腹腔鏡手術

最近、当院で急性虫垂炎(いわゆる盲腸)と虫垂がんのそれぞれの患者さんが紹介先の大病院で手術しました。
いただいた返事は、腹腔鏡で手術したとの内容でした。
少し前までは、腹腔鏡手術といえば胆のう摘出術でした。
しかし今では適応がひろがって早期胃がん、大腸がん、食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎、胃十二指腸潰瘍、急性虫垂炎、鼠径・大腿ヘルニア(脱腸)などが外科領域では腹腔鏡で手術する時代になりました。
産婦人科などの領域でも腹腔鏡手術の適応は広がっています。
ここで少し、腹腔鏡手術について紹介したいと思います。
消化器外科手術への腹腔鏡手術の導入は、1980年代に胆石症から始まりました。
その結果、今やほとんどの胆石症の患者さんは腹腔鏡手術で胆のう摘出術を行われるようになりました。
今や胆石に関しては、腹腔鏡手術が開腹手術に代わって標準的な手術となったわけです。

その後も、腹腔鏡手術の進歩は目覚しいものがあり、適用される疾患もどんどん増えてきました。

最近では、胃がんや大腸がんなどの「がん」にまで適応が拡げられてきました。
気をつけなければならないのは、病院や手術を行う術者で、手術をするしないの適応や技術にも、残念ながらかなりの格差があることです。

さらに新しい治療法がゆえに、良好な手術成績が報告されている反面、まだ十分には長期の成績が発表されていません。
したがって、腹腔鏡手術を受ける際には説明を十分受けて納得してから決定する必要があります。


「腹腔鏡手術とは」とか「開腹手術と比べた長所と短所 」といった内容については以下のサイトを参照下さい。

<腹腔鏡手術 関連サイト>
最新の腹腔鏡手術
http://www.urayasu-juntendo.gr.jp/sinryou/image/p_sr_gekanew_kiji.pdf
傷口が小さく、回復も早い“腹腔鏡下手術”とは?
http://www.nikkeibp.co.jp/archives/418/418821.html
腹腔鏡手術についてのQ&A
http://www.okumuraiin.org/okumura-qa.htm
腹腔鏡下手術について
http://www.city.tsugaru.aomori.jp/seijinbyou/abdominal_cavity.html
その他の腹腔鏡下手術
http://www007.upp.so-net.ne.jp/laparoscopy/sonota.htm


今回の虫垂炎の腹腔鏡手術についてわからないところがあります。
それは、従来の手術が腰椎麻酔に対して腹腔鏡手術は全身麻酔手術であり手術創もかえって数が多くて目立つのではないかということです。
そんな疑問について以下のサイトが答えてくれました。
どうやら、手術創の大きさを考えると、重症の急性虫垂炎が、腹腔鏡手術の適応のようです。

虫垂炎診療の今昔について
http://www.iiharaiin.com/add_cpi_colitis0.html
  1. 創が小さいので術後の痛みが軽い
  2. 創の感染が少ない
  3. 入院日数が数日短くすむ
  4. 炎症の程度、癒着の程度により開腹手術より視野がよい
  5. 全身麻酔が必要となり、手術のコストが倍以上になる
  6. 術者に十分な経験が必要である
  7. 腹膜炎症例では腹腔の十分な洗浄が困難

いずれにしろ、どんな手術にしても先生から説明を受けて十分納得してから手術を受けるべきですね。