ふくろう切り抜き帖 2008.12.31

「溶かせない」腎結石が消えた マウス実験で名市大が確認

「一度できたら溶かせない」といわれていた腎結石を、白血球の一種「マクロファージ」
が溶解する現象を、名古屋市立大大学院医学研究科腎・泌尿器科岡田淳志医師(35)、
郡健二郎教授(59)らがマウスを使った実験で発見した。
米国の医療系雑誌に発表する。
治療法の開発につながると期待されている。
 
腎結石は、血液をろ過した原尿に含まれるカルシウムや尿酸、シュウ酸などが尿細管で
固まってできる。
 
結石の成分の8割はシュウ酸カルシウムだが、溶かす方法がなかった。
このため治療は体外からの衝撃波で結石を砕く方法に限られていた。
 
グループは、マウスに結石ができないことに注目。
まずシュウ酸カルシウムの原料となる物質をマウスに投与し、結石をつくらせることに
成功した。
6日目から結石が減り、15日目には消失する現象を世界で初めて確認した。
 
マウスの全遺伝子を解析すると、結石の減少時にマクロファージを活性化させる遺伝子
群が活発に活動していた。
実際、マクロファージはシュウ酸カルシウムの原料物質の投与9日目に5倍に増え、
15日目には元に戻った。
電子顕微鏡でマクロファージが尿細管から出た結石を捕食し、消化する様子を観察した。
 
これらの働きは哺乳(ほにゅう)類に共通するとみられ、ベルギーの研究グループが
2008年、人とラットの尿細管で結石が消失した現象を確認したが、仕組みは
分かっていなかった。
 
岡田医師は「結石ができやすい人はマクロファージの能力が弱い可能性がある。サポ
ートする薬ができれば、結石を溶解する治療法を生み出せるのでは」と話している。
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出典 中日新聞・朝刊 2008.12.31


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出典 日経新聞・夕刊 2008.11.13
版権 日経新聞
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