夏に流行する感染症

《夏に流行する感染症》 乳幼児に多く重症化の恐れも

感染症と聞くと、インフルエンザなど冬に流行するものが思い浮かびます。
しかし、夏に流行する感染症もあり、これからの季節、注意が必要です。
ときに重症化する恐れがあります。
 
夏に流行する代表的なウイルスは、エンテロウイルスアデノウイルスだ。
これらのウイルスは便を通して感染するほか、せきやくしゃみなどでもうつる。
ウイルスのタイプが多く、一度感染して免疫ができても、別のタイプに感染し、繰り返し症状が出ることもある。
患者は乳幼児が多く、保育園や幼稚園などで感染が広がるケースが多い。

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エンテロウイルスが引き起こす主な病気が手足口病ヘルパンギーナだ。
手足口病は、手のひらや足、口の中などに2~3ミリの発疹がでる。
症状の軽いものが多く、安静にしていれば発疹は3~7日ほどで消える。
ヘルパンギーナは高熱や口内炎ができ、食事をするのもつらくなる。
いずれも、まれにけいれんや髄膜炎脳炎などを併発し重症化する可能性がある。
 
アデノウイルスによる代表的な病気は咽頭結膜熱。
きちんと消毒のできていないプールで感染することがあり、プール熱とも呼ばれる。
熱や結膜炎、のどの痛みなどが出るほか、重症化すると肺炎や脳炎を起こす恐れがある。
 
これらの病気には、薬やワクチンはない。
多くは軽症で回復するが、重症化には気をつけないといけない。
2日以上高熱が続くようなケースやけいれん、呼びかけても反応が鈍いなどの症状があるときは病院に行った方がいい。

熱が下がったからといって、無理はさせないようにしたい。

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発熱や食欲が落ち、脱水症状になってしまうことにも注意が必要だ。
スポーツ飲料など塩分を含んだ水分を、ゆっくり少しずつ飲ませるとよい。
口やのどが痛いときは軟らかく刺激の少ないものを食べさせる。
 
予防の基本はきちんと手洗いやうがいをすることだ。
ウイルスは熱が下がっても1カ月ほど便から出続けるため、トイレやおむつ交換の後はしっかり手を洗うことが大切。
タオルの共有を避けたり、プールに入る前と後にシャワーをよく浴びたりすることも予防につながる。
 
普段の生活も大事だ。
室内と室外の温度差が大きいと体温調節ができなくなって体調を崩し、感染しやすくなるので、室内を冷やしすぎないようにする。
タオルケットや腹巻きを使って腹を冷やさないようにするほか、十分な睡眠が大事だ。


夏の感染症、重くならないように注意
① 高熱が2日以上続く
② 水のような下痢が何回も出る
③ 吐いた後にぐったりしている
④ 呼びかけても反応が鈍い
⑤ 遊ばす、ぐずぐずしている
⑥ 水分をあまり飲まず口や唇がカサカサしている
⑦ 尿の回数が半日に1回程度と少ない


手足口病ヘルパンギーナ咽頭結膜熱は乳幼児に多く、便を介してうつるほか、唾液やくしゃみなども感染のもととなります。
子どもたちに手の洗い方をきちんと教えるほか、おむつの始末をした大人の手洗いも重要です。
プールに入る前と後は、シャワーなどで体をよく洗いましょう。

① 多くの場合、熱は2、3日で治まりますが、2日以上の高熱は、医師の診察受けた方がいいでしょう。
②~⑤ まれに髄膜炎脳炎などを併発して重症化することがありますので、これらの症状がある場合は早めに診察を受けましょう。
④~⑦ 脱水症状を起こしている可能性があります。
あまり冷たくない水分を少しずつ頻回に与えるようにしましょう。


<関連サイト>
国立感染症研究所のサイト
http://www.nih.go.jp/niid/ja/
(それぞれの病気の流行状況や特徴を調べられる)

厚生労働省のサイト
http://www.mhlw.go.jp/
(「その他の感染症」のページでは、手足口病咽頭結膜熱の症状や注意点などを説明している)

参考
朝日新聞・朝刊 2014.6.12


             
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                    庭先の凌霄花(のうぜんかずら)