新型インフルエンザ 2009.12.27

現在流行している新型インフルエンザは豚インフルエンザともいわれH1N1ウイルスです。

一方、これからの流行が懸念される、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)は、人への感染で6割近い高い致死率を示すと予想されます。

最近、国産の新しいインフル薬が開発中という明るいニュースが流れました。
強毒性の高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)にも有効で、新型の豚インフルや季節性インフルさらにはタミフル耐性の季節性インフルウイルスでも効果が期待されています。

インフル薬のタミフルリレンザは人の細胞内で増殖したウイルスが外に出るのに必要なたんぱく質の働きを邪魔するのに対して、T―705はウイルス増殖に欠かせない酵素の働きを阻害するということです。


##インフル新薬、強毒ウイルスにも効果=タミフル耐性株でも-東大医科研など
富山化学工業(本社・東京都新宿区)が開発中の新インフルエンザ薬「T-705」が、強毒性のH5N1型鳥インフルエンザにも有効であることを、東大医科研の河岡義裕教授、木曽真紀研究員らのグループが動物実験で初めて明らかにした。
 
人への散発的な感染例で高い致死性を示すH5N1は、抗ウイルス薬タミフルがある程度有効だが、耐性株も出ており、新たな治療薬の開発が急がれている。河岡教授は「病原性の強いウイルスにも高い効果があった。
今後、人での成果が待たれる」としている。
 
研究グループは、ベトナムの死亡・入院患者から採取した2種類のH5N1ウイルスをマウスに感染させ、T-705を用量と日数を変えて投与し、タミフルや無治療群と生存率を比較。無治療群はすべて死んだが、最大用量で8日間治療した群は100%生存。
5日間の治療でも5割以上の生存率で、タミフルと同等かそれ以上だった。
 
治療開始時期を、感染後1時間から3日まで変えて調べたところ、治療開始が遅いほど生存率が低下したが、最大用量群では3日後に開始してもすべて生き残った。
 
変異によりタミフルに耐性を持った2種類のウイルスでも、最大用量群は100%生存。タミフルや、低用量群の生存率は低かった。
 
肺の病理検査では、無治療群で起きた肺の障害が、タミフル群や低用量群ではある程度みられたが、最大用量群では全く起きていなかった。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200912/2009122200092
出典 時事ドットコム 2009.12.22
版権 時事通信社


##「新型インフルと区別できぬ」季節性も流行、医師は困惑
■季節性インフルエンザの流行期を迎え、各地の医療機関が「新型の豚インフルエンザとの区別ができなくなる」と頭を悩ませている。
簡易検査キットでは新型も季節性も同じ「A型」と出るため判別できず、すでに新型に感染した可能性のある人にまで、貴重な新型ワクチンの接種を勧めることになるからだ。
■新型と確定するには患者の遺伝子検査をする必要があるが、施設が限られ、1回の検査に数万円かかることから大半の都道府県では行っていない。
国立感染症研究所が全国約500の医療機関を対象に実施している調査では、12月に入ると例年、季節性のウイルスが週100株前後検出され始め、流行期を迎える。
今年初めてA型と判断された患者の場合は、新型か季節性かがわからないため、治療でインフルが完治した後に多くの医師は、念のため新型ワクチンの接種を勧めることになる。
■朝野和典・大阪大医学部教授(感染制御学)は「季節性の流行期にA型と判断された人に、新型ワクチンを接種すべきかどうかという問いには100%の正解はない。現場の医師が流行状況をタイムリーに把握できるよう、行政が情報を発信していく以外にない」と話している。


イメージ 1


出典 asahi.com 2009.12.16
版権 朝日新聞社
<コメント>
このことはすでに以前から予想されていたことでこのブログでも指摘しました。
しかし、コストがこのようにかかるということなら別です。
厚労省はこのあたりの説明に欠けています。
今後流行が予想される強毒性インフルエンザの検査はどのようになるのでしょうか。


読んでいただいて有難うございます。
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