食欲をコントロールする

先週の「ためしてガッテン」の番組からです


医学が認めた!食欲をコントロールできる技

おいしい物はついつい食べすぎてしまう。
その「ついつい食べ過ぎ!」を抑えてくれる夢のような物質が見つかりました。

肥満の治療にその物質をうまく使うことで、たった半年で40kg以上のダイエットに成功したという人もいます。
また、その物質を使ったら7割以上の人が、ダイエットを意識せず体重を減らしたという研究データもあります。

実は「あること」をすると脳の中にその物質が増え、自然と食欲が抑えられるというのです。
その物質の秘密と、効果的な食欲抑制方法とは・・・。


番組ディレクターからひとこと
なぜ「そうめん」は食べ過ぎてしまうのか?
自分自身、食べることが大好き。
ごはんもめん類も大好物なので、ついつい食べ過ぎてしまうこともしばしば・・・。

中でも、よく食べ過ぎてしまうのが「カレー」、「おそば」、そして「そうめん」。
特に「そうめん」は、食べ終わってからいつも気持ち悪くなってしまうほど食べ過ぎてしまいます。
豪華なメニューじゃないのになぜだろうと、いつも不思議に感じていました。

今回の取材でその謎が解けました!
そうめんを、まるで”飲むように”食べてしまっていたのです。
科学的に言えば、そんな食べ方では満腹になりにくいのは当たり前のことでした。

これからはそうめんにはキュウリやネギなど歯ごたえのある薬味をトッピングしたいと思います。


人はなぜ食べ過ぎてしまうの?
人の食べ過ぎを引き起こす「過度な食欲」とはいったい何なのでしょう?

一般に、野生の動物は必要な分だけ食べたら、それ以上は食べないと言われています。
番組でもニホンザルに大量のサツマイモを与えたところ、必要以上には食べませんでした。
ところが、サツマイモにバターとハチミツを加えたとたん、いつもの4倍の量を完食してしまいました。

実は、甘みや油脂、だしなどおいしい物を食べると脳内でβエンドルフィン(快感物質)が出ることがわかっています。
これが「過度の食欲」の原因のひとつ。

また、「ストレス」でも食欲がアップすることがわかっています。
さらに、最近の研究で「睡眠不足」でも食欲をアップさせるグレリンというホルモンが増えることがわかってきました。
その上、グルメ情報や香り、見た目、アルコールなど現代人は「過度な食欲」を大きくさせるものに囲まれているのです。

一方、食べ過ぎを抑えるには「意志の力」とよく言われます。
そこで、ものを食べたときの脳の反応を調べてみました。
すると驚いたことに、おいしい物を食べたときには前頭前野(判断や意志決定をする部分)の活動が明らかに下がってしまったのです。

現代社会を生きる私たちは、食欲が大きくなりすぎて、とても意志だけではおいしい物に打ち勝つことが
できないのです。


医学が発見した食欲を抑える物質!
肥満治療の現場では、食欲を直接抑えるための研究が行われてきました。
そして発見されたのが「ヒスタミン」という物質の食欲を抑える効果です。
脳の中にヒスタミンが増えると、食べる量が減り、ヒスタミンが減ると、食べる量が増えるのです。

ところが一方で、ヒスタミンは「鼻づまりやかゆみなどアレルギー症状を引き起こす」やっかいな物質です。
さらに、血管脳関門と呼ばれるゲートを通ることができないため、脳内の細胞に届かず薬のようにヒスタミンを飲んでも無意味です。
どうすればいいのか?

実は、「噛(か)むという行為」がなんと脳の中だけでヒスタミンを増やすことがわかってきました。
噛んだ刺激が脳内の結節乳頭核という部分に届き、ヒスタミンを量産させるのです。
そしてヒスタミンが満腹中枢を刺激することで、満腹感が高まるという仕組みです。
さらにうれしいことには、脳内のヒスタミンは内臓脂肪も減少させることもわかってきました。
昔から「よく噛みなさい」と言われてきましたが、噛むことには、直接満腹感を高めてくれるという効果があったのです。


43kg減量させた咀嚼(そしゃく)法とは?
ヒスタミンの効果を発見した医師は、肥満治療に「咀嚼(そしゃく)法」を取り入れています。
これは食事の際、ひとくちにつき30回きっちり噛んでから飲み込むことを目標にした方法です。
ひとくちごとに30回ピッタリだったら○、30回を越えてしまったり届かなかった場合は×を記録していきます。

「噛めば噛むほどいいのでは?」と思いがちですが、30回程度が長続きしやすいこと、さらに30回ピッタリで飲み込めるひとくちの量を探ることで口数を増やすという効果があります。

慣れるまでは、「修行」のような食事と感じますが、慣れてくれば、薄味でも自然の食材の味がよくわかるようになるといいます。


食べて脳内ヒスタミンを増やす!
栄養調査を元にした研究から、食材に含まれるある成分を多くとると食事の量が減ることがわかってきました。
また、ネズミの実験からも同様のことが確認されました。

その成分とは「ヒスチジン」。
アミノ酸の一種で、ヒスタミンの原料になります。
ヒスチジン血液脳関門を通過することができ、脳内でヒスタミンに変わるのです。

ヒスチジンが多く含まれている食材は、まぐろ、かつお、ぶり、さば、さんま、などの青魚です。

※1日にどれくらい食べれば効果が出るのかについては現在研究中です。


今回のお役立ち情報
食欲コントロールの考え方
おいしい物はついつい食べすぎてしまいます。
その「ついつい食べ過ぎ!」を抑えてくれる夢のような物質が見つかりました。
といっても薬ではなく脳内物質の「ヒスタミン」です。
ヒスタミンは鼻づまりやかゆみなどのアレルギー症状を引き起こすやっかいな物質ですが、脳の中では満腹中枢を刺激して、満腹感を高めてくれる物質です。

そのヒスタミンを脳内だけで増やす方法が「よく噛(か)む」ことです。
ひとくち30回ピッタリを目指す「咀嚼(そしゃく)法」をお勧めします。

咀嚼法とは?
食事を一食ごとに開始時間と終了時間を記録します。
噛む回数が多ければ多いほどいいというものではありません。
一口ごとに30回ピッタリ噛んでから飲み込めたら○、それより多くても少なくても×を記録していきます。
30回ちょうどで噛めるよう、食材ごとに一口の量を調整します。
食事のすべてが○印になることを目指します。

※30回ちょうどの○が増えてくると、一食平均で30~35口程度の口数になります。

食欲コントロールのQ&A
Q.ヒスタミンは薬として服用できるのですか?
A.ヒスタミンは脳以外では鼻づまりやかゆみなどのアレルギー症状を引き起こす物質なので、服用することはできません。
また、脳にある関門を通ることができないので、たとえ服用しても食欲を下げる効果はありません。

Q.ガムじゃダメなんですか?
A.ガムを噛めば食欲を抑える効果はあります。
しかし、ガムを噛んでダイエットを目指すという考え方は、なかなか習慣になりにくいこと、間食をするという習慣が抜けにくくなることから、専門家によるとあまりお勧めできないとのことです。
あくまで、日常の食事でしっかりと噛んで食べることをお勧めします。

Q.かつおはどれくらい食べればいいのですか?他の魚はどうですか?
A.かつお、まぐろ、ぶり、さば、さんま、などの青魚を多く食べている人はトータルの摂取カロリーが
少ないことがわかってきました。
これらの食材に入っている「ヒスチジン」という成分が脳内でヒスタミンに変化するからだと考えられています。
ただし、どれくらい食べればいいのかについては現在研究中で、まだはっきりとはわかっていません。



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2011.6.11 横浜・市営地下鉄「関内駅」地下道にて
あまり町中を歩かないのでわからないのですが、この広告は全国的ですか?
関内と缶内のひっかけですか?


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