がん最先端機器で早期発見

より早期のがんを見つけるには最先端機器を使った個人検診が効果的といわれる。
人間ドックのように自分で申し込み、費用は数万円から10万円以上かかる。
ただ、見つかりにくいがんもあり、医療機関によって検診結果のばらつきも多い。
個人検診のメリットとデメリットを正しく知っておこう。

都内の建設会社に勤めるTさん(62)は、50歳代後半から、ほぼ2年おきに、日本医科大学健診医療センターで陽電子放射断層撮影装置(PET)とコンピューター断層撮影装置(CT)を組み合わせたがん検診を受けている。
1回十数万円かかるが、家族をがんで失った経験もある寺嶋さんは「がんがなければ安心。あったとしても早期の段階で見つけて対処したい」と受診の動機を話す。

同センターでは、検診後、なんら問題がなくても大学病院でがん治療に携わる専門の医師に詳しく説明を聞くことが可能。
がんの疑いがあれば、大学病院での精密検査を紹介する。
Tさんは「フォロー体制もしっかりしているかどうかで施設を選んだ」と満足そうだ。

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5ミリメートルでも特定
がん検診に利用される最先端機器の代表格がPET。
特殊な検査薬を注射し、体のどこにどの程度分布するかを撮影してがんの有無を調べる。
1回2~3時間で全身の検査ができる。

同センターの石原圭一センター長は「PETだと約5ミリメートルのがんまで見つかる。受診者の1~2%が精密検査対象になる」という。

PETは苦手な部位もある。
検査薬が過度に集まりやすい脳や、腎臓などの泌尿器、胃などのがんは見つかりにくい。

自治体などが実施する集団検診と、人間ドックのような個人検診では使う機器が違う。
検査法が全国でほぼ統一されている集団検診に対して、個人検診のメニューや機器は医療機関が独自に設定している。

例えば肺がん用には集団検診ではX線レントゲンを使うのが一般的だが、個人検診ではCTを使うことが多い。
胃がん用も集団検診では使わない内視鏡を使う施設が増えている。

癌研有明病院健診センターの平井康夫所長は「個人検診は、できるだけ早期のがんや、がんになる手前のものを見つけるのが目的」と話す。
早期で見つければ、体への負担の少ない手術など最小限の治療で済ませられる可能性が高いからだ。

同センターで胃がんなどの内視鏡検査を担当する土田知宏副所長によると、内視鏡検査では医師が直接、胃の表面を見るため、5ミリメートル以下の微小がんまで発見でき、一般に発見率は0.3%前後という。
X線レントゲン検査では1センチメートルのがんでも見えないことがある。

内視鏡検査では検査中に組織の細胞の一部を採取し調べることも可能。
一度の検査で「がんらしきものがあっても良性か悪性か確定でき」(土田副所長)、何度も受診する必要がない。

体の周りをらせん状にX線をあて四方八方から撮影するヘリカルCTを使った検査も増えている。
「5ミリメートル程度のがんでも発見できる」(金沢医科大学の佐川元保教授)。
集団検診で使う胸部X線レントゲン検査で見つかるのは一般に2センチメートル以上。
2センチメートルでも早期がんのことも多いが、中には1センチメートル以下でも周囲のリンパ節などに転移のある進行がんの人も10~20%いる。

大きさだけで進行度は判定できないが、佐川教授は「CTを受けると、がんが小さいうちに発見・治療できる可能性が高くなるのは確かだ」という。

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費用の高さ難点
最先端検診にもデメリットはいくつかある。

まず費用が高い。
どんなに高額でも「すべてのがんを見つける万能な検診はなく、限界がある」(平井所長)。

さらに個人検診の場合、検診の質や受診間隔などがわかりにくい。
集団検診のように厚生労働省の指針に沿った標準的なメニューもない。

施設選びのポイントとして平井所長は「十分に訓練を受けた医師や技師がいるかが重要」と指摘する。
食道や胃の内視鏡検査でも、熟練した医師でないと、見落とす確率は上がる。

医師の熟練度などを見分けるのは容易ではない。地域のがん治療の拠点病院や、がん治療を多く手掛ける大学病院などに併設している検診施設で受けるのがひとつの目安だ。
(西村絵)

出典 日経新聞 Web刊 2010.12.19
版権 日経新聞


<自遊時間>
本物のダビンチ・コード?=モナリザの目に文字を発見-英紙
イタリア・ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチが名画「モナリザ」に暗号を残していた-。
英紙デーリー・メールはこのほど、イタリアの文化財専門家がモナリザの目の中にダビンチのイニシャルなど微細な文字を発見したと伝えた。
 
イタリアの国立文化遺産委員会のシルバノ・ビンチェティ委員長が明らかにした。
肉眼では分からないが、高度な拡大鏡を使ってモナリザを見ると、右目にダビンチのイニシャルである「LV」が描かれていることが判明。
さらに、左目には「CE」あるいは「B」と思われる記号があり、背景にある橋のアーチには「72」あるいは「L2」のような文字が見つかったという。
 
同委員会のメンバーがモナリザの目の謎に言及した古書を見つけ、その内容に触発されて調査が実施された。
ビンチェティ氏は発見した文字について「作者が描いたものだ。描かれた人物への愛のメッセージかもしれない」と主張している。
 
一方、同紙には読者から「高度な拡大鏡の技術がないダビンチは、どのようにそれを描いたのか」といった疑問も寄せられるなど、謎が謎を呼んでいる。

出典 時事ドットコム 2010.12.18
版権 時事通信社

’’’<私的コメント>’’’
この微細な文字を是非みたいものですが、以下のサイトに掲載されていました。
http://gigazine.net/news/20101214_mona_lisa_code/

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肉眼で確認することはできませんが、超高解像度の写真を分析することで、緑がかった茶色い瞳の中に黒い絵の具で文字が描かれていることが確認できるそうです。
ヴィンチェンティ氏によると、モナ・リザの右目には「LV」と書かれていてこれは明らかにダ・ヴィンチのイニシャルとのことですが、左目にはアルファベットの「B」または「S」、あるいは「CE」というイニシャルともとれる文字が見られ、これがモデルの正体を示す重大なヒントと見られるそうです。
ヴィンチェンティ氏は今回の調査の結論を来月にも発表する予定とのこと。

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また、背景の橋の右側のアーチには数字の「72」またはアルファベットと数字の組合せで「L2」と書かれていて、これも手がかりとなるかもしれないと考えられています。
モナ・リザの目の中の文字について触れている1960年代にフランスの美術史家によって書かれた本が、今回の調査のきっかけとなったそうです。
ヴィンチェンティ氏は、「今回2名の絵画の専門家の見解を仰いだところ、拡大鏡と微細な筆を使って描かれたこれらの文字は、絵画制作の過程で偶然描かれた模様とは考えられないという点で一致しました」と語っています。
「レオナルドはメッセージを伝えるために象徴や暗号を多用した画家です。
『瞳は魂への扉』と考えていた彼は、モナ・リザの目を通じて見る者にモデルの正体を明かしたかったのでしょう」





他に
井蛙内科開業医/診療録(4)
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があります。