急性膀胱炎

夏は知らないうちに汗をかいて尿量が減ってしまったり、冷房が原因となって膀胱炎を起こしやすい季節です。
抗生物質を飲み、1週間もすれば治りますが、忘れかけたころにかかるため悩みも深い病気です。
年に数回発症する女性もいます。

私の経験では、某高級ブランドの自動車のショールームの受付をしていた若い女性が、上司から勤務中はトイレに立つなといわれていたことがあります。
急性膀胱炎で当院を受診されましたが、、次回風邪でかかった時には退職してみえました。

あるホテルで客の接遇のノウハウを勉強したということは有名な話ですが、社員への接遇は勉強してなかったみたいです。
パワハラで訴えられても仕方ありませんよね。



急性膀胱炎

どんな病気か・原因は何か
一般に、膀胱炎といえば急性膀胱炎のことを指します。
急性単純性膀胱炎と呼ぶこともあります。
膀胱炎のほとんどは、尿道から侵入した細菌の感染が原因で起こり、その多くは大腸菌によるものです。
 
女性は尿道が短い(約4cm、男性は約20cmで女性は男性の1/5です)ことや、肛門や腟が尿道から近いため不潔になりやすく細菌が侵入しやすいため、とくに女性に起こりやすい病気です。
誘因としては、長時間トイレをがまんする、性行為、過労などによる抵抗力の低下、ストレスなどがあげられます。
 
細菌以外の原因としては、ウイルス感染、放射線、薬剤によるものなどがありますが、頻度はそれほど多くありません。

症状の現れ方
突然の頻尿(ひんにょう)、排尿時の痛み、とくに排尿終了時の強い痛み、尿の混濁が現れ、残尿感(排尿後も全部出し切れていない感じがする)、下腹部痛、尿失禁、血尿などを伴うことがあります。
http://health.goo.ne.jp/medical/data/p2175_tbl17_300x290.html

一般に発熱は伴わず、高熱や腰痛が現れた場合には、腎臓にまで炎症が及んでいる可能性があります(腎盂腎炎)。

検査と診断
尿に混濁がみられ、尿検査では膿尿(のうにょう)・細菌尿(尿中に白血球・細菌が混入したもの)が認められます。
通常、血液検査やX線検査では異常は認められず、臨床症状と尿検査から診断されます。

治療の方法
症状が軽ければ、普段より多めに水を飲んで2日間ほど様子をみる方法もあります。
大腸菌に有効とされている抗菌薬(セフェム系ニューキノロン系など)を1週間程度内服します。
通常は、1週間以内に症状が改善します。
また、治療中は水分を十分摂取して尿量を増やすようにします。

予防法としてクランベリージュースを飲むことが効果的との説があります。
これに含まれるキナ酸やポリフェノール尿道などで細菌が繁殖するのを防ぐ効果があるようです。
漢方の猪苓湯(ちょれいとう)にも予防効果があるということもいわれています。

急性膀胱炎に気づいたらどうする
水分を十分摂取して尿量を増やすようにし、過労やストレスを避けます。
症状が長く続く時や繰り返す時、血尿が続く時、発熱を伴う時などには、前立腺肥大症(ぜんりつせんひだいしょう)、前立腺がん、膀胱結石、膀胱腫瘍、尿道の狭窄(きょうさく)、神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)、膀胱異物など泌尿器科的な異常があることもあります。
 
急性膀胱炎は生活習慣病に似ているところがあります。
頻繁にかかる人の中には「慢性では」と心配する人は多いのですが、その可能性は低いのです。
発症の際には、直前の生活スタイルを思い返す必要があります。

<参考および引用サイト>
http://health.goo.ne.jp/medical/search/10J40100.html
急性膀胱炎 - goo ヘルスケア

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イメージ 2


出典 日経新聞・朝刊 2009.6.20
版権 日経新聞


<関連サイト>
膀胱炎をくり返すのはなぜ?
http://health.goo.ne.jp/column/healthy/h003/0080.html


ウーマンズヘルス|かしこい患者学|膀胱炎
http://www.jfpa.info/wh/kanja_gaku/bokoen.html

急性膀胱炎 | 膀胱炎の症状と治療ガイド
http://www.yokahan.com/002/000004.html

慢性膀胱炎
http://www.yokahan.com/002/000005.html
■症状は、急性膀胱炎とほとんど同じですが、症状は軽く、自覚症状がない場合もあります。
トイレの回数が多い頻尿や、排尿時の軽い痛み、排尿してもすっきりせず、残尿感があるなどの症状が現れます。
■原因となる基礎疾患には、前立腺肥大症や膀胱結石、尿路結石、糖尿病、腫瘍などがみられます。
例えば、膀胱結石である場合、膀胱内に結石があり、結石には細菌がいるため、膀胱内の細菌の繁殖・感染が長く続きます。
■慢性複雑性膀胱炎は、細菌性ですが、非細菌性の慢性膀胱炎もあります。
非細菌性慢性膀胱炎は、原因となる基礎疾患や病原菌が特定できないが、頻尿や残尿感、濁った尿、軽い痛みなどの慢性膀胱炎の症状がみられる膀胱炎です

間質性膀胱炎
http://www.yokahan.com/002/000006.html
■慢性膀胱炎の一種で、上皮と筋肉の間にある間質が慢性的に炎症を起こす膀胱炎です。
女性に多い病気で、膀胱炎の中でも、症状が重く、非常につらい病気です。
■間質性膀胱炎の症状は、頻尿や残尿感、排尿後の痛みや不快感など、細菌性の膀胱炎とよく似ています。
急性単純性膀胱炎や慢性複雑性膀胱炎は、細菌感染が原因の膀胱炎のため、抗生物質や抗菌剤の処方で症状は改善されます。
しかし、間質性膀胱炎は尿検査をすると、細菌は見られず、よって、抗生物質や抗菌剤を服用しても、効果はありません。
■間質性膀胱炎は、間質が炎症を起こし、膀胱の筋肉が萎縮してしまいます。
そのため、膀胱が膨らまず、正常時の半分以下の量の尿しか溜めることができません。
また、尿が膀胱に貯まってくると炎症があるため、痛みが出てきます。

出血性膀胱炎
http://www.yokahan.com/002/000007.html
■原因は、ウィルスや細菌、抗がん剤の投与、食物や薬のアレルギーなどですが、ウィルス性のものが多く、一般的に出血性膀胱炎といえば、ウィルスが原因とされます。
子供がかかりやすく、アデノウィルスによるものが一番多くみられます。
■アデノウィルスに効く薬は今のところ無く、出血性膀胱炎も自然治癒になります。
水分を十分に取り安静にすれば、症状は数日で改善され、尿検査の潜血反応も10日ほどでなくなります。
■診断には、膀胱鏡で、膀胱の内部を診る必要があります。


新型インフルエンザ 関連>
新型インフルワクチン接種、医療機関を限定
厚生労働省は6日、新型インフルエンザワクチンの接種を、国と委託契約を結んだ医療機関に限って行う方針を固めた。
対象の医療機関は市町村や地域の医師会が選ぶ。
供給量に限りがある国産ワクチンを、最優先接種者から順に、適切に接種していく必要があるため、当面は医療機関を限定する必要があると判断した。
最優先の接種対象者は、医療従事者、糖尿病やぜんそくなどの持病のある人や妊婦、1歳~就学前の小児、1歳未満の乳児の両親を合わせた1900万人。
ワクチン輸入も計画されているが、供給は12月下旬以降の見通し。
国産は早ければ10月下旬から出荷されるが、年内の生産量は最大1700万人分しかない。

持病がある人のかかりつけが対象外となった場合、主治医から「優先接種対象者証明書」を発行してもらい、国と委託契約した医療機関で接種を受ける。
方針案は8日の都道府県担当課長会議に提示される。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090907-00000003-yom-soci
出典 読売新聞 2009.9.7

<コメント>
市町村や地域の医師会はどのような方法で医療機関を選定するのでしょうか。

<追加>
新型インフルエンザ 感染防ぐには?
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2009/09/01


<きょうの一曲>  よこはま詩集
ダ・カーポ - よこはま詩集
http://www.youtube.com/watch?v=z6er83rskcs&feature=related


読んでいただいて有難うございます。
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