お風呂を楽しむ
お風呂を楽しむ 40度に10分、入浴効果
体あたため疲労回復 事故も多発、温度差に注意
何げない入浴も、ポイントを押さえると、より効果的に、安全に、楽しめる。
入浴は、手軽で、優れた健康法だ。
積極的に、健康を意識して入ってみるのもいい。
お風呂の代表的な効果は「温熱作用」。
体が温まると血管が広がって血液の流れがよくなる。
すると、酸素や栄養分などが行き渡り、老廃物も回収されやすくなる。
温めると、慢性的な痛みの原因となる神経の敏感さが和らぐ効果もある。
ほかにも、水圧によって締め付けられることで血漑が改善する「静水圧作用」、お風呂の中で浮く関節や筋肉の緊張が緩む「浮力作用」などが期待できる。
こうした作用が総合的に働くことで、介護が必要になるリスクを減らす可能性もある。
要介護認定を受けていない高齢者1万4千人弱を3年間にわたって追跡調査した研究で、週7回以上湯船で入浴するグループは、週2回以下のグループに比べて3割程度、新たに要介護認定を受けるリスクが減ったという。
睡眠の質が上がる、体の痛みが和らぎ、疲労も回復することで活動的になる。
お風呂に入ることで得られる、こうした総合的な好循環が影響したと考えられる。
ただ、気に留めて置くべきこともある。
秋から冬にかけての季節は要注意だ。
11月から3月は、お風呂の事故が多い。
厚生労働省の研究班が推計したところ、入浴に関連する事故で年間約1万9千人が亡くなっているという。
リビングなどとお風呂場との温度差で、血圧が大きく変わる「ヒートショック」によって引き起こされる脳卒中や心筋梗塞が原因とされている。
ほかにも、熱中症やアルコールによる影響など、原因についてはさまざま指摘がある。
シニアがお風呂に入る際に特に注意すべきことは、気持ちいいからと浴槽の中で寝ないこと。
場合によっては溺死につながる恐れもある。
一気に全身でつからず、はじめの3分は39度前後の「ぬる湯で半身浴」をする入浴法がよい。
心臓や肺への負担を避けることができる。
効果的なお風呂の入り方とは、40度のお風呂に10分が目安となる。
体を温める必要があるため、ぬるすぎてはいけない。
一方、42度だと体へのダメージも大きい。
交感神経が刺激されることで、活動的になり、睡眠の妨げにもなりかねない。適度に体を温めるのが「40度に10分」なのだ。
水分補給も忘れずにしたい。
入浴前後でペットボトルー本分(500ml)程度の水分摂取が望ましい。
あなどってはいけないのが「保温」。
お風呂で潤ったお肌は10分程度で急激に乾燥する。
すぐにクリームなどで保温することが大切だ。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2019.10.26
<関連サイト>
ヒートショックを防ぐには
https://osler.hatenadiary.org/entry/43541306
冬場の入浴、温度差に注意
https://osler.hatenadiary.org/entry/43031125
寒い冬、温度差にご用心
https://osler.hatenadiary.org/entry/42670771
寒い冬、血圧が急変
https://osler.hatenadiary.org/entry/42561829
高齢者、寒い日にご用心