夏バテ対策法

夏バテを侮るな 元気を取り戻すコツ

夏バテを侮ってはいけない。
こじらせると倦怠感や食欲不振が続き、仕事や学業の効率も落ちてしまう。
糖尿病などの持病がある人は、夏バテをきっかけに症状が悪化するともいわれる。
節電の夏も後半戦に入った。
元気な体を取り戻すにはどうすればいいだろうか。

■自律神経系が影響
夏バテの主な症状は全身の倦怠感や食欲不振のほか、思考力の低下、下痢、便秘などが挙げられる。
頭痛や発熱、目まいを伴うこともある。
原因として考えられるのが、自律神経系のバランスが崩れることだ。

暑い日が続くと、人間の体はたまった熱を逃がすために、自律神経系の一種である交感神経系と副交感神経系の働きを強めたり弱めたりしながら、汗をかいたり血管を広げたりする。

冷房が無かった時代は猛暑による体力低下などの症状が多かったが、冷房が普及した現在では、室内外の気温・湿度の急激な変化で自律神経系のバランスが崩れ、夏バテになることが多い。
明理会中央総合病院の岩倉具宏・心臓血管外科部長は「自律神経系の働きに関わる様々な臓器に悪影響が出る」と指摘する。
夏バテで食欲が無くなったり、下痢や便秘などの症状が出たりするのはこのためだ。

夏バテを防ぐにはどうすればいいのか。
まず、就寝、起床の時間を一定に保ち、体をしっかりと休めることだ。

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夏場の暑さで寝付けずに睡眠時間帯が不規則になる人も多いが、和洋女子大学の橋詰直孝教授は「午後11時から午前3時の間は睡眠時間にあてたい。脳の神経細胞が休む深い眠りが起きやすいからだ」と言う。この時間帯に合わせて寝れば体調の悪化を防ぎやすい。
さらに、就寝の1時間ほど前に入浴を済ませ、その後は適度に体を冷ましておけば寝付きやすくなる。

就寝中に冷房を付けっぱなしにすると夏風邪や下痢の原因となる。
寝る前に寝室をセ氏27~28度の冷房で冷やしておいたり、タイマー機能で1~2時間後に切れるよう設定した上で寝たりするといい。
日本の夏は湿度が高いので、冷房を除湿運転するだけでも不快感はかなり和らぐ。
昼間に冷房を使うときも、外気温との温度差を5~6度に抑えるといい。
職場など大人数がいる場所で自由な温度調節が難しい場合は、ひざ掛けやカーディガンなどで温度を調節するといい。

一日の大半を室内で過ごす人は、早朝など比較的涼しい時間帯にウオーキングなどの軽い運動を毎日30分程度しておくと、適度な疲労感が出て寝付きやすくなる。


サプリメントも効果的
夏バテによる食欲不振から、そうめんなどの主食やジュースなどの甘い飲料しか口にしない人も出てくる。
そんな場合に重要な栄養素がビタミンB1だ。
ビタミンB1は炭水化物などの糖質を代謝してエネルギーに変える性質を持つため、不足すると夏バテが悪化し、集中力の低下などにつながる。
豚肉やウナギなどのたんぱく質に多く含まれるので、少量でもとるといい。


ビタミンCも足りなくなると集中力不足や倦怠感につながる。
野菜や果物をとることが最善だが「ネギやミョウガなどを薬味としてそうめんと一緒に食べるなどの工夫も効果的」(和洋女子大の内田菜穂子助手)。
どうしても食べられなければ、短期間ならばそうめんなど軽い主食だけを食べ、ビタミン剤などのサプリメントで不足した栄養素を補うのも一つの手段だ。

イカやトマトなど利尿効果がある野菜や果物を食べて体を冷やしたり、酢酸やクエン酸を含む梅干しや酢を料理に使い、乳酸などの疲労物質を分解するのも効果的だ。
水分補給は熱中症対策としても重要で、意識的にとる。
心臓疾患などで利尿剤を飲んでいる人は特に水分補給に気をつけなければいけない。冷房が利いた室内では温かい飲み物を飲む方がいい。

倦怠感や食欲不振などの症状が長引くようなら、一度、医療機関で診てもらおう。
糖尿病や心臓病などの初期症状と、夏バテの症状は見分けが付きにくいためだ。
特に30代後半以降の中高年層や、基礎疾患を持つ人は気をつけた方がいい。岩倉部長は「夏バテの食欲不振から、糖尿病などの症状が悪化する恐れもある」と話す。 (草塩拓郎)

出典 日経新聞 Web刊 2011.8.21
版権 日経新聞


<夏バテ 関連サイト>
夏バテ防止 まず食事から
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2010/07/26





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2011.8.13撮影 山梨県笛吹市の果樹園にて



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