減塩について

健診で血圧が少し高いですよ、といわれることがあります。
「少し」という言葉に安心して、何ら生活改善に務めないことも多いのではない
でしょうか。
改善の余地は運動をこころがけたり、節酒したりすることにもあります。
しかしまずは食塩のとりすぎがないかを考えてみることが大切です。
もし、思い当たるところがあれば、塩分をどう減らすか。


料理工夫 目指せ10グラム未満

食塩は血圧を上げる作用があり、塩分のとりすぎは動脈硬化を促進する要因と
なります。
また、体に多くの塩分がとり込まれると、体内の塩分の濃度が高くなり、これを
薄めようとする作用が働いて、水分の排出が妨げられます。
このために身体の中に水分がたまり、心臓に負担をかけたり、むくみの原因の
1つとなったりします。
塩分を控えた食事を心がけましょう。健康な人でも1日に10g以下を目標にして
ください。
高血圧、心疾患のある人は医師から指示された塩分量(一般に7g以下)を守り
ましょう。

減塩のためのコツを次にまとめました。

塩分を控えるための12ヶ条

薄味に慣れる
塩味の薄い食事に慣れることが第一歩です。調味料の味になるべく頼らないで、
薄味に慣れてくると、素材の持ち味が分かるようになります。
塩分計などを用いて、自分の味を確認するのも良いでしょう。

漬け物・汁物の量に気をつけて
塩分の多い漬け物や汁物は、食べる回数と量を減らしましょう。
漬け物は浅漬けか、塩出ししたものにします。
汁物では野菜などの具の多いものにすれば、1回にとる汁の量が少なくなります。
麺類を食べるときは、汁は残すようにします。

効果的に塩味を
献立にはいろいろな味付けを利用し、塩味は効果的に使うようにしましょう。
塩は食品の表面にさっとふりかけると少なくても塩分を感じることができます。

「かけて食べる」より「つけて食べる」
しょうゆやソースなどは、かけて食べるより、つけて食べたほうが塩分の摂取量
が少なくてすみます。

酸味を上手に使いましょう
酸味を上手に使って、献立の味付けに変化をつけると、塩分を減らすことが
できます。
レモン、すだち、かぼすなどの柑橘類や酢などを和え物や焼き物に利用しましょう。

香辛料をふんだんに
とうがらしやコショウ、カレー粉などの香辛料は、塩分調節の強い味方です。

香りを利用して
ゆず、しそ、みょうが、ハーブなどの香りのある野菜、海苔、かつお節などを
加えると、薄味のメニューに変化もつきます。

香ばしさも味方です
香ばしさもまた塩分のとりすぎを抑えてくれます。焼き物にする、炒った胡麻
くるみなどで和えるなど、調理に利用しましょう。

油の味を利用して
揚げ物、油炒めなど、油の味を利用して食べるのもよいでしょう。
胡麻油やオリーブオイルを、食べる前に少しかけることで風味が増し、おいしく
食べられます。
ただし、脂質のとりすぎにならないように、油を使ったメニューばかりになら
ないよう気をつけましょう。

酒の肴に注意
酒の肴に合う料理は意外に塩分が多く含まれていますので、少量にしましょう。

練り製品・加工食品には気をつけて
かまぼこ、はんぺん、薩摩揚げなど魚の練り製品や、ハムやベーコンといった
肉の加工食品も塩分の多い食品です。食べる量に気をつけましょう。

食べすぎないように
せっかくの薄味の料理でも、たくさん食べれば塩分の量もカロリーも多く
なります。
食べすぎないように気をつけましょう。
減塩しょうゆや減塩みそも、使う量が多ければ塩分も増えます。
使いすぎては意味がありません。

<参考および引用サイト>
よくわかる循環器病・疾病
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/Sick/buhin21.html

<参考記事>
元気のひけつ 減塩
イメージ 2

朝日新聞・朝刊 2009.2.15
■日本人は、1日に11グラム前後の食塩を取り込んでいる。
一方、国の健康政策である「健康日本21」では、成人の1日あたりの平均
食塩摂取量の目標値を10グラム未満としている。

■塩分摂取量の簡易測定器「減塩モニタ」で前日摂取した食塩の量が、0.1
グラム単位で知ることができる。
(河野エムイー研究所)

■国民平均では2グラム食塩を減らせば血圧は2ミリHg下がり、それによって
6%脳卒中が減ると推定されている。
(滋賀医大 上島弘嗣教授)

■塩を多くとると、心臓病や胃がんも増えることがわかっている。

■栄養表示の中のナトリウム量は、2.54倍すると食塩の量になる。

■1滴ずつ出るように作られているしょうゆ差しがある。

■欧米に比べて脂肪やカロリーが少ない長所は残し、塩分をもう少し減らせば、
日本の食事はより優れた長寿食になる。
(滋賀医大 上島弘嗣教授)

石器時代の人は1日0.5~3グラムの食塩しかとっておらず、人体はこの
レベルに適合している。




<きょうの一曲> 
小野リサ渡辺貞夫 - So Danco Samba (2007)
http://www.youtube.com/watch?v=BtqIq1SnJSw&feature=related

読んでいただいて有難うございます。
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