店任せだった生肉提供
富山県の焼き肉チェーンで2011年に発生した腸管出血性大腸菌(O(オー)111)による食中毒事件で、菌のベロ毒素による溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した患者は32人、全体の17・6%に上る。従来、腸管出血性大腸菌のHUS発症率は3、4%とされるのに比べ、突出して高い。
同県衛生研究所主幹研究員の綿引正則さんは「患者からは別の型の腸管出血性大腸菌O157も同時に検出された。また、菌の摂取量が多かった可能性もある。大きな被害を招いたことと関係あるのかどうか、探り出したい」と話す。
この事件を機に、食中毒の引き金となった生肉の規制も強化された。
厚生労働省が1998年に設けた生食用の食肉の衛生基準では、菌が付着しやすい肉の周囲を切り取る「トリミング」などについて定められた。
しかし実際には、基準は形骸化。
少なくとも2008~10年度に基準を満たした出荷実績があるのは、馬肉や馬のレバーのみで、牛肉はゼロだった。
生肉を出すかどうかは店任せなのが実態だった。
少なくとも2008~10年度に基準を満たした出荷実績があるのは、馬肉や馬のレバーのみで、牛肉はゼロだった。
生肉を出すかどうかは店任せなのが実態だった。
飲食店が提供する際は、生肉は食中毒の危険性があり、抵抗力が弱い子供や高齢者などに対しては食べることを控えるよう、店頭やメニューで明記することを義務づけた。
生レバーの規制について議論している同省薬事・食品衛生審議会「乳肉水産食品部会」委員の甲斐明美さん(東京都健康安全研究センター微生物部長)は、「魚介類の刺し身などの生食文化は日本人に根強い。だが、現時点で生の食肉の安全性が確保されていない以上、食べることを控えるのはやむを得ないのではないか」と指摘する。
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