新型インフルエンザ 2009.8.19

ここになって新型インフルエンザが一気に流行の兆しが見えて来ました。
当院でも高熱の方の来院者が増えて毎日ひやひやしています。

選挙での集会や新学期の開始や秋口に向かうなど流行拡大の要因が重なって来ます。
プロ野球界や相撲界などのスポーツの世界でも広がりつつあります。

死亡例も2例目が出ましたが、実は気になる致死率がはっきりしません。
というのも行政が感染例の積極的集計を放棄してしまているからです。
当院でも感染例を保健所に報告しましたがとりあって貰えず、以後報告はしていません。





新型インフル神戸で死者 市、うがい励行など訴え
新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)感染者の国内2例目の死亡が確認された18日、神戸市は改めて、冷静な対応と手洗いやうがいなどの励行を呼びかけた。

記者会見した谷口真澄・市健康部長は「強毒性かどうかについて国の検査を待つ」としたうえで、「(新型インフルエンザは)通常の季節性と同程度で、ほとんどの感染患者は軽症のまま治癒している」と強調した。

また、白井千香・予防衛生課長は、死亡した男性には新型インフルエンザの症状のほかに糖尿病や肺気腫などの疾患があったことを説明。
「透析患者や糖尿病患者については主治医を通して啓発し、感染すればリスクが高いことを認識してもらうようにしたい」と語った。

出典 読売新聞 2009.8.19
版権 読売新聞社





#<新型インフル>1軍で確定2人と疑似症1人 日本ハム球団
プロ野球日本ハムの1軍の選手らが新型インフルエンザに感染していたことが18日、分かった。
北海道旭川市が発表した。
確定患者が2人いるほか疑似症患者が1人いた。
プロ野球選手の感染は初めて。

日本ハム球団によると、3人がインフルエンザA型と確認され、さらに検体を調べていた。
また、他の2人がインフルエンザA型に感染した。
5人とも症状は軽症で、札幌市内のチームの合宿所に隔離措置を取る。

球団の二十数人が診察を受けたが、ほかの選手は感染していなかった。

藤井純一球団社長は「試合の中止や延期は考えていない」と話した。
ただ、当面の間、ファンと選手が交流するイベントを自粛する。

出典 毎日新聞 2009年8月18日21時3分配信
版権 毎日新聞社





#重症者の半数超が持病あり  糖尿、心臓疾患、ぜんそく
新型インフルエンザによる国内初の死亡例は、慢性腎不全で人工透析を受けていた男性だった。
新型インフルエンザは感染しても、ほとんどの人が軽症のまま治癒するが、今回のように持病のある人は重症化しやすい。秋冬の本格的な流行シーズンを前に、改めて注意が必要だ。
#妊婦も高リスク
国内初の死亡例は、まさに新型インフルエンザで犠牲者が出ることが懸念されていた典型的なケースだった。
亡くなった男性のように腎不全で人工透析を受けていると、免疫機能が低下し、感染症にかかって、肺炎なども併発しやすいからだ。
世界保健機関(WHO)や厚生労働省は、人工透析患者のほか、糖尿病やぜんそくなどの持病のある人、妊婦、乳幼児は、感染すると重症化する危険性が高いと、繰り返し注意喚起していた。

国立感染症研究所の田代真人・インフルエンザウイルス研究センター長は「感染者が増え、死者はいつ出てもおかしくなかった。ウイルスの病原性が強まったり、感染力が上がったりしたわけではない。いたずらにパニックになる必要はない」と平静を呼びかける。

新型インフルエンザに感染してもほとんどの人は、軽症で治癒している。
WHOによると、重症者の半数以上は、妊婦や、糖尿病、心臓疾患、ぜんそくなどの持病を抱えた人だった。
ニューヨーク市では、入院患者の8割が、妊婦と2歳未満の乳幼児、持病のある患者だった。

持病があると、重症化しやすいのは、病気を防ぐ免疫力が落ちるからだ。

例えば、今回のように腎機能が悪くなり、人工透析を受けると、透析によって毒素と一緒にアミノ酸など体の維持に必要な成分も排出してしまい、免疫力が落ちてしまう。

糖尿病の場合も、血糖値が高くなると免疫機能をつかさどる白血球の働きが悪くなる。
季節性インフルエンザでも、健康な人に比べて死に至る危険性が1・5倍高いという研究もある。

病気ではないが、妊婦も胎児を異物と認識しないよう免疫力を抑制しており、新型インフルエンザに注意が必要だ。
日本産婦人科医会は今年5月、妊婦が新型インフルエンザに感染した場合、抗ウイルス薬で積極的に治療するよう勧めた。

新型インフルエンザの犠牲者を減らすためには、抗ウイルス薬による早期治療に加え、こうしたリスクの高い人たちへの感染を防ぐことが大切だ。
厚生労働省は秋冬の大流行に備え、5300万人分のワクチンを準備する方針だが、国内生産量は年内で1400万~1700万人分しかなく、緊急輸入も検討している。
浦島充佳・東京慈恵医大准教授(公衆衛生学)は「希望者全員に接種するのは間に合わない。優先順位をどうするのか、早急な議論が必要」と話している。





#免疫なし 若い人も肺炎の恐れ
通常の季節性インフルエンザでも毎年1万人前後の死者が出ており、持病のない健康な人は新型インフルエンザを過度に恐れる必要はない。
ただ、季節性の死者のほとんどが免疫力の弱った高齢者なのに対して、新型は、30~50代といった健康な働き盛りの人でも死亡する危険性が比較的高い。
若い世代を中心に流行が広がっていることに加え、新型ウイルスは肺で増殖しやすいとされ、若い人でもウイルスによる肺炎(ウイルス性肺炎)を起こすためだ。

患者の多い米国では、入院患者の平均年齢は26歳、死者も37歳と非常に若い。けいゆう病院の菅谷憲夫小児科部長は「ほとんどの感染者が軽症で治癒するからと言って、楽観視しすぎてもいけない」と指摘する。

何より大切なのは、早期診断早期治療で、タミフルなどの抗ウイルス薬の治療を受けることだ。ウイルス性肺炎は、発熱して4~5日目ぐらいに発症することが多く、早期の治療で助かる可能性が高い。

「自己判断で、治療が遅れるのは危険だ。健康な人も死亡する可能性があることを認識して、早期に受診してほしい」と、菅谷部長は訴える。

また、国内でも既に重症例が出ているように、乳幼児の場合、インフルエンザ脳症にも注意する必要がある。
発熱してから半日程度で意識障害が起こるなど病気の進行が早い。
早期に薬で治療しても間に合わないケースもあり、ワクチンの乳幼児への優先接種や、人工呼吸器、集中治療室の整備も検討課題となる。

もちろん、感染したり、ほかの人へうつしたりしないことが第一で、手洗いやうがいの励行のほか、人ごみを避けるなど、個人個人で出来る対策を励行することが大切だ。

#沖縄で多く発症 世界の患者 17万7000人
WHOのまとめによると、新型インフルエンザの患者は6日現在、170か国・地域以上に広がっている。
患者数は約17万7000人に達し、死者は1462人にのぼっている。
いまが冬季にあたる南半球での感染例が目立ち、WHOは北半球でも冬季になれば同様に流行するとみて、警戒を強めている。

死者数を地域別にみると、最初に患者が出た北米・中南米地域が1274人と飛び抜けて多く、東南アジア地域は83人、ヨーロッパは53人と続いている。
日本を含む西太平洋地域は43人。東地中海とアフリカはそれぞれ7人、1人にとどまっている。

オーストラリアや南米では、冬に入って患者が急増した。
現在は、各国内で感染地域を広げてはいるが、国全体の患者総数は峠を越えつつある。
北米とヨーロッパでも感染地域は広がっているが、南北アメリカ大陸全体では患者数は減り始めているという。

国内でもインフルエンザの患者は増えている。
そのほとんどが新型の感染者とみられる。
国立感染症研究所によると、感染拡大の目安になる1拠点医療機関あたりの患者数(7月27日~8月2日)は、例年でも夏季に患者が比較的多い沖縄県が11・79人と最多で、大阪府の1・68人が続く。0
・5人以上1人未満は1都5県となっている。
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出典 読売新聞 2009.8.17
版権 読売新聞社


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新型インフルエンザの定点当たり報告数
新型インフル 「全国的な流行」寸前に 8月に入り急増
8月18日19時54分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090818-00000018-maip-soci.view-000







#【主張】新型インフル死者 重症化しやすい人を守れ
新型インフルエンザにかかった50代と70代の男性が、沖縄と神戸で相次いで亡くなった。
治療可能な感染症で死者が報告されることは、新型インフルエンザに限らず残念である。
重症化のリスクが高いとされる人たちへの早期の治療提供など、流行の特徴にあわせた対策の重要性を改めて認識しておきたい。
 
今回の新型インフルエンザの症状の強さは、毎年冬に流行する季節性インフルエンザとほぼ同程度で、これまでにかかった人も大多数は1週間ほどで回復している。
ただし、糖尿病や心臓病などの持病を抱える人、妊婦、幼児などは重症化するおそれがある。
亡くなった男性2人は腎臓疾患で人工透析を受けていたという。
 
わが国の新型インフルエンザ対策はこうした重症化のリスクの高い人を守ることに重点を置こうとしている。
方針としては間違っていない。問題はいかにそれを具体化していくかだろう。
 
ワクチンに関しては当面、供給量に限りがあるので、重症化しやすい人たちに優先的に接種していくことが必要だ。
 
それと同時に大切なことは、早期に治療を受けられる条件を整えることだ。
持病を抱える人や妊娠した女性は定期的に医療機関に通院していることが多い。
発熱などの症状にどう対応するか、主治医と相談しておくこともリスクを下げることになる。
 
わが国では対策の初期段階で、病原ウイルスは一歩たりとも国内に入れないといった過度な水際作戦が強調された。
このため、かえって社会的な不安が増幅され、医療機関にも混乱が起きた。
 
その混乱の影響か、流行の推移について、第1波の流行は下火になり、秋以降に第2波が訪れるといった見方をする人もいる。
 
だが、感染報告の推移を見ると下火になどなったわけではなく、まだ本格的な流行とはいえない状態の中で、感染がじわじわと広がってきたことがわかる。
重症化のリスクの高い人たちへの感染の機会も当然、増えてくる。
 
インフルエンザのような感染症で、完全に感染の機会を封じることは困難だが、感染しても早めに抗インフルエンザ薬を服用できれば、重症化のリスクは大きく抑えられる。
リスクの高い人には躊躇(ちゅうちょ)せず、早めに薬を提供する。
そうしたことを医療機関に徹底しておくことも必要だ。


出典 産経ニュース 2009.8.19 03:04
版権 産経新聞





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