家庭血圧

ご存知の方も多いかと思いますが、今年の1月に日本高血圧学会から新しい
「高血圧治療ガイドライン(JSH2009)」が発表されました。
従来のガイドラインに比べて注目されるのは「家庭血圧」の重要性が強調された
ことです。

皆さんも経験があるかと思いますが、医療機関で測定する血圧と家庭での血圧
はしばしばギャップがあります。
一般的には診察室で測定した血圧の方が高いことが多く、「白衣高血圧」とも
呼ばれます。
しかし、最近では逆のケースもあるということが分かって来ました。
このタイプの高血圧を「逆白衣高血圧」とか「仮面高血圧」と言います。

家庭でも血圧は当然高くなることがあります。素足で冷たい床の上を歩いたり、
顔を冷たい水で洗ったりした場合血圧が上がります。
そういったことは24時間血圧を測定する機器(ホルター血圧計)でわかって
きました。

最近では、診察室の血圧だけで高血圧の治療をする医療機関はほとんどなく
なりました。
自宅で家庭血圧を測定して貰ったデータを診察の際に持参していただき、治療
の参考にします。

医療機関で測定する「診察室血圧」が、必ずしも本当の血圧を示しているとは
限らないというわけです。

しかし、「本当の血圧」って何だろうという疑問が湧いて来ます。
測定する血圧すべてが本当の血圧だからです。
そのあたりに血圧測定の難しいところでもあります。


#家庭血圧の正しい測り方
いつ測るか
•朝は起床後1時間以内(排尿後、食事、服薬前に)
•夜は就寝前の安静時
•測定30分前からカフェイン含有飲料、喫煙は避ける
(一時的に血圧が上昇する)
•食事・飲酒後の測定は避ける(一時的に血圧が低下する)

どのように測るか
•測る腕は利き腕の反対側が一般的
•座った姿勢で上腕を締め付けない服装で
•腕を机などに乗せ、カフを心臓の高さに保持する
•1~2分間は安静にした後に測る

日本高血圧学会の「家庭血圧測定条件設定の指針」では、家庭血圧は135/80
mmHg以上をもって高血圧と診断し、135/85mmHg以上ならば確実な
高血圧として降圧治療の対象とする。
一方、125/80mmHg未満を家庭血圧の正常とし、125/75mmHg未満
を確実な正常血圧と判定するとしています。


早朝高血圧とは
心血管イベントが早朝から正午にかけて多発することが知られており、またなか
には夜間から早朝にかけて血圧レベルが上昇する人がおり、互に関係しあっている
との見解が示されています。
自宅で朝寝起きから1~2時間の血圧を測り、医師に示すことは早朝高血圧の発見
に役立ちます。

白衣性高血圧とは
ふだん血圧が正常な人でも、病院などで血圧を測ると高くなってしまうことが
あります。
これは「白衣性高血圧」といって、医師や看護師の白衣を見ると緊張してしまい、
血圧が上昇してしまうというものです。
家庭で測った値より10~20mmHgほど高くなるといわれています。
  
<参考および引用サイト>
家庭で血圧を測ろう
http://www.kenbunroku.jp/p/r/content/Page/10110369a9a1e1/qry/cd/103105b33013a3

<家庭血圧 関連サイト>
家庭血圧測定ガイドライン
http://www.gik.gr.jp/~skj/hbp/hbp-guideline2003.php3

<参考記事>
イメージ 1

出典 朝日新聞・朝刊 2008.12.7
版権 朝日新聞社

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