抗がん剤 イレッサ

イレッサ、初期治療にも 肺癌学会が指針改定

肺がん患者で抗がん剤イレッサ」を初期治療で使えるように、日本肺癌学会が診療指針を改定した。
肺がん患者の約3割が対象になるとみられる。
これまでは他の抗がん剤が効かなくなった後の2番手以降の薬だったが、早くから使った方が治療成績がいいことがわかったという。

肺がんによる死者は年間約7万人で、がんの中で最も多い。
イレッサを使うのは、手術が難しいほど進行した非小細胞肺がんの患者が対象。
遺伝子検査で、がんの増殖にかかわる遺伝子(EGFR)に変異があると確かめられた場合、最初から使うことを推奨した。
変異がある人は肺がん患者の3割ほどで、50歳以下の女性では半数に上る。

イレッサは2002年の発売当初、副作用の間質性肺炎による死亡者が相次ぎ、社会問題化した。
現在は、抗がん剤治療に十分な経験のある医師が使うようになり、副作用による死亡は減っている。
遺伝子変異がある患者に最初からイレッサを使った方が、腫瘍の安定している期間が5カ月ほど長かったとの臨床試験の結果も出ており、適切な使い方が分かってきたという。(岡崎明子)



抗がん剤イレッサ 副作用懸念「患者限定を」 市民団体

肺がんの抗がん剤イレッサ」について、「薬害オンブズパースン会議」など四つの市民団体は10日、副作用の被害を防ぐため、使用できる患者を限定するよう求める意見書を厚生労働省に提出した。

意見書では、がんの増殖にかかわる遺伝子(EGFR)に変異がある患者に対しては一定の効果があるという臨床試験の結果が出てきたことや、海外ではこうした患者に使用が限定されていることから、使用できる患者を制限すべきだとしている。
また、イレッサを使う患者の全例登録を義務づけ、有効性と安全性の検討も求めた。

2002年に市販され、副作用の問題も起きたイレッサは、安全性などを再検討する再審査の時期を迎えている。


<私的コメント>
抗がん剤については国内認可の遅れ、いわゆるdrug lag が叫ばれています。
今回のように市民団体が抗がん剤の使用制限を求めるのは異例のことです。

この2つのニュースは医療側と受療側が「同床異夢」であることを示しています。

私の身内もイレッサによる間質性肺炎の副作用でかえって死期を早めました。
知っている方で某がんセンターへ元気に入院し、抗がん剤の犠牲となり数週後に亡くなった方もみえます。
こういった方の集計や文責こそ学会では重要です。
「光には影」があるのです。


<関連サイト>
抗がん剤の個別化治療
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2009/07/28
がん剤効果、遺伝子で予測
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2010/01/02



<自遊時間>
昨日の日曜日の昼下がり。
WOWOW世界ボクシング評議会WBC)スーパーウエルター級王座決定戦(米テキサス州ダラス)を観戦しました。
5階級制覇をしているマニー・パッキャオ(フィリピン)がアントニオ・マルガリート(メキシコ)を3-0の判定で下して新王者となり、6階級制覇を達成した試合です。
フライ、スーパーバンタム、スーパーフェザー、ライト、ウエルターに続く世界タイトル獲得ということで、これはオスカー・デラホーヤ(米国)以来、史上2人目の快挙ということです。
試合はもちろん凄かったのですが、会場のスケールの大きさには圧倒されました。





バレーボール・女子世界選手権の日本32年ぶり逆転メダルも凄かったですね。


最近のバレーボールはサッカーのように足で拾っても良いということを今回の大会で初めて知りました。
解説者も思わず「まるでサッカーみたいですね」とコメントしていました。

いずれにしろ、スポーツはどんなドラマが待っているのかわかりません。
素晴らしい感動を与えてくれます。



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があります。