足のむくみ 下肢静脈瘤

立ち仕事・同じ姿勢、血流悪化

足のふくらはぎにむくみや重みを感じたり、つりやすくなったりしてないだろうか。
足の血液循環が悪くなってこぶのようになる「下肢静脈瘤」かもしれない。
 
血液は心臓から動脈を伝って体の隅々に流れる。
帰り道となる静脈では、下肢(足)だと重力に逆らって上らなくてはならない。
ふくらはぎの筋肉の収縮で静脈を圧迫して血液を流しているが、その際に重要な役割となるのが逆流を防ぐ静脈の弁だ。
足を長く動かさなかったり、体重の負担が長くかかったりすると弁が壊れることがあり、うっ血して静脈瘤になる。
 
足の皮膚表面にある静脈の中でも、弁が壊れ、静脈瘤をつくりやすいのが「大伏在静脈(内側のくるぶし~ふくらはぎの内側~太ももの内側~あしの付け根)」と「小伏在静脈」。
 
下肢静脈瘤は年間の患者数が約20万人、予備軍を含めて数百万人いるとの報告もある。
調理師や教師など長時間立ったまま仕事をする人がなりやすいとされている。
女性に多いとされていたが、男女差はないとの海外論文もある。

     *  *

静脈瘤を放置して悪化すれば、皮膚炎を起こしてかゆくなったり、皮膚が黒ずんだり、皮がめくれて潰瘍ができたりする。
極めてまれではあるが、静脈瘤にできた「血栓」が心臓に戻って、肺の動脈に運ばれて血管をつまらせる「肺塞栓症エコノミークラス症候群)」を起こすこともある。
 
予防のためには長時間の同じ姿勢はなるべく避けたい。
軽い静脈瘤や再発予防に効果があるとされるのが医療用の弾性ストッキングだ。
足を周囲から圧迫して血液を流れやすくするもので、足の不快感を減らし、進行を抑える効果がある。
ただ、糖尿病などの持病があると逆に悪化するケースもあるため、メーカーでは医師らの指導を受けることを勧める。

     *  *

治療では静脈を切る外科手術や注射、レーザーなどがある。
ただ、場所によってはむくみや痛みがなく、症状の個人差も大きく、医療機関を受診するタイミングが難しいこともある。
 
30~60代の男女1千人を対象に「足のむくみ・だるさ」について聞いたアンケートによると、足に何らかの違和感があると回答した人は84%に上り、そのうち医療機関を受診していない人は85%にのぼった。


下肢静脈瘤の可能性がある足の症状
① □ むくむ
② □ 長時間、立っていたり座っていたりすると、重苦しくなる
③ □ 表面の血管が目立つ
④ □ つりやすくなる
⑤ □ 痛い
⑥ □ できた湿疹が治りにくい
⑦ □ 皮膚に茶色や黒褐色の色素沈着ができる
⑧ □ 皮膚がえぐれて潰瘍ができる

①朝になってもむくみがあると要注意。ヤッサージや弾性
ストッキングをはくなどして血液の循環をよくしてください。
特にふくらはぎの筋肉を時折動かしましょう。
③~⑤静脈瘤の可能性があります。
⑤~⑧重症の静脈瘤の可能性があります。
早めに医療機関を受診してください

出典
朝日新聞・朝刊 2015.11.9



<関連サイト>
「知ってください下肢静脈瘤のこと」
http://www.think-vein.jp