食道がんになる人・ならない人

「リスク77倍!食道がん なる人・ならない人」

日本人がなりやすく、毎年1万人以上が亡くなっている「食道がん」。
リンパ管が近いためにがんが小さいうちから転移してしまう恐ろしいがんだ。
健康診断や人間ドックを毎年受けているから大丈夫、と思ったら大間違い!
食道がんはX線検査や内視鏡の検査でさえも早期の段階で発見することは難しく、「進行がん」で見つかるケースが多いのだ。
しかも、飲酒をする習慣のある人は、リスクが急上昇することもわかってきた。
アルコールが体内で分解され発がん物質であるアセトアルデヒドが大量に作り出されてしまうためだ。特に飲酒すると顔が赤くなる、もしくは飲み始めた頃に赤くなった人は要注意。
毎日3合(日本酒換算)飲むとなんとリスクが77倍にも跳ね上がってしまう!
食道がんになる人、ならない人の分かれ道、そして予防法や最新対策はあるのだろうか。



食道がんにかかる人は、実は男性が女性のおよそ6倍です。
そして50歳代になると数が跳ね上がります。
つまり、「お父さん」がなりやすいがんなのです。
仕事に明け暮れ、付き合いで飲み、家に帰ってから一息つくために晩酌したら、人によっては食道がんになるリスクが77倍にもなってしまうのです。
酒飲みは肝臓に気をつけよう、というメッセージが込められた「休肝日」ですが、影響を受けるのは
「肝」だけでなく食道もなのです。
「お父さん」、「飲んだら(内視鏡を)飲め」です!



健診でも見抜けない? 健康診断やがん検診に潜む、思いがけない落とし穴
食道がんの大きな特徴は、「転移」の早さ。
食道がんは、内壁が薄くリンパ管までの距離が近いため、がんがまだ小さいうちに他の器官に転移しやすいのだ。
さらに、早期の食道がんは凹凸が少ないため、造影剤がひっかかりにくく、X線検査では非常に見つけにくい。
また内視鏡でも、もともと小さくわかりにくい上に健康診断など集団検診では多くが胃を中心に見るため、きちんと見てもらえない場合が多い。



発見!ある凍るような事実
酒を飲む習慣がある人は「食道がん」になるリスクが高まることがわかってきている。
アルコールが体内に吸収されると肝臓にある酵素の働きで分解される。
すると発がん物質であるアセトアルデヒドが大量に作り出されてしまう。
そこで私たちの体にはアセトアルデヒドを分解する別の酵素が配備されているのだが、なぜか食道ではその酵素がほとんど働かない。
その結果、食道は大量の発がん物質にさらされ続け、がんができてしまうのだ。
特に酒を飲むと顔が赤くなる人、あるいは初めて飲んだ頃に赤くなった人は注意が必要。
酵素が1/16しか働かないため、リスクが急上昇するのだ。
毎日3合飲んだ場合ではなんとリスクが77倍にもなってしまう。
そして日本人の実に4割が顔が赤くなるタイプなのだ。




登場!早期発見の切り札
怖い食道がんも、早期発見できれば治療の際の負担も軽い。
最新の内視鏡では特殊な青い光を使って、がん細胞の中の血管をはっきりと見て取り、早期がんを見つけることができる。
さらに、多くの施設で行われているのが内視鏡検査のときにヨード液を使う方法。
ヨード液を食道に吹き付けると、食道のグリコーゲンと反応して茶色に染まるが、がん細胞はグリコーゲンをすでに消費してしまっているため、色がつかずピンク色になる。
見つけにくい早期がんでもくっきりと浮かび上がる。
早期で見つかれば、あとは簡単に切除できる。

出典 NHK総合テレビためしてガッテン」2010.6.30(一部改変)
版権 日本放送出版協会

リスク77倍!食道がん なる人・ならない人
http://cgi4.nhk.or.jp/gatten/archive/program.cgi?p_id=P20100630



<私的コメント>
この2日間に3~4人の患者さんから、今週放送されたこの番組の話題が出ました。
こういった番組を見ると患者さんもドクターに話してみたいという心理が働くようです。
私はというと、実は見ていなかったのですがこのサイトで調べてみると患者さんの話は頗(すこぶ)る正確でした。
ドクターは食事時にまで健康番組は普通見ません。
まさにドクターと患者さんの関係は教えたり教えられたりの関係なのです。

こんな名言があります。
オスラー先生のものです。

カナダ生まれの有名なアメリカの医学者ウイリアム・オスラー(1849~1919年)

「患者の言葉に耳を傾けなさい。真実はその言葉の中にあります」
「たいていの人は、剣によるよりも、飲みすぎ、食いすぎによって殺される」


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<関連記事>
お酒に弱いのに飲酒・喫煙…食道がんリスク190倍に
顔がすぐに赤くなるお酒に弱い体質の人が飲酒と喫煙をすると、食道がんになるリスクが、飲酒も喫煙もしない人に比べ、最大190倍も高くなることが、東京大学の中村祐輔教授と松田浩助教の研究でわかった。
同じ体質の人でも、飲酒・喫煙をしないと、リスクは7倍程度に下がった。
体質を理解して生活習慣に気を配ることで、予防したり、早期発見したりできると期待される。
研究チームは、食道がんの患者1070人と健常者2832人で、約55万か所の遺伝情報の違いを比較。
発がん性が指摘されているアセトアルデヒドをアルコールから作る酵素と、アセトアルデヒドを分解する酵素の二つが、食道がんのリスクに関連していることを突き止めた。
アセトアルデヒドはお酒で気分が悪くなる原因物質で、たばこの煙にも含まれる。
顔が赤くなるのは、アセトアルデヒドの分解能力が弱いためで、日本人の4割がこのタイプ。
アセトアルデヒドを作る働きが弱いと、気分が悪くなる前に、ついつい余分に飲んでアセトアルデヒドが増える。
飲酒・喫煙の影響についても調べたところ、お酒に弱く二つの酵素の働きが弱い人が、
1日缶ビール1本以上の飲酒と喫煙をすると、相乗効果が働き、お酒に強く飲酒・喫煙をしない人に
比べ、食道がんのリスクが190倍も高くなっていた。

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出典 読売新聞・夕刊 2009.5.14
版権 読売新聞社


<自遊時間>
昨夜のW杯のオランダ対ブラジル戦。
前半だけ観て寝てしまいました。
今朝、ネットで結果をみてビックリ。
オランダが2対1で勝ってるではありませんか。
予選の日本対オランダは0対1の惜敗でした。
ひょっとするとドローだったかも知れません。
岡ちゃんの目標だったベスト4もあながちホラではなかったかも知れません。
(本田の優勝狙いはホラだったのでしょうが)





読んでいただいて有難うございます。
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