うどんなどのごはん以外の加工品としての主食には、塩が添加
されています。
これらと一緒にバターやハム、チーズなどの副食が加わると塩分の過剰摂取となっ
てしまいます。
欧米の人は塩分摂取量が日本人に比べて少ないといいますが、ちょっと不思議ですね。
日本人の場合には、主食がごはんの場合に副食で塩分をたくさん摂取していること
になります。

その他の減塩の注意点としては
■ 料理の際には「塩&胡椒」ややめて「塩」と「胡椒」を別々に使う。
■天然界の降圧剤といわれているカリウムの多い食品を多く摂取する。このカリウム
はジャガイモや人参、マッシュルームなどの野菜やキノコにはが多く含まれています。

塩分10グラムを実際に計って実感してみることも大切です。

実際の食事にはどれだけ塩分が含まれているのでしょうか。

「五訂食品成分表」でみると次の食品にはこんなに塩分が含まれています。
もうそれだけで1日分の塩分がとれてしまうぐらいの量になります。
(1)ビーフカレー 4.1g
(2)天丼 3.6g
(3)お好み焼き 3.1g
(4)鍋焼きうどん 6.7g
(5)カツ丼 6.9g
(6)ざるそば 3.8g
(7)豚の生姜焼き定食 7.2g
(8)チャーハン 4.7g

次に調味料の塩分量は
調味料大さじ一杯(15g)における食塩の量(g) 
濃い口醤油 2.5g
減塩醤油 1.4g
赤だし醤油 1.9g
白味噌 1.1g
減塩味噌 0.9g
ウスターソース 1.4g
減塩ソース 0.7g
トマトケチャップ 0.6g
マヨネーズ 0.3g
マーガリン 0.3g

ナトリウム400mg弱で食塩1gということになりますから食塩10gはナトリウム
4グラム弱、6グラムは2.4グラム弱ということになります。

かくいう私もラーメン、うどんの汁は全部すすってしまいます。
本当はこんなお話をする資格はありません。


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