砂糖入り飲料の飲みすぎに注意

砂糖入り飲料の飲みすぎはがんを招く?

加糖飲料と100%ジュースの摂取量が多い人ほどがんのリスクが上昇

加糖飲料と100%ジュースの摂取量が、がんの発症リスクの上昇と関係することが、フランスで行われた大規模疫学研究で明らかになった。

 

砂糖入り飲料は高血圧や糖尿病のリスクと関連、ではがんは?

砂糖や人工甘味料を含む飲料は、肥満や高血圧、糖尿病などのリスクを上昇させる可能性がこれまでの研究で示唆されている。

しかし、こうした飲料の摂取と、がんの関係を調べた質の高い研究はほとんどなかった。

 

今回、フランスの研究者たちは、同国で進行中の「NutriNet-Santé研究」に2009~2017年に参加した、がんではない18歳以上の10万1257人(平均年齢42.2歳、男性21.3%)を追跡し、加糖飲料などの摂取量とその後のがん(あらゆるがん、乳がん前立腺がん、大腸がん)発症の関係を検討した。

 

同研究の参加者は、3300種類の飲料と食品の日常的な摂取についての調査を6カ月ごとに受けていた。

研究者たちは、当初2年間の結果を利用して、加糖飲料(砂糖が入ったソフトドリンク、ホット飲料、乳飲料、果汁入り飲料、スポーツドリンクなど/砂糖含有量の中央値は10.7g/100mL)、100%フルーツジュース、および人工甘味料を含有する飲料の摂取量を推定。

このうち「加糖飲料と100%ジュースを合わせた摂取量」に基づいて、対象者を4群に分けた。

 

加糖飲料と100%ジュースを合わせた摂取量が一番少ない群の1日当たりの摂取量は平均27.6mL(うち100%ジュースは16.2mL)、一番多い群では185.8mL(うち100%ジュースは107.5mL)だった。

対象者全体の1日当たりの摂取量の平均は、女性が74.6mL、男性は90.3mLだった。

 

5.1年(中央値)の追跡期間中に、2193人が何らかのがんを発症し、うち693人が乳がん、291人が前立腺がん、166人が大腸がんと診断されていた。

がん診断時の平均年齢は58.5歳だった。

 

1日の摂取量が多いほどがんのリスクは上昇

分析の結果、加糖飲料と100%ジュースを合わせた摂取量が多い人は、がんのリスクが高いことが分かった。

これらの飲料の1日当たりの摂取量が100mL増加するごとに、何らかのがんを発症するリスクは18%上昇してた。

 

乳がんリスクとの関係も認められた。

加糖飲料と100%ジュースを合わせた1日当たりの摂取量が100mL増加するごとに、乳がんのリスクは22%増加していた。

ただし、統計学的に有意なリスクの上昇が認められたのは、閉経前の女性の乳がん発症のみだった。

 

飲料の種類別に見ると、100%ジュースも、加糖飲料も、がんのリスク上昇に関係していた。

加糖飲料については乳がんリスクの上昇とも関係していた。

 

一方で、人工甘味料を含有する飲料の摂取とがん発症の間には有意な関係は認められなかった。

大腸がん、前立腺がんについては、どの飲料の摂取量との間にも有意な関係は見られなかった。

 

著者らは、今回得られた結果が他の大規模な集団においても確認されれば、これらの飲料の摂取を減らすことでがんのリスクを下げられる可能性があると考えている。

 

論文は、2019年7月10日付のBMJ誌電子版に掲載されている。

Chazelas E, et al. BMJ. 2019 Jul 10;366:l2408. doi: 10.1136/bmj.l2408.

 

参考・引用一部改変

日経Gooday 2019.10.2