妊娠前「ワクチン接種を」 風疹流行、赤ちゃんに障害
2012年、風疹が大流行した影響で、赤ちゃんの耳や心臓などに障害が出る先天性風疹症候群(CRS)の報告が相次いだ。また、麻疹(はしか)は今年、減少傾向にあった患者数が増加に転じた。
1本のワクチンで風疹とはしかの両方を防げるとして、専門家は予防接種を呼びかけている。
■男性の予防も大切
風疹は、せきやくしゃみを通して感染する。
2、3週間後に熱や発疹、リンパ節の腫れなどが出る。妊娠20週ごろまでの女性が感染すると、CRSの赤ちゃんが生まれる可能性がある。
風疹は、せきやくしゃみを通して感染する。
2、3週間後に熱や発疹、リンパ節の腫れなどが出る。妊娠20週ごろまでの女性が感染すると、CRSの赤ちゃんが生まれる可能性がある。
2013年の風疹患者の報告数は1万4357人。
12年の2386人、11年の378人と比べ、大幅に多かった。
13年のCRSの報告も32人と統計のある1999年以降で最多だった。
12年の2386人、11年の378人と比べ、大幅に多かった。
13年のCRSの報告も32人と統計のある1999年以降で最多だった。
感染を防ぐワクチンは現在、1歳と小学校入学前1年間の計2回、定期接種として風疹とはしかの混合ワクチン(MRワクチン)を打つことになっている。
制度の違いで接種する機会がなかったり、接種率が低かったりした世代がある。
制度の違いで接種する機会がなかったり、接種率が低かったりした世代がある。
MRワクチンの集団接種を社内で実施するなど対策に乗り出した企業もある。
風疹をなくすには、会社など小さな単位でどれだけ接種できるかが鍵となる。
ただ、妊娠中の女性はワクチンを打てない。
妊娠を希望する女性は、妊娠前にワクチンを2回打ったほうがよい。
さらに接種後2カ月は避妊をする必要がある。
妊娠を希望する女性は、妊娠前にワクチンを2回打ったほうがよい。
さらに接種後2カ月は避妊をする必要がある。
MRワクチンは自費で打つと1回1万円ほど。
昨年度は多くの市町村が接種費用を補助したが、流行が沈静化したこともあり、免疫があるかを調べる検査費のみの補助に切り替えたところが多い。
昨年度は多くの市町村が接種費用を補助したが、流行が沈静化したこともあり、免疫があるかを調べる検査費のみの補助に切り替えたところが多い。
■はしか急増の兆し
はしかの患者数も増加傾向にある。
すべての患者を報告するようになった2008年は約1万1千人だったが、これ以後は大きく減っていた。
はしかの患者数も増加傾向にある。
すべての患者を報告するようになった2008年は約1万1千人だったが、これ以後は大きく減っていた。
2012年に検出されたウイルスの多くはフィリピンを中心に流行している「B3」というタイプ。
現地で感染した人が帰国後に発症し、周囲に広げた形だ。
現地で感染した人が帰国後に発症し、周囲に広げた形だ。
日本の土着ウイルスとされる「D5」タイプは10年を最後に検出されていない。
厚生労働省は15年度までに、はしかの「排除」を目指している。
土着ウイルスによる感染が3年間確認されないことなどが条件になっている。
しかし、B3タイプの患者が増えていくと、土着とみられかねないという。
厚生労働省は15年度までに、はしかの「排除」を目指している。
土着ウイルスによる感染が3年間確認されないことなどが条件になっている。
しかし、B3タイプの患者が増えていくと、土着とみられかねないという。
はしかと風疹はMRワクチンで防げる。
定期接種をきちんと受けるほか、接種したのかわからない人は抗体検査やワクチン接種を受けたい。
定期接種をきちんと受けるほか、接種したのかわからない人は抗体検査やワクチン接種を受けたい。
2016.2.11 撮影