腰部脊柱管狭窄症

歩くと足にしびれや痛みを感じ、座るとやわらぐ


特徴と症状
■背骨の老化によって起こり、元気な高齢者が症状を訴えることが多いという
特徴があります。

■約8割に人は安静にしていればよくなります。

■老化によって脊柱管が細くなり、馬尾やそこから分岐する神経の根元(神経根)
を圧迫し、太ももの裏やふくらはぎなどのしびれや痛みを感じるようになります。

■背中をそらすと脊柱管が狭くなり症状が強くなるので、姿勢が前かがみになります。
要するに症状は、背中をそらすと強くなり、前かがみになると軽減します。
また立ち続けると症状が悪化し、座ると軽くなります。
じっとしていると症状が出ないので、活動度が高い高齢者ほどなりやすい(症状が出
やすい)ということになります。

■一定の距離を歩くとしびれて歩けなくなります。
これを、言葉は難しいのですが、間歇性跛行といい、典型的な症状です。

治療
■まず安静を保ちます。
■旅行や生活を続けたい人は手術という選択もあります。
経過を2,3か月みてよくならない人や症状が進んでいる人には手術が勧められ
 ます。
■手術は、背骨の後ろ側の椎弓(ついきゅう)という骨を一部切除します。
 術後2日ほどで歩けるようになります。
 さらに、背骨が不安定な場合は同時に固定術を選択します。
■手術をするかしないかは、生活スタイルを考慮します。
 家族らが身の回りの世話をしてくれて、じっとしていれば症状が出ないなら、手術
 を積極的にする必要はありません。
 逆に一人暮らしで家事を自分でしなければならない高齢者なら、手術を受ければ運動
 機能を回復することが出来ます。
 スポーツ好きなど活発な生活を望む方も手術を考えます。
 症状が進んでしまい、歩行能力がかなり低下したりした人も手術の適応です。
 放置しておくと歩行できなくなったり排尿や排便の障害が出てくる場合があるから
 です。

太ももの裏やふくらはぎにしびれや痛みを感じる場合、動脈硬化による神経障害(閉塞
動脈硬化症)が疑われます。
この場合は座ってもしびれはとれません。
自分で足背の動脈を触れてみると拍動が弱くなっています。
いずれも高齢者に多い病気のため、腰部脊柱管狭窄症の15%に閉塞性動脈硬化症が
合併しているといわれます。
この場合には手術は、整形外科と血管外科の両方で行うこともあります。

<参考>
朝日新聞・夕刊 2008.1.20

脊柱管狭窄症の治療事典
http://sekityu.rait3.net/
腰部脊柱管狭窄症と閉塞性動脈硬化症/間欠性跛行とは?
http://www.fancy-popo.com/raku2/sekityukankyosaku.html


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