更年期対策 30代から

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女性更年期障害の症状は、不定愁訴といわれ、症状は日によって強さや種類が変わります。
症状にも大きな個人差があります。
この更年期障害も閉経の前後10年あるとのことですから、結構早くから現れる可能性もあるのです。

事前に準備し負担軽く

ホルモン剤を服用
しっかり気分転換
40代後半から50代前半にかけて、多くの女性が更年期に悩まされる。
体が急変するため戸惑うことも多いが、実は30代後半から、予兆の
ような症状が表れる人も少なくない。
この段階で生活パターンを見直し、ホルモン剤で体調を整えるといった対策をとると、避けて通れない更年期をスムーズに乗り切れるかもしれない。

「例年よりも、今年は肌がやたらと乾燥してかゆい。寒さが厳しいせいだろうか」。
昨年まで使ったこともなかった全身用ローションを塗りながら、記者(37)はふと考えた。
気候のせいではなく、自分の体が変わりつつあるのが原因ではないか 。
そういえば手足の冷えも、これまでよりひどくなったみたいだ。

「肌の乾燥や手足の冷えは、更年期の兆しの一つ」と、ウイミンズ・ウェルネス銀座クリニック(東京中央)の対馬ルリ子院長は指摘する。
「生理の時の出血量が減る」「ひざや手首など関節が痛む」「卜イレ
が近くなる」「涙もろくなる」といった症状も「予兆」と考えられる。
更年期にはまだ早いが、こうした症状がいくつかあてはまり、体調がすぐれない人を「プレ更年期」と呼ぶ。
 
プレ更年期は、エストロゲン(卵胞ホルモン)など女性ホルモンの減少によって引き起こされると考えられている。
女性ホルモンは更年期に入ると急激に減少するが、30代後半ごろからわずかな量だが減り始めることがわかってきた。
10代、20代と増えてきた女性ホルモンの分泌量が減少に転じることで、様々な症状が出てくる。
 
体内で分泌される女性ホルモンの量は、女性外来や婦人科で血液検査をしてもらえば簡単にわかる。
定期的にチェックしておくと、体の変化を客観的にとらえることも可能だ。
例えばウィミンズ・ウェルネス銀座クリニックの場合、40代以上の女性向けの検診メニューにホルモン検査を取り入れている。
 
ホルモンが減少しているなら、エストロゲンを外部から薬で補う治療などが効果的。
錠剤タイプもある「エストリオール」を使うほか、プロゲステロンという別のホルモンをエストロゲンと組みあわせた避妊用ピルなどで、ホルモンの量を安定させる。
 
欧米では健康維持のため中高年の女性が、ホルモンを使用することは珍しくない。
日本でも専門医を受診すれば処方を受けることが可能だ。
ピルだと保険が使えないが、薬代は1ヵ月1000~2000円程度。安全性も高いという。
ただ、高血圧など、ホルモンの服用に向かない人もいる。
主治医によく相談してみよう。
 
思い切って生活スタイルを変えると、卵巣の働きがスムーズになり女性ホルモンの分泌が活発になる人もいる。
その際、最も大切なのが「リラックスする時間を持ち、ストレスを軽くすること」と専門家は口をそろえる。
卵巣は脳から指令を受けて女性ホルモンを分泌する。
ストレスがたまるとこの仕組みがうまく働かなくなる。
 
女性成人病クリニック(東・中央)の村崎芙蓉子院長は、「半年以上、新しい洋服やアクセサリーを購入していない、コンサートにも映画にも出かけていない、といった人は要注意。生活を見直して欲しい」と話す。
アロマテラピーやスポーツなども効果があると考えられている。
要は、日々の生活で気分転換できホッとできる時間を、自分流に上手につくることが大切になる。
 
女性ホルモンは老化防止にも効く。
自分の体の状態をよく知った上で、ホルモンの服用や、卵巣の働きを活発にする方法を試してみて損はなさそう。
「更年期を遅らせたり、比較的軽い症状で乗り切ることができる可能性もある」と対馬院長は言う。
 
ただ、一生懸命に体調を整えても、誰もが更年期に悩まずに済むわけではない。
妊娠中のつわりが重い人と軽い人がいるのと同様に、更年期障害の重さは、体質によって違う。
女性ホルモンの影響をどの程度受けるかは、個人差が大きい。
村崎院長は「症状が重くても自分のせいにはしないことと。治療できるのだから落ち込まないでほしい」と呼びかける
 
できるだけリラックスして卵巣の機能を維持する生活を心がける。ただ、あまり神経質にはならない。
そんな姿勢で更年期に向けた準備をするのがいいのかもしれない。
    

出典 日経新聞・朝刊 2006.1.29
版権 日経新聞



<番外編 その1>
ベータカロテン不足で胃がんリスク2倍に 厚労省研究班
厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)は17日、ニンジンやカボチャといった緑黄色野菜に多く含まれる「ベータカロテン」が足りないと胃がんにかかるリスクが約2倍になるとの疫学研究結果を発表した。
男性の方が女性よりも不足しがちで、「喫煙や飲酒の習慣がある人は、野菜や果物を積極的に取るようにしてほしい」としている。
 
全国の40―69歳の男女約3万7000人を対象に、10年前後の追跡期間中に胃がんにかかった511人と、そうでない511人を比較分析した。
調査開始時の血中ベータカロテン濃度をもとに4グループに分け、胃がんの発症リスクとの関連を調べた。

ベータカロテン濃度が最も低いグループは、ほかの3グループと比べ胃がんリスクが約2倍だった。必要量を満たしていれば、多く取っても胃がんリスクは下がらないことも分かった。

男女別でみると、男性の方がベータカロテン濃度の低い人が多く、胃がんリスクが高まる傾向が顕著だった。
女性では最も血中濃度が低いグループでも、十分な量のベータカロテンが含まれていた。
男性の血中濃度が低いのは、喫煙・飲酒で活性酸素が発生しやすい生活習慣の人が多く、ベータカロテンが消費されてしまったと考えられるという。
 
ベータカロテンはがんなどの原因となる活性酸素を取り除く抗酸化作用で知られる。
厚生労働省は「健康日本21」で緑黄色野菜を1日120グラム以上食べるよう推奨している。

出典 日経新聞・夕刊 2008.7.17
版権 日経新聞

<番外編 その2>
続・がん50話:第17話 病気の背景も研究
服のオーダーメイドは、着る人のからだのサイズを測り、体形にあった服を作ることです。
医療におけるオーダーメイドは、患者さんの状態にあった診療方針を選択することです。

患者さんの状態は、「病気そのもの」と「患者さん自身の状態(病気の背景)」に大きく分けることができます。

「病気そのもの」は診断につながり、医学の進歩とともにより詳しくなる傾向にあります。
例えば、以前は「胃がん」とだけ診断していたものが、現在は「胃がん、組織型は高分化型腺がん、大きさは○○、深さは○○、病期は○○・・」となり、これをもとに診療方針が選択されます。
ところが、詳しく診断しても、また同じ診断であるにもかかわらず、ある人に劇的な効果を示す治療法(例えば薬物療法)が別の人にはそれほど効果を示さない、
時には効果がなく副作用だけが強く出ることがあります。これには、患者さん自身の薬物代謝や薬剤感受性が大きくかかわっています。「病気の背景」が異なるからであると言え、患者さんの全体像を知ることの大切さを示しています。

これまでの医学研究は主に「病気そのもの」を中心に進んできましたが、「病気の背景」を無視することはできません。
最近では「病気の背景」に注目したさまざまな研究が行われており、「オーダーメイド医療実現化プロジェクト」もその一つです。5年前から始まり、多くの医療機関、研究機関が参加。
当センターもがんを中心に協力しています。すぐさま実際の診療に利用できるものではありませんが、その成果が期待されているのです。(大阪府立成人病センター研究所病理学部門長、西澤恭子)


読んでいただいて有難うございます。
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井蛙内科開業医/診療録(2)
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(~H20.5.21)
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