がんPET検診 ~ がん早期発見への近道 その4(4/6)

PETは全身を一度にスクリーニングできる新しい検査 見つけにくい女性のがんも早期発見が可能に


女性には乳房、子宮、卵巣など女性特有の臓器のがんの心配も。
以前は日本人に少ないとされていた乳がん卵巣がんがここ十数年の間に急激に増加しています。
ご自身も27年前に乳がんを経験なさったコスモス女性クリニック(神奈川県川崎市)院長の野末悦子先生(婦人科医)に、前回に引き続き早期発見・治療の重要性をお話しいただきました。


早期発見にPETの利用も
がんによって命を落とす女性は未だ多く、念には念を入れて検診をすることが求められています。
早期発見のための強力な武器としてぜひ利用してほしい検査がPET(ポジトロン断層撮影)です。
PETは標識ブドウ糖「18F-FDG」を体内に注入し、その集積状態をスキャナーで撮影します。
増殖スピードが速いがん細胞 が、多くのブドウ糖をエネルギー源として取り込むことを利用し、小さながんでも見つけだしてくれます。
マンモグラフィーやエコーががんの形や大きさを映し出すのに対し、PETは細胞の活性を見るという大きな特徴があります。
細胞分裂がさかんな悪性度の高いものほど18F-FDGが集中することから、良性腫瘍との鑑別もある程度は可能なのです。



PETをどう利用していくか
PET検診は従来法と組み合わせることで確実にがんの正診率を上げ、早期発見に万全を期すことができます。
 
具体的には、有効な早期発見の手立てに欠ける卵巣がんはPETを最大限利用。
子宮体がんは従来の細胞診にPETを加えれば、見落としが少なくなります。
ただし頚がんは、尿中に排泄される18F-FDGが集積する膀胱と子宮頚部の位置が重なるためPETは不向きなので、細胞診を優先すればいいでしょう。
乳がんはエコーやマンモグラフィーでしこりや石灰化の有無を確認しつつ、PETによって細胞の活性をチェックすれば確実です。
もちろん乳房の自己検診も習慣づけておけば、さらに安心できるでしょう。

PETの最大の特徴は、苦痛なく一度に全身のがんをスクリーニングできるということです。
他の臓器もついでに見てくれるわけで、「卵巣がんが心配でPETを受けてみたら早期の肺がんが見つかった」という幸運なケースも多々あります。
がん家系であるなどハイリスクの方には、PETを上手に利用していただきたいと思います。
 
ただし月経のある女性は、PETの受診時期に注意が必要です。
排卵期から黄体形成期にはがんがなくても卵巣に18F-FDGの集積が見られることがあるので、正確な診断をするために月経終了後1週間以内に受診してください。
この時期は乳がんの触診や子宮がんの細胞診にも適していますので、まとめて健康診断を受けるのもいいでしょう。
もちろんふだんからがんになりにくい生活を心がけることもたいせつ。
とくに女性のがん発症のリスクも確実に高める喫煙は、ぜひ控えていただきたいものです。


http://ps.nikkei.co.jp/hlthpet/pet_04.html
乳がんの自己検診法がイラスト入りでくわしく紹介されています)
出典 NIKKEIいきいき健康
版権 日経新聞


<自遊時間>
今日は七夕です。
例年のことですが、梅雨時ということで残念なことに晴れたためしがありません。
小暑にもあたります。
ちなみに大書は7月23日です。

今月の記念日を見ていたら7月14日は「内視鏡の日」だそうです。
最近は、語呂合わせの記念日のオンパレードです。

さて語呂合わせといえば2月3日と毎月23日は「不眠の日」です。

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(ところでイルカの目はどこのいあるのでしょうか?)

イルカは休みなく常に泳ぎ続けているため、これまでは全く眠らない動物であると考えられてきました。
しかし、イルカは右脳と左脳を交互に眠らせる「半球睡眠」を行い、右脳が眠っている時は反対の左目を、逆に左脳が眠っている時は右目をつむりながら泳ぐという形で睡眠時間と水面での継続的な肺呼吸の双方を確保しているということが最近の研究によって明らかになってきています。

写真および文面は[mediceo JOURNAL 2011.7]より引用。



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