冬の手足のかゆみ

風呂上がりや寝る前に身体がかゆい といった症状を訴えられる患者さんは少なく
ありません。
このように、特別な皮膚疾患はないのに風呂上がりや、寝る前、帰宅後などに身体が
とてもかゆくなる状態を「皮膚掻痒症」とよびます。
何だか、「そのもの」の病名です。

その原因は、皮脂の水分や油分が低下した結果生じる皮膚の乾燥です。
ひどい場合には、「皮膚掻痒症」ではなく「乾皮症」とか「皮脂減少性皮膚炎」などと
よばれることもあります。

通常は空気の乾燥する冬に増えて、夏には症状が軽くなるか消失します。

この「皮膚掻痒症」の症状を軽減するには、何よりも肌を乾燥から守ること
(いわゆるスキンケア)が重要となります。
冬の室内では加湿器を使用し、外出時はなるべく肌を外気にさらさないように工夫します。

入浴の際にも注意が必要です。
体のこすり過ぎや石鹸の使い過ぎに気をつけます。
湯船では38℃程度の余り熱くない湯にゆっくりつかります。
寝室での電気毛布もよくありません。



<参考サイト>
皮膚の乾燥:肌老化の4大原因
http://www.anti-ageing.jp/cause/kansou/
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乾燥肌対策とかゆみ改善法
http://www.1kansouhada.net/taisaku/

乾燥肌を悪化させると起こる皮膚病とは
http://kansouhada.livedoor.biz/archives/50213996.html




以下は朝日新聞の記事の紹介です。

肌に潤い・部屋にも湿度を

紅葉が美しい時期になると、手足や背中がかさかさして、かゆみを感じます。
子どもの頃には感じなかったこのかゆみを防ぐには、お風呂上がりの肌の保湿や
部屋の湿度管理が大切なようです。
    
■ □ ■
 
寒い時期にかゆみが出る症状は「老人性乾皮症」と呼ばれる。
高齢者に多いが、20歳代でもかゆみを訴える人がいるという。
乾燥によって肌の潤いがなくなるのが原因だ。
 
肌の表面は脂質と汗でできた皮脂膜で覆われており、その下わずか0.02ミリの間に、
13~15層の角質細胞がれんがのように層状に重なって角層を作っている。
 
角質細胞には水を蓄える「天然保湿因子」があり、角質細胞をつなぎ合わせている
角質細胞間脂質のセラミドには水を吸着する作用がある。
天然保湿因子と角質細胞間脂質、それに角層の水分が逃げないようにクリームの
役割を果たす皮脂膜が、肌をみずみずしく保つ三大保湿因子と呼ばれる。
 
この三大保湿因子にとって、冬の空気の乾燥は大敵だ。
汗をかきにくい冬場は皮脂膜が薄くなって、角層の水分は逃げやすくなる。
水分が蒸発し続けると、普段は角層のずっと奥にある知覚神経が角層のすぐ下まで
伸びてきて、本数も増える。
神経は布団に入って体が温まったり、衣類が肌に触れたりするわずかな刺激で興奮
する。
これがかゆみになる。
 
順天堂大学医学部付属浦安病院の高森建二院長(皮層科)は「冬も夏と同じように
お風呂で体をゴシゴシこすって洗うのは、肌の保護膜を取り去るようなものです」
と注意する。
冬場は顔や首、陰部、手足など汚れやすい部分だけをせっけんで毎日洗うようにして、
全身を洗うのは週に1,2回でいいという。
「風呂からあがったら、すぐに保湿剤をつけることが、乾燥を防ぐコツ」
 
花王の調査によると、風呂に入ると肌は入浴前より潤うが、入浴後は水分が急激に
蒸発し、15分を過ぎると、角層の水分量は入浴前よりも少なくなる。
花王パーソナルヘルスケア研究所の石田耕一室長は「湯船につかると皮脂膜は流れて
しまうので、肌は入浴前より乾燥する。
潤いを保つためには、入浴後10分以内に保湿剤を全身に塗って欲しい」と勧める。
 
東京女子医大の川島眞教授(皮膚科)によると、保湿剤は「肌から減ってしまう天然
保湿成分のセラミドアミノ酸入りのクリーム、皮脂膜のように油分が角層の保護膜
の役割を果たすワセリンなどがいい」という。
風呂上がりだけでなく、服を着替える朝などにも塗ると、より効果的だ。

■ □ ■

肌からの水分の蒸発を防ぐため、部屋の湿度管理も欠かせない。
冬場は湿度が30%まで低くなるが、洗濯物を部屋干ししたり、加湿器を使ったり
して50~60%の湿度は保ちたい。
電気毛布などをつけたまま寝るのも肌から水分を奪い続ける。
 

かゆみが出てかき続けると、湿疹になるので治療が必要になる。
まだかゆみがない人も、寒さが本格化する今から早めの保湿対策が肝心だ。
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出典 朝日新聞・朝刊 2008.11.16
版権 朝日新聞社

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